ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

萌え茶道部の文貴くん。

萌え茶道部の文貴くん。第六章・第十六話

経営権 『醍醐寺 草庵』と『醍醐寺 五月』夫妻の、穏やかな顔に観客は盛大な拍手を送った。 事情を知らない観客達にとっては、この夫婦が長年対立を続け、現在においては別居生活をしている『仮面夫婦』だとは、夢にも思わないだろう。 「アレが残して行った…

萌え茶道部の文貴くん。第六章・第十五話

抹茶の味 渡辺は、絹絵のことで頭がいっぱいだった。 「絹絵ちゃん、どこだ? 返事をしてくれ、絹絵ちゃ~ん!?」 学校前の事故のあった道路を中心に、探し回るが返事は無い。電柱にぶつかったトラックの周囲には、人だかりができていたが、手掛かりすらも…

萌え茶道部の文貴くん。第六章・第十四話

ナース服・学生服化…… 「……き、絹絵ちゃんは、無事なんですか……先輩!?」 渡辺は戦々恐々と、先パイの表情を伺う。 「ゴメンなさい……お母様の隙をついて助けられたのは、あなただけなの……」 千乃 美夜美は、申し訳なさそうに俯いた。 「あの『狸のコ』が戦…

萌え茶道部の文貴くん。第六章・第十三話

お転婆ギツネ その頃……渡辺は学校付近の森で、久々に再開した憧れの先パイと二人でいた。 「もう平気? 立っても大丈夫?」 千乃 美夜美は、メガネの後輩を気遣う。 「はい、お陰様で。それより先パイがキツネだなんて、今だに信じられないな」「ホントはね…

萌え茶道部の文貴くん。第六章・第十二話

電気ウナギのボルタくん 双子が渡辺と絹絵を探しに出ると、学校から少し離れた場所で一台のトラックが事故を起こしていた。 「み、見てフウ!? トラックが歩道に乗り上げてるよ!?」「ま、まさか!? 絹絵か、渡辺先輩が巻き込まれたんじゃ……!?」 交通事…

萌え茶道部の文貴くん。第六章・第十一話

千乃 美夜美(みやび) 渡辺は、木漏れ日の中で目を覚ました。 「……アレ……ここは?」 まだ目もよく見えず、視界もボンヤリしている。 「ど……どうしてボクは……? ボクは……生きているのか……それとも……」 交通事故に遭って、倒れて来た電柱の下敷きとなった記憶…

萌え茶道部の文貴くん。第六章・第十話

連携と信頼 千乃 玉忌は、体育館に戻っていた。 「まったく……どこへ行っていたのだ? 会議は著しく劣勢だぞ! 今のままでは、来客の大半が部の存続を認めてしまうでは無いか!」 醍醐寺 草庵は、突然後ろに現れた女に苛立ちをぶつける。 「別に……認めてしま…

萌え茶道部の文貴くん。第六章・第九話

交通事故 渡辺が絹絵を探し回っていた頃、絹絵は血まみれで地面に臥していた。 「ククククク……小狸如きに、正体を見せる羽目になるとはのォ? 誉めてつかわすぞェ」 玉忌は、巨大な狐の姿で眼下の絹絵を見降す。 「……む、無念ッス。ごめん……なさい……ご主人サ…

萌え茶道部の文貴くん。第六章・第八話

幽世の戦い 恐竜なりきる部が、体育館のステージに上がっていた、丁度その頃~ 絹絵は街の上空で、千乃 玉忌と戦っていた。 上空と言っても、絹絵は飛行出来るわけでは無く、跳躍によって空中戦をこなしている。「こっちだけ飛べないんじゃ、ちょっと不利ッ…

萌え茶道部の文貴くん。第六章・第七話

二匹の獣 「なっ、一体どうなっているんだ! 千乃先輩が……どうして!?」 千乃 美夜美だと思って追い駆けた少女が、経営コンサルタントの千乃 玉忌に成り代わって、困惑する渡辺。 「話は後ッス! ご主人サマは、会場に戻って大茶会の続きをお願いするッス!…

