ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

ロウ・ミシャ、ロウ・ミチャ、ロウ・ミニャ


ロウ・ミシャ

ロウ・ミチャ

ロウ・ミニャ

 クレ・ア島のラビ・リンス帝国が誇る雷光の3将が1人、ミノ・アステ将軍に付き従う少女たち。
3人のモチーフは、インド神話のローヒニー。

 クレ・ア島のモチーフとなるクレタ島に興ったミノア文明は、古い時代には北方にあるギリシャ都市国家(ポリス)群を支配下に置いていた。
 やがてギリシャ都市国家の勢力が増すにつれ、ミノア文明は相対的に衰退し、彼らの信仰していた神々の多くは魔物に堕とされてしまう。

 ミノタウロスも、クレタ島に実在した将軍の名前だったと言う説もある。

スラ・ビシャ、スラ・ビチャ、スラ・ビニャ

スラ・ビシャ


スラ・ビチャ

スラ・ビニャ

 クレ・ア島のラビ・リンス帝国が誇る雷光の3将が1人、ミノ・アステ将軍に付き従う少女たち。
モチーフとなったクレタ島は、ミノタウロスを始めとした牛に関わる神話や伝承が多い。

 スラ・ビシャたちのモチーフは、インド神話のスラビ(スラビー)。

一千年間引き篭もり男・第09章・25話

殺戮の艦橋(ブリッジ)

 自身の名を冠する宇宙戦闘空母の艦橋で、立ちすくむクーヴァルヴァリア・カルデシア・デルカーダ。

「……あ……ああ……」
 整った顔は恐怖と絶望で歪み、桜色の瞳も瞳孔が大きく見開かれていた。

 その懐に抱えられた、アデリンダ。
顔に銃弾を浴びた少女の、僅かに痙攣(けいれん)していた身体も完全に動かなくなる。

「アデリンダ……」
 クーリアは、虚空を見つめたまま固まった、アデリンダの眼を閉じた。

「死体なんざ、アンタにとっては珍しいモノでも無いだろ」
 コリー・アンダーソン中佐は、頭の上半分を失ったアンリエッタの身体を蹴り転がす。
残った脳しょうが、金属の床にこぼれ出た。

「よくも、アンリエッタを!」
「直ぐにもう1人、追加してやるよ」
 中佐は、エメラルドグリーンの長い髪を掻き上げながら、フーベルタへと近づく。

「イ、イヤァ! こ、来ないでェ!」
 悲鳴に近い絶叫を上げる、フーベルタ。
涙を流しながら、小さな手で必死に抵抗を試みていた。

「オヤまあ、可愛らしいコだねぇ」
 コリー・アンダーソン中佐は、突き付けた大型のレーザーアサルトライフルを、フーベルタの股から腰、胸へと移動させて行く。

「や、止めなさい! これ以上は、許しません!」
「ハ? 今のアンタに、そんな権限があるとでも思って?」
 レーザーアサルトライフルは、フーベルタの顔の前に達していた。

「お、お願いしますゥ。なんでもするから、殺さないでェ!」
 懇願する、フーベルタ。
その足元には、黄金の水溜まりが出来上がっていた。

「イヤだね」
 コリー・アンダーソン中佐は、容赦なく引き金を引く。

「ヒギャアア!?」
 フーベルタの褐色の肌をした顔が、真っ赤な脳しょうとなって激しく飛び散った。
頭の中央が吹き飛んだ少女の、金色の長いツインテールが左右に落ちる。

