ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

一千年間引き篭もり男

一千年間引き篭もり男・第04章・04話

漆黒の宇宙船 「ギリシャとトロイア……本来なら敵国同士の艦体が、共に轡(くつわ)を並べて仲良く航行ってか。洒落にならねえ光景だぜ」 「そんなにおかしいコトなのか、プリズナー? 呉越同舟って言葉もあるが」「おかしいなんてモンじゃねえぜ。グリーク・…

一千年間引き篭もり男・第04章・03話

5光秒かなたの艦隊戦 「やれやれ……人類って生き物は、千年も経っても戦争をやっているんだな」 漫画やアニメで使い古された、お決まりの文句だ。 「他の動物さんたちは、戦争なんてしませんからね」 ウンウンと納得する、小動物みたいな雰囲気のセノン。 「…

一千年間引き篭もり男・第04章・02話

ギリシャとトロイア 「この艦の戦闘能力は、火星のトップ企業の十二個艦隊に相当するワケだな」 『マルステクター社は六個艦隊、保持しております』「例え全艦隊を終結させたとしても、このMVSクロノ・カイロスを沈められないってコトか?」 ヤレヤレ、随分…

一千年間引き篭もり男・第04章・01話

戦争ゲーム ゲームの触れ込みの一つに、『決まったルートが無く何をしても自由』……というのがある。 二十一世紀に、冷凍カプセルで眠りについたボクは、太陽系というあまりに巨大なフィールドに放り出され、巨大宇宙艦の艦長まで就任してしまった。はっきり…

一千年間引き篭もり男・第03章・20話

艦橋スタッフ ボクは、自ら『MVSクロノ・カイロス』と名付けた、宇宙船の艦長となった。 「艦長のボクには、この艦のスタッフを任命する権利があるんだよね?」『はい。現行のスタッフは、サポートスタッフであるわたし……ノルニールと、艦長の遺伝上の娘たち…

一千年間引き篭もり男・第03章・19話

MVSクロノ・カイロス 「どんなに人類があがいても、太陽系ですら人類の生息域を超えて、遥かに広いのか?」 『現在、人類は太陽の周りを周る地球の周回軌道上に、コロニー群を建設し始めています。また、アステロイド・ベルト(メイン・ベルト)にも、資源採…

一千年間引き篭もり男・第03章・18話

艦長の役割り 「この艦に強制連行されてから、ロボットアニメの世界に迷い込んだみたいな気でいたケド、これは本格的にロマンだな?」 格納庫のハンガーには、相当数の宇宙艇が備わっていたし、よく見ると種類も豊富だった。「そういえば、お前たちのマニプ…

一千年間引き篭もり男・第03章・17話

世界を分ける権利 『宇宙斗艦長……時の魔女様が、この船に与えた名前はマルチバースシップです』 カプセルの中の誰が投影した、フォログラムであるベルダンディが言った。 「マルチバース……多次元宇宙論ってコトだろ? それが名前って、ずいぶんと合理的って…

一千年間引き篭もり男・第03章・16話

質問 ボクはこの艦の中の、最高権力者になったようだ。 「ところでノルニール、この艦の名前は決まっているのか?」 艦長の椅子のあるロフトの一階上に置かれた、カプセルに向かって聞いてみた。 『時の魔女様によって、名前は与えられておりますが、艦長に…

一千年間引き篭もり男・第03章・15話

ノルニール・スカラ 「ボクが艦長を引き受ければ、質問に答えてくれるんだな?」 『はい……ただし、わたしが知り得る情報に限ります』 カプセルの中の誰かは、煙に巻くように答えた。 「まず、ボクを艦長にする理由はなんだ? 自慢じゃないがボクは、千年前は…

一千年間引き篭もり男・第03章・14話

カプセルの覗き穴 目の前にあった冷凍カプセルは、かつて黒乃とともに眠りについた時のものと酷似していた。 「ど……どうしてこんな場所に、冷凍のカプセルが!!?」 ボクは固唾をのんで、冷凍カプセルに近づく。「確かに基礎的なデザインはよく似ている……で…

一千年間引き篭もり男・第03章・13話

もう一つの冷凍カプセル 「こ……これが木星!? 本物か? だとしたら、さすがにデカいな」 見慣れた住宅街の空に浮かぶ、太陽系・第五惑星。「あれが本物なら、この宇宙船は火星から木星まで移動したコトになる……」木星の雄姿に気を取られて、ボクは黒乃のコ…

一千年間引き篭もり男・第03章・12話

ラングラー 謎の巨大宇宙船に拉致されたボクは、船内の街の中にある銭湯で、想定外のピンチにおちいっていた。 「可愛いコたちが、いっぱいいますねえ?」「!!?」 セノンであろう白い脚が、湯舟に潜水するボクの真ん前に現れた。「あの……あなたたち、ムギ…

一千年間引き篭もり男・第03章・11話

銭湯パニック 千年もの未来の宇宙船の銭湯で、六十人もの娘の名前を決めるという、意味不明なミッションをクリアしたボク。 「なあ……サラア」ボクは隣で湯舟に浸かっていた、ピンク色の髪の少女を抱きよせる。「わたし、サラサだよ?」「じゃあサラサ。キミ…

一千年間引き篭もり男・第03章・10話

名づけ親 「やれやれ……どうして六十人もの娘と、銭湯の湯に浸かっているんだ?」 目に映るのは、銭湯の湯船の周りを駆け回る、オレンジ色の髪の少女たち。電気風呂でしびれる、チョコレート色やマスカット色の髪の少女たち。シャワーで髪流す、ソーダ色やピ…