萌え茶道部の文貴くん。第六章・第六話

激闘の始まり 四つの部活の紹介が終ったところで、トイレ休憩が入った。 壇上で事の成り行きを見守っていた学園長が、娘に声をかける。「沙耶歌、今日の舞台、とってもいい感じね。まさか貴女が、ここまでやるなんて」「何を言っているの、お母様。舞台を成…

萌え茶道部の文貴くん。第六章・第五話

それぞれの世界 「続いての登場は、『水鉄砲サバゲ部』だあああぁぁぁぁーーーー!!」 橋元の叫びと共に、壇上ステージの照明だけが落ち、ドライアイスによるスモークが炊かれた。すると舞台袖から、迷彩柄の水着を着た、五人の少女が現れる。顔には、暗視…

萌え茶道部の文貴くん。第六章・第四話

抹茶と十個の饅頭 学園長・醍醐寺 五月の挨拶が終ると、橋元と沙耶歌が再び舞台に上がる。 「会議なんて堅苦しいこと言ったが、今日はオワコン棟・極者部の盛大な大茶会だ! お前ら、今日は楽しませてやる! 極者部が本当に必要無いかどうか、しっかりと目に…

萌え茶道部の文貴くん。第六章・第三話

醍醐寺夫妻 そうこうしていると、橋元 蒔雄と醍醐寺 沙耶歌が体育館の壇上に上がった。 「レディース&ジェントルメンの皆さま、ようこそお越しくださいましたぁ! 本日は、わたくし生徒会長の橋元と……」「副会長の醍醐寺……」 挨拶を始めた橋元が、隣の少女…

萌え茶道部の文貴くん。第六章・第ニ話

醍醐寺 草庵 その日集まった来客達は、学校の体育館に通された。 「あれ。椅子と机が用意されてるぞ?」「舞台を見て! スクリーンまであるわ」 体育館には、茶道部の長机と同じタイプの机が横に六列、縦で三列並べられている。壇上にはスクリーンと、映像を…

萌え茶道部の文貴くん。第六章・第一話

極者部 その日、『愛理大学付属・名京高等学校』は日曜日にも関わらず、大勢の人が集まっていた。 醍醐寺グループの息のかかった学校側の意向と、オワコン棟のキワモノ部の思惑が重なって、PTAや地元住人にまで開かれた、オープンな会議が開かれる事となった…

萌え茶道部の文貴くん。第五章・第十話

美夜美(みやび)先パイ 「……ねえ? 良かったら私と一緒に大須、回ってみない?」 『千乃 美夜美』先パイは、自分の美しさなど、まったく気づいてないかの様に言った。 「は……はい。よろこんで、お供します」 アニメやゲームの中でしか聞かない台詞を、自分…

萌え茶道部の文貴くん。第五章・第九話

フーミン ある日の学校帰り……渡辺は一人で、自転車を飛ばして大須まで足を伸ばしていた。 休日と違って、アーケードの人ゴミは軽くすり抜けられる程の勢いしか無く、軽い足取りで大須商店街を歩く。「なんか久しぶりの感覚だなあ。昔はこんなの当たり前だっ…

萌え茶道部の文貴くん。第五章・第八話

闇にうごめく獣たち 暗闇と言ってしまっても過言では無い、土壁に覆われた小さな部屋。 そこにたいまつが二つ灯り、暗闇から祭壇を赤く照らし出す。「……どうッスか、お爺サマ? 何かわかったッスか?」 「……ウム……これは間違い無く、『キツネの毛』じゃぁな…

萌え茶道部の文貴くん。第五章・第七話

キワモノ部の部長たちは、長机の自分の席に座り、本来の目的である対策会議を開始する。 生徒会長と副会長は出入り口側の端に座り、渡辺も自分の席に付くと、絹絵が現れた。「みなさ~ん、お茶が入ったッスよォ~♪ 今日はご主人サマに教えて貰って、アチシが…