「フーベルタァ!」
 絶望の悲鳴を発するクーリアの桜色の瞳には、ピクピクと異様な動きをするフーベルタの姿が映った。

 下顎(あご)を残し頭部を失った少女は、黄金の水溜まりの上にペチャリと尻もちを付く。
首から血を噴き出しながら、やがて動かなくなった。

「魔女に加担した者の末路さ。さあ、残るは3人だよ」
 艦橋に、頭の後ろで腕を組まされた、3人の少女が入って来る。

「フレイア! シルヴィア! カミラァ!」
 クーヴァルヴァリア・カルデシア・デルカーダは、11人のお付きの少女の中でも、特に信頼を寄せる3人の名を呼んだ。

「クッ、申しワケございません、クーリアさま」
「このような自体になって……」
 カミラとシルヴィアの背中に、アサルトライフルの銃口が突き付けられている。

「キサマら、誰が喋って良いと言ったァ!」
「誰も許可など、しとらんぞ!」
 その持ち主の2人の少女が、怒声を上げた。

「ヴァクナ少尉、ヴィカポタ少尉、作戦は上手く行ったみたいだね」
 コリー・アンダーソン中佐は、アサルトライフルを構える2人の少女に話しかける。

「はい。不覚にも撃破され捕虜になった汚名も、これで注がれるでしょう」
「火星を恐怖に陥(おとしい)れ、大勢の人命を奪った魔女よ。部下を殺される気分は、どうだ?」

「ヒイイィィ!」
 その時、無残に殺された仲間の死体を目撃した、フレイアが悲鳴を上げた。

「聞いて無かったのか、キサマ!」
 ヴァクナ少尉のアサルトライフルが、キャロット色のユルフワヘアをした少女の右太ももを撃ち抜く。

「ヤアァーーッ!」
 フレイアは、鮮血が流れる脚を抑えながら、悶(もだ)え苦しんだ。

「もうこれ意以上は、止めて下さい。このコたちを傷付けるのなら、わたくしを殺しなさい!」
 毅然(きぜん)とした顔に戻って、フレイアを抱き寄せるクーリア。

「フフ、アンタは殺さないさ。少なくとも仲間全員の死を、見届けるまではね。そうだろ?」
 コリー・アンダーソン中佐の顔が、艦橋の扉の方を向いた。

「モチロンさ。クーリア……キミの罪は未来永劫(えいごう)、絶対に許されない罪だ」
 扉から現れたのは、群雲 宇宙斗だった。

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ある意味勇者の魔王征伐~第13章・117話

英雄と天馬と魔獣少女

「キュマァァ~。よく寝たァ」
「あ、ベレ・ロさまだキュマァ!」
「おはよ~キュマァ!」

 生まれたばかりの三人の少女たちは、1つの魔獣(キュマイ・ラー)だった頃の主である、ベレ・ロ・ポンティスにすり付いた。

「ま、まさかとは思いますが、この少女たちがキュマイ・ラーだと言うのですか!?」
 困惑を顔中に広げたベレ・ロ・ポンティスは、3人の魔獣少女を抱き上げる。

「オイ、どうなっている。本当にソイツらが、お前の魔獣なのか?」
 普段は鷹のような鋭い眼光をしたレオ・ミーダスが、気の抜けた眼を向けた。

「どうやら彼女たちが、キュマイ・ラーで間違いはないようです。まさかかの者の剣は、魔物を少女に変えてしまう能力とは……」

「なあ、ベレ・ロさまキュマ」
「アタシたちの名前って、なんだキュマ?」
「ないんなら、付けて欲しいキュマ!」

「ハァ? なんでお前たちの、名前など。お前たちは、キュマイ・ラーでしょう」

「それじゃ、わかりづらいキュマ!」
「ちゃんと真剣に、考えてキュマ!」
「そうじゃなきゃ、実力行使キュマ!」

 ライオンのタテガミを持った少女は小さな炎を吹き、ヤギの角を持った少女は金切り声を上げ、ヘビのシッポを持った少女は毒の息を吐く。

