ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

キング・オブ・サッカー・第四章・EP010

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潜在能力(ポテンシャル)

 体育館の外では、相変わらず雨が降り続けていた。

 倉崎さんに、そんな想いがあったなんて……。

「オレたちが、倉崎さんの理想のチームの一員だと言うのなら、光栄ですが……」
「ン、どうした、雪峰?」

「オレたちの実力は、そこまでのモノでしょうか。少なくとも……」
 仁王立ちの男の方を見る、デッドエンド・ボーイズのキャプテン。

「フン……お前たちが、この三木一葬より実力があるとは思えんが?」
 悪鬼でも睨みつけるように、倉崎さんを睨みつける葛埜季さん。

「オレの弟のやっていたゲームは、妙にリアルでな。優秀な選手は契約金が高く、立ち上げたばかりのチームでは見向きもされないだろう……と言っていた」

「それ、ゲームがリアルと言うより……」
「倉崎さんの弟さんが、現実主義者(リアリスト)なのだろうな」

「ま、そりゃそうだわな。お前がチームを立ち上げるっつったところで、本気でお前のチームに加わろうとは思わねえしよ」
 ヤンキー座りの男が言った。

「プロから誘いを受けているオレたちが、それを蹴ってお前のチームに加わる可能性は無いな」
「はっきり言ってくれるな、宝木。だが現実問題として、それは事実だった」
「高校3年のオレたちは言うに及ばず、1年や2年であっても、有力選手との契約は厳しいだろうね」

「それで集められたのが、オレたちですか……」
 雪峰さんの表情が曇る。

「陸上界じゃ名の知れたオレさまも、サッカー界隈じゃまだまだ無名だかんな」
「士官学校(防衛高校)志望だった自分などは、完全に無名であります!」
「オレも勉学に専念しようと、サッカーは辞めようと考えていた……」

「ケッ、何かと思えば、ただのガラクタの寄せ集めじゃねえかよ」
 言われてみれば、勇樹さんの言う通りだ。
自分の高校のサッカー部にすら入れなかったボクなんか、究極のガラクタだよね。

「フッ、オレの弟のスカウト眼を舐めるなよ、勇樹」
「アン、なに言って……」
「確かに現時点で、コイツらの実力はお前たちより劣っているだろう」

「解かってんじゃねえか」
「だが数年後には、お前たちの実力を超えていると、オレは考えている」
「ハア、寝ぼけてんのか、お前は!?」

「……なッ、く、倉崎さん!?」
「それはちょっと、言い過ぎなんじゃねえかな?」
「じ、自分に、そこまでの力は……」

 フィールドプレイヤーなのにゴールキーパーやってるボクなんか、どうなるんだァ。

「オレはそうは思わんぞ」
「コイツら自身が、そう言ってるのにか?」
「ヤコブは、彼らの内に潜むポテンシャルの高さを見抜いていた」

 ボクたちの……潜在能力(ポテンシャル)の高さ?

「実際にあってみて確信したよ、勇樹」
 再びサングラスをかけ、余裕の表情を浮かべる倉崎さん。

「ずいぶんな自信じゃねえか、倉崎」
「ならば彼らの実力、次の試合で試してみるとしましょう」
「手加減など一切せず、完全なる実力を持って粉砕してくれるわ」

「ああ……頼むわ、葛埜季」
「フン……」
 巨漢の仁王さまに率いられ、三木一葬の3人は去って行った。

「……よう、なんかあったのか?」
「お前、今までどこ行ってたんだ、ピンク頭」
「柴芭のヤロウをからかいにな。で、今の三木一葬のヤツらだったよな?」

「そろそろ試合だぞ、紅華。準備しろ」
「へ~い」
 それからボクたちは、準備を終えピッチに脚を踏み入れる。

 対戦相手は、本気モードの三木一葬が率いる、チェルノ・ボグスだった。

「アイツら、やたらと気合入ってんじゃねえか?」
「まあ、色々あったんだよ。ピンク頭」
「だが、ウチも杜都が出られる。万全の体制で臨めるんだ」

「自分は部隊に迷惑をかけてしまった。汚名返上の為にも、全力を尽くす」
「な、なんかお前らまで、気合入ってないか?」
「お前も気合入れろ、ピンク頭!」

 ボクも、気合入れなきゃ。
慣れないキーパーだけど、何としてもゴールを死守する!