萌え茶道部の文貴くん。第五章・第六話

悲劇のヒロイン 「……それは……」 綺麗な顔を、うつむかせる醍醐寺 副会長。 「大丈夫ですか、姉さま?」「でも、もう強がらなくていいんです」 そんな彼女を、浅間 楓卯歌と穂埜歌の双子姉妹が支える。 「貴女が、ここにいるみんなの不満を一手に引き受け、悪…

萌え茶道部の文貴くん。第五章・第五話

悪役ヒロイン オワコン部の他のメンバーと別れた後、茶道部のメンバーだけで少し寄り道をした。 「相変わらずココは、神秘的で落ち着くッスねえ」絹絵が呟く。「ほんと……大っきな木が三つ、天に向ってそびえてる!」「樹の葉っぱから見える星が……プラネタリ…

萌え茶道部の文貴くん。第五章・第四話

大須大茶会 渡辺は茶道部を、今回の計画に入れていなかった。 部員も橋元を除くと、絹絵と二人だけだったので、今回は撮る側に徹っするつもりでいた。それが急遽、双子が入部することになって事情が変る。 「……わたし達も、何かしたい」「考えよう、わたし達…

萌え茶道部の文貴くん。第五章・第三話

大須商店街のキワモノ部 「今日は、大須商店街でイベントが開かれてるんだ。屋台も出てるし、何か買って行こう」 その日は、たこ焼きなどの定番屋台と共に、一風変った屋台も出ていた。「チョコバナナ餃子ぁ~、チョコバナナ餃子はいらんかねえアル~♪」「あ…

萌え茶道部の文貴くん。第五章・第ニ話

天岩戸(アメノイワト)の物語 「聞いて欲しいことがあるんだ 楓卯歌ちゃん、穂埜歌ちゃん」 名古屋でも、住宅街はありきたりの道が続き、デザインされた集合住宅やマンションの建ち並ぶ合間を歩くボクと、双子姉妹。 「橋元は、入部届けを悪用する気は無か…

萌え茶道部の文貴くん。第五章・第一話

パジャマ姿の女子高生 渡辺は『二つの誤算』から、かなりきわどい状況に追い込まれていた。 「……まさか、こんなコトになろうとは!?」 彼は今、自分の家の二階にある、自分の部屋にいる。「こ、この部屋の隣に、女の子が二人……泊っている……だとッ!?」 二…

萌え茶道部の文貴くん。第四章・第七話

父と娘 その日は、完全に梅雨入りしたのだと実感させる空だった。 枯山水の庭は濁った水に浸り、飛び石が浮き出た泥に汚れている。醍醐寺 沙耶歌は、雨に濡れる石畳の上を歩いていた。 「……ハア。何もかもが、下らないわ」 雨に濡れた長い黒髪をハンカチで拭…

萌え茶道部の文貴くん。第四章・第六話

美味しい抹茶 次の日、とつぜん橋元の口から、『茶道部が五人になる事』が発表された。 「お二人が入部って、ど~ゆコトっすか!?」橋元を、精一杯の厳しい眼差しで睨む絹絵。「どうって、言葉通りの意味だが?」畳の間で漫画を読んでいた橋元が、小さな声…

萌え茶道部の文貴くん。第四章・第五話

夕日の勇者 「……お父様は、変ってしまわれた。この数年、まるで何かに憑り付かれたかの様に、仕事やお金に執着して……だからお母様は別居をされたのよ」 醍醐寺 沙耶歌は、苦しい胸の内を吐露する。 「ま、大人ってヤツは、家族を食わせるために、どうしたっ…

萌え茶道部の文貴くん。第四章・第四話

双子の過去 「あの~? 質問なんスけど『醍醐寺』ってのは、有名な家柄なんスか?」 一人、話に付いて行けてない絹絵が口を挟んだ。 「絹絵ちゃんは転校生だから知らないだろうけど、『醍醐寺』はここらじゃ有名な『茶道の家元』でね。『醍醐寺 劉庵』は元は…