「わ、わかりましたから、止めなさい。し、仕方ありませんね……」
 ベレ・ロ・ポンティスは、顎(あご)に手を当てしばらく考え込んだ。

「ライオンがキュレオ、ヤギがキュカプ、ヘビがキュオピュ。イイですね!」
 赤銅色のカールした髪の少年は、強引に押し切る戦略を取る。

「なんか、テキトーじゃんキュマ?」
「でもまあ、ないよりイイキュマ」
「それで手を打つキュマ」

「お、お前たち、そんな性格(キャラ)だったのですね」
 呆れ顔の、ベレ・ロ・ポンティス。

「良かったのォ、ご主人サマよ。名前を考えてやる手間が、省けたの」
「ル、ルーシェリア。人事だと思って!」
 舞人は、恨めしそうな眼で、漆黒の髪の少女を見た。

「フゥ、いささか興が削がれました。わたしは、これで……」
 キュレオ、キュカプ、キュオピュを抱えた少年は、片手を挙げる。

 すると天からいななきが木霊(こだま)し、真っ白な天馬が姿を現わした。

「アレは、ペガッソスでは無いか。ヤツめ、魔獣以外にも天馬まで手懐けておったのか」
 天馬の出現に、驚くルーシェリア。

「ベレ・ロ・ポンティス、仕事はまだ終わってはおらぬぞ!」
 天馬に乗って去ろうとする戦友を、レオ・ミーダスは引き留めた。

「わたしは元々、アナタ達の仲間と言うわけではありません。故郷で要人(ベレ・ロ)を殺め、逃亡中のわたしをかくまってくれた恩義は、今の戦いにて果たしたでしょう」
 ベレ・ロ・ポンティスは、3人の少女を抱えたまま、天馬の手綱を引く。

「フン。去りたければ、去るが良い。志(こころざし)を持たぬ者とは、共には戦えぬ」
 戦友に背を向ける、レオ・ミーダス。

「レオ、アナタのコトは嫌いではありませんでしたよ。では、ご武運を」
 ペガッソスは、いななきと共に純白の翼を広げた。
大きく天に飛翔し、1瞬で空の彼方へと消える。

「ベレ・ロ・ポンティス……1体、何者だったんだ」
「ご主人サマと同じ、英雄と呼ばれた男じゃよ」

「英雄……ベレ・ロ・ポンティス……」
 ルーシェリアに教えられた舞人は、空の彼方を見上げていた。

「まあ良い。拙者たちの戦いの目的は、大方果たされた」
 意外にもレオ・ミーダスは、剣を鞘(さや)へと納める。

「何じゃ、お主。負けを、認めるのかえ?」
「フッ。このクレ・ア島の状況を見て、よくそんな台詞が吐けるな」

 レオ・ミーダスの言う通り、島の中央の丘にそびえる闘技場からは、あらゆる方向から炎や黒煙が立ち昇っているのが確認できた。

「ペイト、引き上げ時だ!」
「チッ、しゃ~ねェな。コイツとの決着も、まだだってのによ!」
 ミノ・テリオスとの死闘を繰り広げていた、ペイト・リオットが答える。

「もう直ぐ、日が沈む。拙者たちの戦争は、まだ始まったばかりだと言うコトを、覚えておけ!」
 レオ・ミーダスは、舞人に鷹のような鋭い眼光を向け、去って行った。

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この世界から先生は要らなくなりました。   第11章・第52話

「代役となった少女は、サキカさんと似た年頃だったハズ。孤児院の子供たちの中でも、かなりの年長者でしょう。そんな少女を、子供たちの記憶から消すコトなど、不可能なのですよ」

 名探偵が、3人のシスターを糾弾する。

「回収した代役少女の首を、貴女方の誰かが嗅俱螺 (かぐら)の寺の墓に埋めた。すでに殺されていた、トアカさんの首と共にね……」

「トアカの首は、キレイな状態だったのに、もう1つの首は腐敗が進んで誰の首かも判別できなかったのは、それが代役の少女の首だとバレないようにする為だったのか」
 驚きを隠せない感じの、警部の声。

