ラノベブログDA王

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萌え茶道部の文貴くん。第六章・第四話

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抹茶と十個の饅頭

 学園長・醍醐寺 五月の挨拶が終ると、橋元と沙耶歌が再び舞台に上がる。

「会議なんて堅苦しいこと言ったが、今日はオワコン棟・極者部の盛大な大茶会だ! お前ら、今日は楽しませてやる! 極者部が本当に必要無いかどうか、しっかりと目に焼きつけろィ!」

 橋元のMCの隙に、渡辺は急いで舞台袖から降りる。
浅間 楓卯歌と穂埜歌の双子姉妹や、絹絵と合流して、観客の目の前で抹茶を点て始めた。

「まずは茶道部が、お抹茶を用意してくれました。和菓子と共にお楽しみください」
 醍醐寺 沙耶歌のゆったりとしたMCが、場の慌ただしさを和ませる。

「どうぞ、ごゆっくりお楽しみくださいませ……」「お饅頭アル♪」
 その間に、チャイナ服とメイド服を着た少女たちが、事前に作ってあった和菓子を観客席の長机へと配給する。

「抹茶もどうぞ。ウチの茶道部の点てたお茶は、一味違うよ」「目も覚めるポヨ♪」
 迷彩水着を着た少女たちや、頭に宇宙人触覚を生やした少女たちが、茶道部の点てた抹茶を持って、会場中を配って回る。

「わああ、ホントだ。このお抹茶、美味しい~♪」「香りも最高~!」
「抹茶茶碗も、全部形が違うよな?」「こんな変わった形の茶碗、見たコト無いかも?」
 体育館は抹茶茶碗から立ち昇る、湯気と清涼感溢れる香りに包まれた。

「この十個ある饅頭もいけるな」「中華風モモ饅頭に、こっちは……中がティラミスだ!」
「見て見て、ゼリーが惑星みたいな模様になってる!」
「迷彩柄の丸いカステラに……このアスファルトみたいなの、麩菓子のゴマあえだ!」

 観客たちはこぞって、長机の上の抹茶や饅頭を撮影して、SNSにアップしている。
「お主の狙い通りじゃの?」「まだまだ、気は抜けませんよ、鯰尾先パイ」
渡辺は、体育館の客席に配る抹茶を点てながらも、会場の様子を観察していた。

「十個のお饅頭は、オワコン棟に所属する十の部活をイメージして作ってあります」
 副会長は、配られた饅頭の意味を観客たちに解説する。
「一口サイズになっておりますので、お子様やお年寄りの皆様にも食べ易いと思いますよ?」

「こっちはナッツとチョコが入ってて、恐竜か何かのタマゴみたいだよ?」
「中身はうなぎパイかの……これならワシ等でも食えるわい」
 副会長の言葉は、体育館の中で現実となっていた。

「ふう……なんとか好評みたいだ」
 渡辺は、抹茶や和菓子が概ね高評価だったことに、胸を撫で下ろす。
周りでチャイナ服や恐竜帽子の少女たちが、喜び飛び跳ねてるのとは対照的だった。

「さあて、みなさまお待ちかね……『ダンスショー』が始まるぜ!!」
 橋元の台詞と共に、スモークが吹き上がった。
スポットライトが壇上の中央を照らし、五人の巫女風レオタード姿の少女たちを浮かび上がらせる。

「『巫女・美娘ダンシング部』・ダンスチームゥゥゥーーーーー!!!」
 橋元は、プロレスの実況並に声を張り上げた。
激しい音楽が鳴り、少女たちの舞いにスポットライトが激しく動き周る。

「部の結成は二年前! 部長の天原 礼於奈は、由緒ある神社の娘で、なんと本物の巫女なのだぁ。お正月の初詣の時期にバイトで来ていた四人と、意気投合して部を結成……現在に至ってんだぜOK!?」

「橋元の演説力と演技力が、MC としてもいかんなく発揮されてるな」
「普段はいい加減でクサい台詞をはくヤツと思っておったが……これはこれで才能じゃの」
 二人の部長は、舞台の生徒会長を頼もしく思った。

「なんと彼女たちは、今年の大須ダンス大会で準優勝を飾ったんだ! そんな優秀な部活を潰そうだなんて、どうかしてるぜ! なあ……お前ら、そうだろ!?」

 透き通った羽衣をなびかせ、舞い踊る少女たちの後ろにスクリーンが降りてきて、大須での彼女たちの活躍を映し出す。
「すげーーー!?」「レ・オ・ナちゃーーん!!」若い男性を中心に、会場中は一気に盛り上がった。

 その間、醍醐寺 草庵は、自分の上をスポットライトが通過するのを我慢するしか無かった。
 『巫女・美娘ダンシング部』のステージが終わり、少女達が舞台袖に掃けていくと、橋元が草庵に向って質問したする。

「いかがでしたか。醍醐寺 草庵社長?」 
「全く理解できん! 巫女という神聖な存在を、ダンスに混ぜ合わせるなど言語道断!」
 男の言葉は、場の雰囲気を一気に白けさせた。

「いいえ? わたしは素晴らしいダンスだと思いました」
 男の妻である、醍醐寺 五月理事長が、男の言葉を否定する。

「我が国の巫女とは、天照大御神(アマテラスオオミカミ)が岩戸に隠れたとき、天宇受女命(アメノウズメノミコト)が舞を踊った故事が発祥とされます。彼女たちの舞いは、大御神でも顔を出して見たくなるくらい、素晴らしいものでした」

 学園の理事長が、少女たちの舞いを最大限に誉めた称えると、会場から大きな拍手が沸き上がった。