ラノベブログDA王

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一千年間引き篭もり男・第03章・17話

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世界を分ける権利

『宇宙斗艦長……時の魔女様が、この船に与えた名前はマルチバースシップです』
 カプセルの中の誰が投影した、フォログラムであるベルダンディが言った。

「マルチバース……多次元宇宙論ってコトだろ? それが名前って、ずいぶんと合理的っていうか、なんというか……」
 ボクはそう思いつつも、『時澤 黒乃』であれば、そう付けそうな気もした。

『あくまで舟の概念として、お付けになったのだと思われます』
「戦艦とか空母みたいな、カテゴリー的感覚か? それじゃボクが、艦名を付けても問題無さそうだ」
 ……かと言って、直ぐに良いアイデアが浮かぶものでも無い。

「そ、そうだな。もう少し、この艦について教えてくれないか?」
『はい。何なりと、ご質問下さい』
 ベルは、柔らかい声で答えた。

「それじゃあ、このマルチバースシップのスペックは?」
『全長は、二千二百メートル、全幅八百九十メートル、艦底から艦橋最上部までの高さが四百三十メートルになります』

「大きさは、艦の中に街があるくらいだから解かるケド、いまいちピンと来ないな」
『では、艦の中を案内いたしましょうか?』
「え? 案内、してくれるの?」『はい、ご要望とあらば』

 ベルのその台詞を聞いて、彼女たちが本当にボクを艦長として、迎えようとしているのかも知れないと思った。
『では、参りましょう。貴女たちも、付いてきますか?』

「うん!」「行く行くゥ!」「パパ、案内してあげるね?」
 ボクは、六十人もの娘たちを周りに纏わり付かせがら、エレベーターへと向かった。

「ところでこの船は、マルチバースシップってコトだけど、ま、まさか他の宇宙に行けちゃうとか?」
『理論上は可能なハズですが、残念ながらそれを行うには膨大なエネルギーが必要となります』
「でも、異世界は存在するのか?」

『宇宙斗様は、平行世界をどう思われますか?』
「唐突な質問だな? そうだなあ、分岐によって分かれる世界じゃなきゃ、あると思ってるよ?」
『……と、仰いますと?』エレベーターに乗る、フォログラムのベルが問い返す。

「よくある、『ある人間が生きてる世界と、死んでる世界』……みたいなヤツさ」
 それは、二十一世紀の漫画やアニメではありふれていた。

「他は何もかも同じでも、ヒロインの女の子が生きてる世界と、死んでる世界……みたいな分かれ方は、しないと思うんだ」
『なぜ、そう思われるのですか?』

「だって、どうして人間にだけ、世界を分ける権利があるんだ? 例えば、ゴキブリ一匹が生きている世界と、死んでいる世界でも平行世界は成り立つハズだろ?」
 エレベーターは、とっくに止まっていた。

「もっと言えば、ミジンコ一匹が、生きてる世界と死んでる世界……生物に限らず、広大な宇宙の中の、たった一個の水素の電子の起動が、わずか一秒だけずれたか、ずれないかでも、平行宇宙は生まれてしまう」

『つまり、一つの粗粒子の違いで平行世界が生まれるのであれば、宇宙にある全ての粒子の動き×宇宙にある全ての素粒子の動きで、平行世界が発生してしまう……と』


「さらに時間軸や、粒子の細かい角度も計算に入れると、とんでもない量の平行世界が発生してしまうからね。それは無いと思うんだ」

『なる程、論理的で解りやすい解釈です』
「はあ?」「パパがなに言ってるのか、ぜんぜん解んないよ!?」
 ボクの言葉一つでも、小さなパラレルワールドが発生した様だ。

「そんなコトより」「こっちこっちィ」
「うわ、引っ張るな!?」娘たちは、ボクの手を引いて駆け出す。

「こ、ここは、兵器の格納庫!!?」
 辺りには、巨大な兵器やら、宇宙艇やら、人型兵器やらがデッキに並んでいた。