ラノベブログDA王

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一千年間引き篭もり男・第03章・08話

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ステーキ定食

「ボクたちを拉致した、六十機もの機体はキミたちが操っていたのか?」

「そうだよ、パパ」「つまり……キミたちも、六十人もいるのか?」
 少女たちはボクのヒザの上に乗っかったり、ホッペを顔に擦りつけてくる。
「だからそうだって言ってるでしょ、パパ!」「パパったら、しっかりしてよね!」

 ボクはもう一つ、生意気な少女たちに、確かめなければならないコトがあった。
「その……パパってのはなんだ? どうしてボクを、パパなんて呼ぶ?」

「そりゃだって、パパはパパじゃん!」「わたしたち、パパの実の娘なんだから」
 恐らく、二十一世紀から千年後の未来にやって来て、一番驚かされた台詞だった。

「ボ、ボクに、六十人もの娘がいるだって!?」
 見慣れた実家を見渡すと、リビングにも、台所にも、あらゆるところで、十歳くらいの少女たちが、元気いっぱいに飛び跳ねている。

「パ~パァ、おしっこォ~!!」「早くしないと漏っちゃう!?」
 ふと横を見ると、オレンジ色の髪の少女と、ピンク色の髪の少女が、恥ずかしそうに顔を伏せながら、ボクのシャツを掴んでいた。

「えええーーーーッ!? だ、だったら早くトイレに……」
 けれども階段下のトイレの前には、大行列ができていた。
「も、もうムリだよォ!」「どうしてこの家、トイレがいっこしかないのォ!?」

 少女たちは脚をギュッと閉じ、モジモジしている。
「そんなコト言っても、それで事足りていたんだがなあ!?」
千年前の我が家では、たまに親父が新聞を持ち込んでヒンシュクを買うくらいだった。

「そ、そうだ! もうあそこしか……」
 ボクは二人の少女を抱えて、大慌てで風呂場に駆け込む。
「パ、パパ、ここお風呂だよ?」「漏らすよりはいいだろ、早くしちゃいなさい!」

「いいから、外に出て扉閉めて!」「パパのエッチ!」「わ、わかってるよ……」
 風呂場から出ようと振り返ると、そこにも行列ができていた。
「うわあ、こっちも大変なコトになってるな!?」

「ねえ、あとニ~三人はいけるんじゃない?」「そ、それもそうだ……な?」
 また振り返ると、二つの可愛らしいお尻が目に映る。
「おわあ、見ないでよパパァ!!?」「もう、パパなんて嫌い!!」

 混乱は、夜になっても続いた。
「いいか、大きい方はトイレで、小さい方は風呂場でするんだぞ?」
我ながら、何を言っているんだと思う。

「ねえパパ、お腹空いたァ!」「ごはん、まだぁ?」
「お前ら、ここは宇宙船の中だろ? 簡易食みたいなのとか無いのか?」
「あるケドわたし、パパの手料理が食べた~い」「あ、わたしも~」

 普通の小学生のように、わがままな六十人の少女たち。
「六十人分もの食事を作る素材なんて、あるワケ……」
そう言いながら覗き込んだ冷蔵庫は、千年前の自分の家のと比べても、遥かに大きかった。

「なにやら、ステーキ肉が大量にはいっているな? サラダは、人数分が既に作ってある?」
 ボクは仕方なく、フライパンでステーキを焼きながら、テーブルにサラダを並べる。
「台所に五人、リビングに七人が限度だな……」

 六十人もいる少女たちだが、髪の色は全部で五種類だった。
「つまり、一つの髪色が十ニ人……一ダースってコトか?」
「人を卵みたいに言わないでよ!」「酷い親もいたモンだ」

「文句言うなぁ。まずはオレンジの髪の娘、集まれェ~」
 ステーキを焼くコンロは二つしか無く、二つのフライパンでガンガン肉を焼く。
「ご飯は、そこのバカでかいジャーに入っているから、各自よそって食べること」

「えー、自分でやんのー?」「文句を言わないで、さっさとよそって食べる!」
 ボクは未来の宇宙船の中で、六十枚ものステーキを焼いた。
「やっと終わったぁ。ご飯やサラダが作ってあるなら、ステーキも焼いておいてくれよォ……」

 ボクは、彼女たちの残した残飯を食べながら、食洗器に開いた皿を放り込んでいると、新たなオーダーが出された。
「ねえパパ。一緒にお風呂入ろ?」「お背中、流したげる」

 可愛らしい申し出だったが、自宅の風呂は一人でも脚を伸ばせない狭さである。
「だったら銭湯行こ?」「そらの湯さん!」「おっきなお風呂があるところ!」
けれども、彼女たちが言っている銭湯は、ボクが子供の頃に廃業して無くなっていた。