 けれども試合は、一方的な展開となる。
ボクのキーパーグローブの先を、何度もボールが通り抜け、スコアボードの片側の数字だけが、何度も加算された。

 終わってみれば、12-0の不甲斐ない数字で、デッドエンド・ボーイズは敗北した。

 

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キング・オブ・サッカー~登場人物紹介

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穴山 範資(のりすけ)

ポジション :MF
身長    :162cm
体重    :44kg
利き脚   :右脚
出身地   :兵庫県
好きな食べ物:ネギトロ、玉子焼(明石焼き)
嫌いな食べ物:レーズン

プロフィール

 穴山三兄弟の長男。
三男と同じ『のりすけ』だが、漢字が異なる。

 倉崎の率いるデッドエンド・ボーイズが出場したフットサル大会に、マジシャンズ・デステニーの一員として参加し、司令塔として中盤のイニシアティブを握る。

 三つ子の弟たちと共に、中盤を早いパス回しで制圧し、隙を付いて崩す戦術を得意とする。
三つ子だが、それぞれのプレイスタイルは多少異なる。
長男の彼は決定的なスルーパスを通し、ロングシュートを得意とする。

 普段は神戸の中学で弟たちと共にプレイしており、柴芭に声をかけられフットサル大会に参加。
中学時代の黒浪 景季と、対戦経験がある。

 性格は、長男として弟たちを纏め、兄弟のなかでは一番落ち着きがある。

この世界から先生は要らなくなりました。   第05章・第11話

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アイドルユニット

「アイドルユニットですって。最近のアイツは、どうかしてるわ」

「確かにそう……でも天空教室は最初から、『見世物』として企画されていたと見るべきね」
 久慈樹社長に反発するユミアに、メリーが言った。

「わたし達は、企画に参加した演者なのよ。ユークリッドにしてみれば、わたし達を売り出そうとするのも当然の動きだわ」

「見世物とは……相変わらず合理的な分析だな、メリー」
「事実を言ったまでです」

「見世物ってのは、なんかヤダけどさ。アイドルって、憧れるじゃん」
「お前はアイドルよりも、見世物のが似合ってそうだケドな。バカライオン」
「なにおう、人をサーカスのライオンみたく言うなァ!」

 気の合う者同士の口ゲンカを始める、レノンとタリア。

「お前たちの契約者が、久慈樹社長である以上反対はできないが」
「反対はできないが?」
「アイドルは簡単じゃ無い……と、友人が言っていた」

「なんだよ、それ。人の言葉じゃんか!」
「す、すまん、アイドルや芸能ネタは、からっきしなんだ」

「だらしない先生ですが、アイドルが生易しいモノでないことは真実ですわ」
「お姉様の仰る通り、芸能界の厳しさは骨身にしみております」
 その『厳しさ』によって、住む家さえ失ったアロアとメロエ。

「今回の募集は、あくまで自主参加とのコトですわ」
「わたくしとお姉さまは、もちろん参加いたしますが、皆さまはどうされます?」
 姉を神聖視する安曇野 芽魯画が、皆に問いかける。

「ウ~ン、どうなんだろ。アイドルには憧れるケド、やっぱ向いてない気がするなあ」
「自分のガサツさに気付いただけでも、大した成長だぞ、レノン」
「うっさい、タリア。自分だって、大して変わんないじゃんか」

「わたしはパスしますゥ」
「そうね、わたしもパスよ」
 アリスとメリーも、不参加を表明する。

「ボクたちも、止めておくよ」
「身体の調子もあるしね」
 カトルとルクスの双子姉妹も、参加を取りやめた。

「シア、キミたちはどうかな?」
「わたし達ですか。確かにキア姉さんも、音楽で有名になる予定だとは思いますが、ロックバンドですからね。アイドルはどうなのかと」

「路線が違うと言うコトだな。他にアイドルユニットに、参加を希望する者はいないか?」
 質問の後、ボクは教室を見渡すものの、手を挙げる者は居なかった。

「アイドルになりたいのは、最初からそうだったアロアとメロエだけか」
「フフ、ザマアみろだわ。これでアイツの計画も頓挫したわね」

「だ、大丈夫でしょうか、お姉様。このまま計画が、白紙に戻ってしまっては……」
「そ、そうですわね。わたくしとしたコトが、少々脅かし過ぎてしまいましたわ」
 顔を見合わせる、グラマラスな双子姉妹。

