ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

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「ち、父上……」
「我らに……名を……お与え下さい」

 軍神(マーズ)の前で、瞬く間に成長を遂げた2人の少年が、綺麗な声で言った。
美しい金髪の美少年は、1人は真っ白な肌をしていたが、もう1人はナキアや彼自身と同じ褐色の肌をしている。

「なるホド、お前たちのそれぞれに、オレとナキアの特徴が現れているのだな」
 マーズの肌は褐色をしていたが、それは先天的なモノではなく、本来の彼の肌は純白だった。

「そうだな。お前は、ロムルスと名乗るがよい」
 マーズは純白な肌の美少年に、ローマ建国の英雄の名を与えた。

「わたしが……ロムルス……わたしの名は、ロムルス……」
 自分の名を繰り返す、純白の肌の美少年。

「お前には、レムスの名を与えよう」
 軍神は褐色の肌の美少年に、兄によって殺害された双子の弟の名を与えた。

「ボクが……レムス。ボクのなは、レムス!」
 褐色の肌の美少年は、与えられた名に喜び、はしゃいでいる。

「ロムルスとレムス……それが、お前たちの名だ」
 マーズがそう言い放つと、双子の美少年はしっかりと頷いた。

「お前たちは双子だが、ロムルスを兄、レムスを弟とする。伝説でのお前たちは、互い争い兄によって弟は殺された。だが、戦争と殺戮を象徴する軍神の息子として、争いは厭(いと)わん」

「父上、ですが互いに争うより、まずはこの太陽系を統べるのが先決でしょう」
 ロムルスが、偉大な父親に意見した。

「ボクも兄上の言う通りだと思います。最初の一手として、アクロポリスの街と宇宙港を制圧し、火星の民に父上の尊名を知らしめましょう」
 レムスも、兄の意見に追従する。

「レムスの策はそれとして、一刻も早く制圧すべきはディー・コンセンテスです。アポロやメリクリウスが敵対するのは致し方ありませんが、バックス辺りは現実的な理を解けば、味方に引き入れるコトが可能でしょう」

「なるホド、流石は兄上だ。だとしたら、土星圏のサターンや月圏のディアナも交渉次第では味方に……そうで なくとも、不戦を取りつけるコトが可能かも知れません」

「生まれたばかりの0歳児が、ここまで情勢を把握し、オレに意見するか。面白い、ハハハ」
 満足そうな笑みを浮かべ、豪快に笑う軍神。

「だが、オレには太陽系を統べるどころか、この火星を制圧できる規模の軍隊すら無いのだぞ?」
 この時点で、マーズが保有する戦力は、


































































































































キング・オブ・サッカー・第六章・EP040

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レッドカード

「to invade a place(攻め込むぞ)!」
 華麗なドリブルで、曖経大名興高校の陣地へと斬り込む、柴芭さん。

 ボランチとなってしまったボクと、杜都さんは中盤の開いたスペースをケアするために残ったケド、紅華さん、黒浪さん、金刺さんの3人のドリブラーが並走していた。

「キミの狙いは、読めてる。ボクを引きつけた上で、右に展開する気だろう!」
 柴芭さんの意図を読んだ桃井さんが、自陣の右サイドに展開されないように身体を張る。

 実際に、ウチの左には紅華さんと金刺さんが展開し、ボールを要求する動きを見せていた。

「フッ、確かにキミたちの弱点の1つは、右サイドバックの脆さでしょう。ですが真の弱点は……桃井 駿蔵、キミ自身ですよ」
「な、なんだと!?」

「キミは確かに、良いボランチです。前線が殆ど守備をしないにも関わらず、なんとかなっているのはキミの能力の高さ故でしょう。ですが、当然ながらキミへの負担は相当なモノになる」
 左を使わず中央突破を図る、柴芭さん。