「2人の少女が首を斬られて殺され、2つの首が発見されれば、鑑定されていないもう1つの首も、サキカさんの首だと思わせられる。それが、貴女方の狙いだった」

「ケッ! 警察も騙されたってコトかよ」
「もう1度、首を鑑定したいところだケドね。首は、荼毘(だび)に伏されてしまった……」



キング・オブ・サッカー・第10章・EP029

イーテル・ソレイ

「そうか。流石のお前でも、アイツは一筋縄では行かなかったか」
 倉崎さんが、言った。

 だケド、直接会っているワケじゃない。
今、倉崎さんは大阪に居て、Zeリーグのガバメントーテ大阪との試合を控えていた。

「す、すみません……」
「謝る必要は無いぞ、一馬。アイツは、筋金入りの変わり者だからな。予想はしていたさ」
 スマホから聞える、優しい倉崎さんの声。

 あれから沙鳴ちゃんと2日間、ライブハウス・ギルバートに通ってみた。
でもそれが問題になって、ボクも沙鳴ちゃんも学校側から注意を受ける。
結局のところ、ほとんど沙鳴ちゃんが説明してくれたお陰で、誤解は解けたケド。

「だ、題醐(だいご)さんは……絶対なんとかする」
 倉崎さんから受けたミッションを、成功させられなかったコトが悔しかったのか、ボクの口がそう宣言していた。

「イヤ。学校から注意されたとあっては、考え直す必要がありそうだ。というか、お前の学校にオレも、顔を出すべきだったな」
「そ、そんな必要は……」

「これでもお前の、雇用主に当たるんだぞ、オレは。それに、沙鳴もウチのマネージャーだ。学校側に、誤解があっては困るからな」

 ヤッパ倉崎さんは、大人だと思った。
ボクより2つ年上だケド、2年後のボクが倉崎さんみたいになってる可能性って、限りなく低いよね。

「一馬、今は次の試合のコトを考えろ。初戦は散々な結果となってしまったが、次は負けられんぞ!」
 倉崎さんが、気合を入れてくれた。

 そう、次の日曜日には、デッドエンド・ボーイズにとって公式戦2試合目の試合がある。
相手は岡崎のチームで、アビエーテプラナ岡崎って言う、昔から地域リーグとかで戦っているチームだ。

「普段は工場で働いてる選手がほとんどらしいが、ウチのOBも何人か名を連ねているからな。簡単な試合には、ならんぞ!」

「……は、はい!」
 初戦で、14点も取られて負けてるんだ。
簡単な試合など無いコトくらい、解っている。

 会話を終えると、その日はアビエーテプラナ岡崎のホームページをチェックして寝た。
そして……試合当日。

「今回も、アウェーなのかよ」
 紅華さんが、文句を言った。

「ウチにとっては、むしろ好都合だ、紅華」
「まだ本拠地スタジアムの交渉も、終わってませんからね」
 雪峰さんと、柴芭さんが答える。

 ボクたちは、倉崎さんがなけなしの経費で買った、マイクロバスの前に集合していた。

「ところでよ。お前らの後ろのナイスバディな姉ちゃんは、誰よ?」
「ミス・シャルロットだ」

 雪峰さんたちの後ろに、どう見ても目立つ女性が立っている。
ウェーブのかかった薄い色の金髪を肩に垂らし、瞳は蒼かった。
白いスーツに、金のネックレスと黒いベルトをしている。

「シャルロット・神功寺(じんぐうじ)よ。アナタたちチームの、メインスポンサーになったの」

「も、もしかして、ハーフなのか!?」
 黒浪さんが、子供っぽい質問をした。

「正確に言うと、もう少し複雑ね。わたしは、オランダ生まれで日本育ち。でも祖父はフランス人だから、フランス系の名前なのよ」

「へ、ヘェ~」
「お前さ。ゼッテーわかってないだろ」
 黒浪さんが、紅華さんに突っ込まれてる。

「今日からユニホームに、スポンサー名が入る。それぞれ、自分のユニホームを確認してくれ」

「オワッ! 胸ンとこ、なんやよう解らんロゴが入っとるで!」
「なあ、キャプテン。これ、なんて読むんだ?」
 金刺さんと黒浪さんが、自分のユニホームを広げていた。

「イーテル・ソレイよ。ラテン語の旅を意味するiterと、フランス語の太陽を意味するSoleilを足しただけなんだケド、日本のサッカーチームに多いでしょ?」
 替わりに答える、シャルロットさん。