「芸能界を生きるノウハウは、教えて差し上げますので……」
「皆様、お気楽に参加をされてはどうでしょう」
 二人は必至に訴えたが、意見を覆す者は現れなかった。

 ボクは、ホッと胸を撫で降ろす。

「タリア、少しいいか」
「ン……なんだい、先生」
 タリアはボクの意図を察したのか、みんなから離れて付いて来てくれた。

「実は、キアの入院している病院で、瀧鬼川弁護士と、襟田 凶輔に会った」
「そ、そうか」
「瀧鬼川 弁護士は、控訴を取り下げると言って下さったが、襟田 凶輔が……」

 ボクはそれから、病院での経緯をタリアに話す。

「なんでアタシなんかを、気に入ってんのかは知らないが、裁判沙汰が避けられたのは良かったよ」
 美乃栖 多梨愛は自分よりも、被害に遭った7人の少女たちを気にかけていた。

「キミも気を付けてくれ。ここのセキュリティは万全だとは思うが、外に出かけるようなコトがあったら……」
「そん時はまた、この拳で叩きのめしてやんよ」

「タ、タリア!」
「冗談だって、先生。流石にもう、暴力沙汰はこりごりだよ」
 フードのパーカーを着た少女は、みんなの輪の中へと帰って行った。

「ボクの生徒たちは、ずいぶんと大人でしっかりしてるな」
 安堵したボクは、部屋を出てエレベーターホールに向かう。

「アラ、久しぶりね」
 するとエレベーターに乗った次の階で、一人の女性が乗り込んで来た。

 

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一千年間引き篭もり男・第05章・44話

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起動・ゼーレシオン

 巨大なホタテ貝に、背を持たれるように座っている白い巨人。

「頭に、カミキリ虫みたいな長い触覚が付いる。左手には、大きな盾か」
 ボクは警戒しながら近づいて、巨人の細部を確認する。

「プリズナーが言っていたな。これは、ボクの機体だって」
 座ったまま動かない巨人の懐に近づくと、胸部の黒い筋肉がジュルジュルと音を立て無くなる。

「筋肉は、樹脂みたいなモノで出来ているのか。どうやら胸が、コクピットみたいだ」
 予想通り胸のパネルが開き、メカニカルなシートが姿を現す。

 その時だった。
宇宙港に轟音が響き、空気が宇宙へと流れ出る。

「艦長、急いで。どうやらイーピゲネイアが、宇宙港の空気を抜いているみたいなの」
「了解だ、トゥラン……グッ」
 ポート内が急激に減圧され、意識が飛びかけた。

「ゼ、ゼーレジオン、頼むぞ」
 千年前のロボットアニメの名前を付けた巨人に、必死に転がり込む。
シートにしがみついたと同時に、ハッチが閉まった。

「このサブスタンサー、どうやって動かせばいい?」
「普通なら、コミュニケーション・リングにプラグを刺して接続するのだケド、艦長の首にそんなリングは無いものね」

「無いって、そん……うわああッ!!?」
 巨大な爆発が起きたのか、ボクはシートから転げ落ちる。
ゼーレシオンの内部であっても、凄まじい衝撃が伝わって来た。

「プリズナー、外はどうなっているの?」
「アマゾネスのヤツらが、待ち伏せてやがったんだ。2人の女王に率いられた全員が、サブスタンサーに乗ってやがるぜ」

 コクピットの密閉空間からでは、宇宙での戦闘の様子は解らない。
けれども、プリズナーが苦戦しているコトだけは理解した。

「クソ、どうにか動かないのか?」
「焦らないで、艦長。わたしもあの艦の装備については、詳しくは解らないのよ」
「確かに謎だらけな艦だからな。アフォロ・ヴェーナーだけでも出してくれ」

「了解よ。なるべく早く、戦闘を終わらせるわ」
 トゥランの声の後、外部で大きな駆動音がし、それがやがて遠ざかる。

「トゥランが行ってくれたか。それで、何とかなればいいが……」
 それから直ぐに、音は聞こえなくなった。

「やけに静かだな。宇宙港の外では、戦闘が行われているハズなのに……」
 コクピットの内部は、不自然なくらいの静寂に包まれている。

「空気なんかの伝達物質の無い宇宙じゃ、爆発があっても音は聞こえないのか。昔のロボットアニメだと、宇宙空間でもハデな爆発音がしたのに、味気ないな」
 返事をする相手の居ないボクの言葉は、独り言となる。