 「クッ!」
 体力が減っていた桃井さんは、意表を突かれたコトもあってあっさりとかわされた。
柴芭さんは、そのままドリブルでペナルティエリアに進入する。

「桃井が、抜かれるとはな。だが、まだオレが居る!」
 柴芭さんの前に立ちはだかる、リベロの斎藤さん。

「解ってますよ、ですから……」
 柴芭さんは、左にパスを出すと見せかけて、ヒールで右にパスを出す。

「なッ……しまった!?」
「ウウッ!?」
 予期せぬパスに、斎藤さんと、キーパーの伊庭さんも動揺を隠せなかった。

「今度こそ、この黒狼サマが決めてやるぜ!」
 左サイドバックの棚香さんを完全に置いてけぼりにした黒浪さんが、シュートを放つ。

「伊庭、止めてくれ!」
「ウ、ウス!」
 黒蜘蛛(ブラックスパイダー)の長い腕が、ボールに触れる。

「マ、マジかよ!?」
「ですが、心配はいりませんよ」

 柴芭さんの言った通り、伊庭さんはボールには触ったものの、シュートを止めるまでには至らず、ボールは曖経大名興高校のゴール右隅に吸い込まれていた。

「黒浪くん、危ない!」
 パスを出した柴芭さんが、いきなり叫ぶ。

「へ……うわッ!?」
 ゴールを決めた黒浪さんの軸足に、斜め後ろからのタックルが入った。

「ぐあああぁぁぁーーーッ!!?」
 左脚を抱え込み、苦痛に表情を歪める黒浪さん。

「クロ、大丈夫か!?」
「完全に、レイトタックルやないか!?」
 黒浪さんの元へと駆け寄る、紅華さんと金刺さん。

『ピ―――――ッ!!』
 長いホイッスルが吹かれ、棚香さんに赤いカードが提示される。

「オイ、なんでレッド出してんだよ。シュート決まった後のプレーじゃ無ェか!」
 審判に、喰ってかかる棚香さん。

「だから余計に質が悪い。ホラ、退場!」
 審判を務めていた曖経大名興高校サッカー部・顧問の先生は、自分の部員に退場を言い渡す。

「クッソ、完全に後ろからってワケでも無ェのに、なんで退場なんだよ!」
「テメーは2度目だろうが。そうじゃなくたって、あんなモン1発退場だ!」
 紅華さんが、棚香さんの胸倉を掴む。

「離せや、コラァ!」
「ガッ……!!?」
 振り払った棚香さんのエルボーが、紅華さんのアゴに入った。

「止めろ、棚香。さっさとピッチを出ろ!」
「わ~ったよ。クソ、やってられるか!」
 ライン際に置かれていたドリンクを蹴とばし、渋々ピッチを去る棚香さん。

 ボクの母校のサッカー部は、今日も11人で試合を終えるコトは無かった。

「桃井、テメーがあっさり抜かれるから、棚香が退場しちまったじゃ無ェか!」
 仲邨さんが、後輩の桃井さんに向って声を荒げる。

「だったらもっと、守備に参加して下さいよ。ボクだって先パイたちの尻拭いには、限界があるんです」
「なんだと、桃井。それが先パイに向けた、口の利き方か!」
 明らかにチームの歯車が狂い始める、相手チーム。

 でもそれは、デッドエンド・ボーイズも同じだった。

「柴芭、クロの容態はどうだ?」
「少なくとも、捻挫はしている様です。場合によっては、もっと重大なケガかも知れません。それにキミも、酷いケガだ。交代して治療した方がいい」

「イヤなこった。オレは、出るぜ。この駄犬の仇くらい取らねェと、腹の虫が収まんねェ」
 ピンク色の髪をしたドリブラーは、口から垂れた血を拭って、自分のポジションへと戻って行った。

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ある意味勇者の魔王征伐~第11章・51話

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パレアナの正体

 リヴァイアス海溝の底に、1万年ものあいだ人知れず眠っていた、アト・ラティアの古代都市。
舞人たちが、護衛兵(ガーディアン)と死闘を繰り広げている間に、空の上へと浮上していた。

「こんなに一瞬で、海底都市が天空都市へと様変わりしてしまうとは、驚きだよ。お陰でボクのせっかくの虚城が、水没してしまったじゃないか」
 その一部始終を、黒と白の6枚の翼で飛びながら見ていた、サタナトス。

 彼の眼下では、波打ち際に建っていた虚城が、海底都市が浮上した影響で発生した津波によって、海面の下に消えようとしていた。

『サタナトスよ、もう1度聞く。お前はこの時代の、王となると言うのだな?』
 黄金の翼で天空を舞う、黄金に輝く鎧の戦士が問いかける。
その腕には、パレアナが抱えられていた。