一千年間引き篭もり男・第03章・09話

銭湯 ボクは、六十人にも及ぶ『娘』を引き連れ、かつてあった銭湯へと向う。少女たちは全員が、薄いシャツにミニスカートを穿いていたが、デザインはまちまちだった。 銭湯は『そらの湯』といい、ボクの記憶が正しければ小学校の三~四年辺りで取り壊され、…

一千年間引き篭もり男・第03章・08話

ステーキ定食 「ボクたちを拉致した、六十機もの機体はキミたちが操っていたのか?」 「そうだよ、パパ」「つまり……キミたちも、六十人もいるのか?」 少女たちはボクのヒザの上に乗っかったり、ホッペを顔に擦りつけてくる。「だからそうだって言ってるでし…

一千年間引き篭もり男・第03章・07話

パパ ボクは、プリズナーたちと別れて、再び自宅を目指した。 「千年前のボクの家が、どこまで忠実に再現されているか確かめてやる!」 自然と、足早になる。 ハンバーガーショップから自宅までは、地下鉄で七駅ほど離れていたが、地下鉄の地下への入口の向…

一千年間引き篭もり男・第03章・06話

DNA 「人の記憶の書き換えなんて……そんなに簡単に、できるモノなのか?」 「コミュニケーション・リングにアクセスするコトで、知識を簡単に追加したり、削除できるのです。情報へアクセスするシナプスも、追加されたり削除されるのですから、可能であると思…

一千年間引き篭もり男・第03章・05話

ハンバーガーショップ ボクの目には、セミも夕日も、目の前にある見慣れたハンバーガーショップの看板すら、本物にしか見えなかった。 「ハンバーガーの、この安っぽい肉の感じも本物にしか思えない……」 それは千年前に味わった味覚と、完全に一致する。 「…

一千年間引き篭もり男・第03章・04話

奇妙な授業風景 窓の向こうに広がる風景は、ボクがまだ千年前の高校に通っていた頃と変わらない。 教室を見渡すと、千年前にボクを殴ったチャラい男子生徒や、頭の悪そうな女子生徒もいる。そこに、未来の住人であるハズのクーリアや、真央がいて、時澤 黒乃…

一千年間引き篭もり男・第03章・03話

簡単に得られる知識 「く、黒乃!?」 ボクは思わず叫ぶ。 小さな住宅街の、電信柱の下に立っていた女性のクワトロテールは、艶やかな黒ではなく栗色だった。「世音……どうしてキミがここに……!?」そこには、ついさっき別れたセノンの姿があった。 「その服……

一千年間引き篭もり男・第03章・02話

思い出の幻影 「ち、地球とは、なんと恐ろしい生物の生息する場所なのでしょう!?」 目を覚ましたクーリアが、震えながら言った。 「ゴメンね、クーリア。セミも、未来だと可愛いものなのかと……」「そんなおかしな感覚は、セノンさんだけです!」「一緒にし…

一千年間引き篭もり男・第03章・01話

宇宙船の中の街 ボクは、『時の魔女』の宇宙船に入るまでの間、束の間の宇宙遊泳を体験した。 火星の衛星であるフォボスは、当然ながら火星の軌道上を周回している。火星からの重力は遠心力と釣り合って、ほぼゼロのハズだが、火星からの重力を感じた。「火…

一千年間引き篭もり男・第02章・17話

プラネタリウムの舟 「お、おじいちゃんが、目的ですかぁ!?」 セノンが、大きな声で叫んだ。 「お前、千年前は有名人か何かだったのか?」 そうは見えないといった表情で、プリズナーがボクを見る。 「……有名人どころか、無名人さ。ボクがいなくなったとこ…

一千年間引き篭もり男・第02章・16話

ウィッチレイダー 「ハヨー、ハルモニアのコたち。可愛らしいコばかりじゃない」 舞い降りた機体のうち、ピンク色の一体が喋りす。元が小型の戦闘機であったため、アーキテクターに変形したところで小さかった。 「当たり前だろうが。どいつも、こいつも、精…

一千年間引き篭もり男・第02章・15話

ピュア・ブラッド 「人間が……量産できるだって?」 「そうだ。好きな精子と卵子をつかって、いくらでも作れるぜ。今や大半の人間が、親の腹からじゃなく、人工子宮(ユーテラス・アーティファクト)から、産声を上げるのさ」 「そんな……だったら、セノンや真…

一千年間引き篭もり男・第02章・14話

アーキテクター 「彼女は、戦闘用の『機構人形(アーキテクター)』だ」 プリズナーは、誇らしげに言った。「骨董品(アンティーク)な、『重機型機構人形(へビー・ギアテクター)』などに遅れを取るモノでも無い」 クーリアが単に『重機ロボット』と呼んだ…

一千年間引き篭もり男・第02章・13話

トゥランとラサ 「……キ、キミは誰?」 ボクは、窮地を救ってくれた男に問いかけた。 「ん……なんの言語だ? 日本語か?」 男の足元には、動けなくなった警備ロボットたちが、ほぼ無傷で転がっている。 「オレの名は、『プリズナー・トリグラフ・ダージボグ』…

一千年間引き篭もり男・第02章・12話

警備ロボット 「流石に未来のロボットともなると、日本語を話すのか?」 重機ロボットたちの巨大な身体は、ボクたちが逃げ込んだ通路を通れない。「あらゆる言語を自らの意思で話せますが、どうして日本語なのでしょうか!?」「『時の魔女』ってなんだ!?…