「まるで冷凍カプセルに、戻ったみたいだ。思えばボクも千年もの間、こんな狭っ苦しい空間で眠ってたんだよな」
 ボクの脳に、時澤 黒乃が創った冷凍カプセルでの感覚が甦った。

「黒乃……」
 目を閉じ、未来に辿り着けなかった少女を思う。
胸に仕舞っていた、彼女の形見の髪飾りに手を当てた……その時だった。

「な、なんだ!?」
 急に視界が開ける。
目の前には、爆炎に包まれる宇宙港の様子が浮かび上がった。

「ボクは、目を閉じていたハズなのに……なんでッ!?」
 咄嗟に俯いて、自分の手のひらを確認する。
それは余りに巨大で、左腕にはシールドまで装備されていた。

「こ、これはボクの手じゃない。この巨人……ゼーレシオンの手だ!?」
 ボクの脳が、巨人の身体とリンクする。

「巨人の身体が、まるで自分の身体みたいに動かせる。意識なんかしなくても、手を挙げたり、立ち上がったりの命令が、黒い筋肉に伝わっているんだ」
 片膝に手を付き立ち上がると、視線があり得ない速さで上昇した。

「ボクは、巨人になったのか……逆に、ミニチュアセットの中に入った感覚だ」
 宇宙港の外に目をやると、巨大な木星と、地球で見るより小さな太陽と、戦っているサブスタンサーが見える。

「行くよ、ゼーレシオン」
 ボクは心を躍らせ、宇宙空間へと飛び出した。

 

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キング・オブ・サッカー~登場人物紹介

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智草 杜邑(ちぐさ とむら)

ポジション :GK
身長    :174cm
体重    :68kg
利き手   :右手
出身地   :京都府
好きな食べ物:目玉焼きハンバーグ、ミラノ風ドリア
嫌いな食べ物:小魚、ピーマン、納豆

プロフィール

 三木一葬の1人。
倉崎の率いるデッドエンド・ボーイズが出場したフットサル大会に、チェルノ・ボグスの一員として参加し、ゴールキーパーとしてゴールを護った。

 京都の電子工学系高校の守護神として、夏の大会予選では宝木のチームとも対戦するが敗れる。
派手なユニホームを好むが、ポジショニングがしっかりした堅実型のキーパー。

 負けず嫌いな性格で、一つのコトに熱中するタイプ。
極度のゲーマーで、同じゲームを3日間寝ずにやり続けたコトもある。
工学系だけあって、電子機器に強くパソコン自作が趣味。