「そのつもりさ、ラ・ラーン。キミたちが、ボクの覇道に協力するのか、はたまた敵となって立ちはだかるか……楽観論を捨てるなら、恐らくは後者だろうね?」

「わたしも、もう1度言いましょう。サタナトス、アナタは選ばれた王なのです」
「違うと言っているだろう、クシィ―。ボクは人間と魔族の混血であり、人間に復讐を誓う男さ」
 金髪の少年は、腰に佩いだ剣を抜く。

「この『プート・サタナトス』が、ボクに力を与えてくれた」
 妖しく輝く、アメジスト色の刀身。
サタナトスの背後の空には、5体の魔王の姿があった。

「まさか、7海将軍(シーホース)であった我々が、空を飛べてしまうとは……」
 海龍であるハズのアクト・ランディーグが、背中に紫色のドラゴンの翼を生やし力強く宙を舞う。

「ギギ……マジでオレ、飛んでる!?」
 自分が空を飛んでいる違和感に、サメの歯をギシギシさせる魔王ベク・ガル。

「大魔王サマは、元々飛べてたケドよ。オレらまで飛べるなんて、驚きだぜ」
「サタナトスさまが、ウチらを強化してくれたお陰っしょ!」
「空、気持ちイイ。感謝するだァ」

 メディチ・ラーネウス、ペル・シア、ソーマ・リオの3人の魔王も、それぞれが象徴する色の翼を得て、空を飛んでいた。

「プート・サタナティスは今、本来の力を失っている。それでも魔族を強化できる力は残ったままさ」
 アメジスト色の剣の、もう1つの能力。
それはかつてイティ・ゴーダ砂漠で、巨大サソリやワームたちを強化した能力だった。

『サタナトスさまは、我らが主。その主に敵対すると言うのであれば、再び矛を交える他あるまい』
 身体を再生させた大魔王ダグ・ア・ウォンが、黄金の戦士に鋭い眼光を向ける。
その周囲には、翼を獲得した5体の魔王たちが集っていた。

『勘違いをするな、蒼き龍(ドラゴン)。キサマとの決着を付けてやっても良いが、我らはサタナトスと敵対する気は無い』
 一触即発の空気が、黄金の戦士の言でいく分緩和される。

「ほう、それは有難いコトだね。とうぜん、条件付きかな?」
『そうだな。我らが使命は、クシィ―さまの身体に流れるアト・ラティア王家の血を、復活させるコト。この時代の王と結ばれるのも、悪くない選択肢だ』

「なにを言っているんだい。彼女の意識はともかく、身体はただの地方都市の教会の娘だよ。キミらの仕えるべきクシィ―王女は、すでに故人であるのは知っているだろう?」

『いえ、そうではありません。クシィ―さまの依り代となった娘には、アト・ラティアの王家の血が、確かに流れているのです』
 女性的なフォルムの銀色の鎧に身を包んだ、トゥーラ・ンが反論する。

「なんだって、それじゃあ彼女は!?」
『クシィ―さまのペンダントは、運命では無く必然として、この少女の元へと運ばれたのだ』
 ラ・ラーンは、腕に抱える栗色お下げの少女に、無機質な黄金の兜を向けた。

「なるホドね。でもボクの虚城は、海に消え無くなってしまった。どこか、他の場所に移動しよう」

『では、あの浮遊する街を、キサマの居城とするが良かろう。キヒヒ……』
 少しハスキーな少女の声で、マ・ニアが笑う。
彼女も蝙蝠の6枚の翼を展開し、空を舞っていた。

「マ・ニア、キミが勝手に決めてしまって良いのかい?」
『構わんさ。なあ、ラ・ラーンよ?』
 黒鉄色のボディを持った少女は、黄金の戦士に視線を送る。

『キサマに、王としての資質があるのであれば、アト・ラティアの街は自ずとキサマを受け入れよう』
 黄金の鎧を纏った戦士ラ・ラーンは、主であるパレアナを抱え、海溝から浮上した街へと向かった。


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この世界から先生は要らなくなりました。   第07章・第25話

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神を信じない牧師

「ここは隠れた名店なのか?」
 アンティークな調度類が並んだ喫茶店は、昼時と言うコトもあってか、客足が途絶える気配は無い。

「ひっきりなしに、ドアが開く音が聞こえる。この奥まった席に陣取って、正解だったな」
「客足の話なら、ウチら目当てだと思うっスよ」
 注文を終えたテミルが、メニューを隣の席のエリアに渡しながら言った。

「わたし達、ホントにアイドルになったんだよね。実感湧かなかったケド、ユークリッターでもかなり検索されちゃってるし……あ、すみません、注文いいですか?」
 メニューを受け取ったエリアが、注文を始める。

 思えばボクの前に並んだ4人の少女たちは、今やアイドルであり、1人1人にファンが付き始めていたりもするのだろう。

「わたしは、お袋の味グラタンと和風スパゲティ、オニオンスープにフォカッチャ、飲み物はミルクティーをお願いします。あと、デザートはミルクたっぷりミルフィーユで」

「キ、キミもたくさん食べるんだね……ちなみに彼女は?」
 引きつった顔の友人が、予想通りの台詞を零した。

「エリアだよ。我柔 絵梨唖(がにゅう えりあ)。近郊にある教会の、牧師見習いなんだ」
「牧師さんかぁ。女の牧師って、ケッコー珍しいよな」

「それは解っています。昔から宗教の指導者の多くは、男性でした。ウチの教会はプロテスタントだから、女性の牧師も認めていますが、キリスト教もカトリックでは、神父になれるのは男性のみと決まっていますからね」

「へ、へェ、そうなんだ。オレ、宗教とかまったく興味ないから、よく解らないや」
「それも解ってます。日本人の多くは実質、無神論者ですから」
 友人の軽い言葉に、エリアの表情が曇る。

「あ、それそれ。日本人は仏教で葬式出して、神社に初詣(はつもうで)行って、キリスト教のクリスマスでパーティーしたり、バレンタインでチョコ交換したりしてるモンな。最近じゃ、ハロウィンまで流行らせようとしてるし」

「日本では、クリスマスもバレンタインもハロウィンも、商業主義なイベントに過ぎません。クリスマスにショートケーキを食べるなんて、日本独自ですし」
「え、そうなの?」

「日本の場合、八百万の神々がいて、万物に神が宿るって考えが根本にあったりするからな。宗教の点で見れば、かなりおおらかなんだろう」

「……と言うか、殆どのヤツは本気で神なんか信じてねェ……あ、ゴメン!」
 せっかくフォローしてやってると言うのに、この友人(アホ)は……!

「エリアちゃんは、神って信じてるよね?」

「信じてるワケ、無いでしょ……」
 エリアは、ポツリと呟いた。

「え……?」
 唖然とする、友人。

 思えば、教師だったエリアの母親は、教民法に抗議するために自ら命を絶った。
牧師の父親は、自分の妻が自殺を選んだ理由が解らないんだと、エリアは言っていた。
もしかすると、彼女自身も……。

「あの……注文は、以上でしょうか?」
 ふと見ると、散々待たされたウェイターのお姉さんが、苦笑いを浮かべていた。

「わたしは、コーヒーとサンドイッチでいいわ。メリーはなににする?」
「そうね、わたしも同じで」
 優等生のライアとメリーは、空気を読んですぐに注文を確定させる。

「ゴ、ゴメンね。アタシが長々と、無駄話をしちゃったせいで」
「気にするコトは無いわ、エリア」
「元々、それくらいの注文の予定だったのだから」

 それからしばらくして、テーブルにはテミルとエリアの頼んだ大量の料理と、ライアとメリーの頼んだコーヒーとサンドイッチが運ばれて来た。

「いっただきま~す。ところでご友人さんは、アタシたちのソロ曲を作ってくれるんスよね?」
 琥珀色の髪の三つ編みお下げの少女は、ロコモコ丼をリスのように頬袋に詰め込みながら問いかける。

「そうだよ、テミルちゃん。だけど、キミたちにはゼンゼン面識なくてさ。情報も少ないから、こうして直接会いに来たってワケ」

「なるホド。わたし達それぞれのイメージに合った曲を作るために、わざわざ来て下さったのね」
「そう言うコト。メリーちゃんだっけ。キミはどんなプレジデントを目指してるんだい?」

「フフ、わたしが目指してる職業は、プレジデントなんて呼ばれたりはしないわ。だって……」
 八木沼 芽理依(やぎぬま めりい)は、悪戯っぽい瞳でボクを見つめていた。

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一千年間引き篭もり男・第06章・64話

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双子の美少年

「ナ、ナキアが……死んじまったのか!?」
 愛する女が、軍神の名を冠する彼の前で死んでいた。

 美しかった顔は醜く歪み、激痛を味わいながらの最期だったコトを物語っている。
風船の如く膨らんでいた腹は、風船の如く弾け飛び、内臓や汚物までもがまき散らされていた。