 キーパーにしては、背が小さいコトがコンプレックス。
三木一葬の中で唯一、3部リーグのクラブからしか声がかからなかったコトも、気に病んでいる。

 倉崎や、三木一葬の他の3人とは同学年であり、ジュニアユース、ユースなど、世代別の代表に共に呼ばれることが多く、互いに顔見知り。

ある意味勇者の魔王征伐~第9章・22話

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砂嵐

 砂は舞い上がり、巨大なカーテンとなって全方位を覆う。

「こりゃ完全に、砂嵐ですぜ」
「位置が解らなくなって、砂漠で遭難する恐れがありやす」
 剣や槍で武装した、やせ細った兵士たちが隊長に進言した。

「心配せずとも、既に礫の砂漠だ。オオカミの骨が、あちこち転がってやがる」
 蜃気楼の剣士は、それが村長から聞いた話の通りであるコトに、ため息を付く。

「こ、これだけの数のオオカミを……」
「サタナトスってガキが、たった1人でやったんですかい」
 キャス・ギアより派遣された兵士たちは、少年の痕跡に驚愕した。

「この先が、オアシスなのであろう?」
 ムハー・アブデル・ラディオは、自身の剣を持たせている少年に問いかける。
虚ろな目をした少年は、コクリと小さく頷いた。

「まったくラディオさまが、質問されておられるのに……」
「愛想の無いガキだぜ」
 それでも少年は口も開かず、ただひたすらに剣を運んでいる。

「お前、名を何と言う?」
「……ケイダン」
「そうか、良き名だ」

 ラディオには、少年が辛い目に遭って来たコトは、容易に想像ができた。
けれどもそれ以上は聞かず、目的地へと歩みを進める。

 砂嵐は視界をほとんど遮り、近くであるハズのオアシスすらも隠してしまった。

「凄い砂嵐だわ。周りの様子が、殆ど見えない」
 オアシスにて兄の帰りを待つアズリーサも、同様の現象に悩んでいる。

「この砂嵐じゃ、兄さんも遅くなりそうね」
「ねえ、アズリーサ」
「誰かこっちに来るよォ?」

「え、アナタたち、解かるの。兄さんかしら?」
「タブン違うと思う」
「それに、一人じゃないみたい」

 アズリーサによって、砂漠棲のリザードマンと融合し甦った少女たち。
彼女たちは、砂嵐の中でも僅かな視力を発揮した。

「砂嵐を避けたいだけの、冒険者って可能性もあるケド……嫌な予感がするわ」
 アズリーサは、13人の少女たちに指示する。

「アナタたち、オアシスの泉の中に潜って。合図するまで、出てきちゃダメよ」
「わ、わかった」
「アズリーサも、隠れた方がいいよ」

「そうね、解ったわ」
 アズリーサも、木陰に身を潜めて様子を伺う。
辺りには低木しか生えておらず、オアシスの面積もそこまで大きくは無かった。

「ここじゃ簡単に、見つかっちゃうわね。かと言って、あのコたちみたいに長く潜ってられないし」
 すると砂のカーテンの中から、大勢の人間が姿を現す。

「ホ、ホントに、オアシスがありやしたぜ」
「緑に覆われて、果物まで実ってます」
「水だって、たんまりとあるぜ。魚も泳いでやがる」

 飢えに苦しんでいた兵士や村人たちにとって、オアシスの光景はまさに楽園だった。

「お前たち、警戒は怠るなよ」
 ケイダンから剣だけを受け取ったラディオが、臨戦態勢を取りながらオアシスの様子を伺う。

「ここは、砂漠棲のリザードマンたちの縄張りらしいが、どうやら気配は感じられねえな」

「子供たちの話じゃ、オアシスのリザードマンは」
「サタナトスが倒したって……なあ?」
 村長の付き添いとして来た村人が、ケイダンに質問を振った。

 けれども少年は、俯いたまま答えない。
それはマルクが付いた嘘であり、真実では無かったからだ。

「ムッ、そこに誰か居るのか?」
 微かな気配を察したラディオが、木陰に剣先を向ける。

「……アズリーサ?」
 少年が、ポロリと呟いた。
すると木陰から、蒼い髪の少女が姿を現す。

「この娘が、件(くだん)のアズリーサか?」
「へい。ウチの村の教会で、孤児としていた……」
「娘に間違いありやせん」

「兄の方の姿が、見えんようだが」
「おい、ラディオさまが質問されているのだ」
「サタナトスはどこだ。さっさと答えないか!」

 村に暮した時と同じ、高圧的な態度で迫る2人の村人。
アズリーサは、表情を歪めた。

「兄はここには居ません。逃げました」
「逃げただとォ。アイツがお前を捨てて、逃げるハズがなかろう」

「ケイダン……無事だったのね」
 村人たちの罵声を受け流し、少年に語りかけるアズリーサ。

「マルクやキノたちも、元気よね。ね、そうでしょ?」

 けれども少年は、唇を深く噛み俯くだけだった。

 

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キング・オブ・サッカー~登場人物紹介

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葛埜季 多聞(くずのき たもん)

ポジション :DF
身長    :191cm
体重    :84kg
利き脚   :右脚
出身地   :大阪府
好きな食べ物:半助豆腐、どら焼き
嫌いな食べ物:広島風お好み焼き

プロフィール

 三木一葬の筆頭。
倉崎の率いるデッドエンド・ボーイズが出場したフットサル大会に、チェルノ・ボグスの一員として参加し、リベロとして攻守にチームをけん引する。

 屈強な体躯の巨漢。
夏の大会では、大阪代表となったチームに2回戦で敗れはしたものの、無失点に抑えたコトで相手チームの誰よりも高い個人評価を得た。

 生来の統率力が備わっており、殆どのチームでキャプテンを任される。
最終ラインの要としてディフェンスを統率すると共に、FW並みに前線へと飛び出し、ゴールを決める嗅覚も合わせ持ったリベロ。

 意外にも、トリッキーなプレイも得意。
相手の裏をかき意標を突いて、ペースを乱し勢いを削ぐなど、ゲームコントロールに優れる。

 倉崎や、三木一葬の他の3人とは同学年であり、ジュニアユース、ユースなど、世代別の代表に共に呼ばれることが多く、互いに顔見知り。