「ち……ちち……うえ……」
「かなしむ……コトは……ないよ……」
 マーズに向かって必死に話しかける、幼い2つの声。

「ど、どう言うコトだ……ナキアが生んだのは、赤ん坊じゃ無ェのか!?」
 ワケが解らず、頭がパニックになる軍神。
そこに、再び背後から声がした。

『ククク、この女は腹の中で大きく成長した、自らの息子たちによって引き裂かれて、死んだのだ』
 漆黒のローブの女が言った通り、ナキアの裂けた腹の上に立つ2人の少年は、まだ成長を続けている。

「ふざけやがって、どうしてそんなコトをしたァ!?」
『言ったであろう。この女は、一刻も早く我が子の顔が見たいと申した。それ故、成長を加速させてやったまでよ』

「そう……だよ。時の魔女は、悪く……ない」
「だって母さんの願いを……叶えてくれたから……」
 成長を続ける2人の少年は、母親の遺体がある分娩台を抜け出し、マーズに向かって歩いて来ていた。

「お、お前たち……もう喋れるのか。それに、歩くコトまで出来るなんて!?」
 全裸で血まみれの2人の少年が、たどたどしい歩みで近づいて来る。

「ち、父上……」
「うわッ!?」
 2人は同時につまづき、転びそうになった。

「お、お前たち!?」
 マーズは咄嗟に近寄って、2人の息子を抱き止める。

 軍神の筋肉に覆われた腕が感じる、小さな命の温もり。
母親の真っ赤な血に染まった2人の我が子は、金髪の美しい顔立ちの美少年だった。

『名を……付けてやるが良い。いずれお前の跡を継ぎ、この太陽系を支配する男たちの名をな……』
 そう告げると、漆黒のローブの女は宙に舞い上がる。

「待て、どこへ行く。お前には、まだ聞きたいコトが山のようにあるんだ!」
 けれども魔女は、軍神の問いかけを無視して、背後に時空の裂け目を出現させた。

『マーズよ、お前が2人の息子を導いてやるのだ。良いな……ククク……』
 冷ややかの笑い声と共に、時空の狭間へと姿を消す魔女。

「勝手なコトを。お前はオレを地獄より蘇らせ、ナキアを殺した。時の魔女よ、お前の目的は一体……」
 けれども、軍神の問いに答える女は、もうそこには居なかった。

 巨大空母ナキア・ザクトゥが、その名の由来となった主を失っていた頃、アクロポリスの街でも多くの命が次々に失われる。

 クーリアの乗る異形のサブスタンサーは、アクロポリスの街のカプリコーン区画を壊滅させ、メリクリウスさんが防衛をしていたアクエリアス区画へと移動して来ていた。

「宇宙斗艦長、彼女にこれ以上、人殺しをさせてはいけません」
 水色のサブスタンサーを駆る、メリクリウスさんが叫ぶ。

「クーリアを殺すつもりですか。クーリアは、時の魔女に操られているだけだ!」
 言葉の意味を理解したボクは、ゼーレシオンで街を破壊するQ・vic(キュー・ビック)を斬り捨てながら反論する。

「ですが、彼女の洗脳を解く方法が無いのです。やむを得ないでしょう」
「やむを得ないって……そんなんで殺されちゃ、溜まったモノじゃないですよ!」

「これが戦争なのだ。人の命を数として数える。クーリア1人の命を絶てば、大勢の人々が救われる。であるならば、それをしない理由はない!」
 アポロの、黄金のサブスタンサーが、Q・vava(クヴァヴァ)に向って突進を開始する。

「アポロ、援護します!」
 メリクリウスさんも、テオ・フラストーで追従した。

「これは皆サマ、ご機嫌よう。ですがこのQ・vava、簡単には堕とされませんわ!」
 異形のサブスタンサーは、大鎌の生えた3本の長い腕と、マントのパーツからのレーザー照射、さらにはナーガのような長い尾を使って、2体のサブスタンサーを迎撃する。

「クッ、これでは、近づくコトすらままならない……」
「火力が高すぎます、アポロ。もっと戦力が無ければ、堕とせないでしょう」
 Q・vavaの圧倒的な火力を前に、後退を余儀なくされる2機。

 化け物と化したクーリアは、次の区画の10億の命をも奪おうとしていた。

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