「確かに日本のサッカーチームでは、多いでありますな」
「既存の単語の多くは、すでに商標登録されてしまってますからね」
 杜都さんの疑問を解決する、柴芭さん。

「わたしも、同じ理由なの。商標の通った名前を使えば、利用料が発生するからね。ビジネス初期での出費は、ヤッパ抑えたいじゃない?」

「ところで、シャルロットさん。イーテル・ソレイって、なんのブランドなんスか?」
「なんか雰囲気からすると、香水とか料理っぽくね?」
「せやケド、旅と太陽やで。もしかして……?」

「ええ。イーテル・ソレイは、アジアをメインとした旅行会社なの」
 デッドエンド・ボーイズの3人のドリブラーの質問に、シャルロットさんは答えた。

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一千年間引き篭もり男・第09章・24話

バスルームの惨劇

 宇宙戦闘空母クーヴァルヴァリアのバスルームには、大理石の大きな浴槽があって、5人の少女たちが湯に浸かっていた。
その映像を、艦橋(ブリッジ)のモニター越しに眺める、1人の少女。

「捕虜の警戒は、怠らないで下さい」
「了解です、クーリア様」
 バイオレットの長いポニーテールをした、オペレーターが答えた。

「現在、バスルーム内外のカメラや制圧用の銃器も、正常に稼働できてます」
 彼女は名をアンリエッタと言い、ピンク色の瞳に白い肌をしている。

「それにバスルームの外にも、オッティリアとベルトルダが控えておりますわ」
 ワインレッドの編み込んだ髪の、アデリンダが口添えた。
アクアグリーンの瞳に白い肌をした彼女も、オペレーター席に座っている。

「油断は、禁物です。わたくし達は戦闘のプロでは無く、彼女たちは軍人なのですから」
 不安を帯びた桜色の瞳には、モニターの中のバスルームが映っていた。

「クーリア様、心配し過ぎですよ。どうしちゃったんですか?」
 オペレーター席に座った、褐色の肌に金色の長いツインテールの少女が、無邪気に問いかける。
彼女は名をフーベルタと言い、青く澄んだ瞳をしていた。

 3人のオペレーター少女は、首に巻いたコミュニケーション・リングで、カメラや銃器を細かく操作している。

「ゴメンなんさい、フーベルタ。少し、神経質になっていたみたいです」
 クーヴァルヴァリア・カルデシア・デルカーダは、額に手をやりながら、ブリッジ中央にある椅子に腰かけた。

「クーリア様、お飲み物でもお持ちしましょうか?」
「大丈夫ですよ、アンリエッタ。少し疲れが、溜まっていたみたいで……」
 虚ろな目で、モニターを見上げるクーリア。

「なッ!?」
 けれども桜色の瞳は、すぐさま大きく見開かれた。

「バ、バスルームの様子が、おかしくはありませんか!」
「か、確認します!」
 慌てて作業に戻る、アンリエッタ。

 浴槽全体を映していたモニターの画像が、アップになった。

「レオナ! リリオペ !?」
 椅子から飛び上がる、クーリア。

 モニターに映っていたのは、大理石の床に転がった3人の少女の首と、血で真っ赤に染まった巨大浴槽に浮かぶ、首無しの少女たちの身体だった。

「レ、レオナとリリオペ、それに美宇宙まで……なんてコトですの!?」
 両手で口を塞ぎ、冷や汗を垂らすアデリンダ。

「ヴァ、ヴァクナ少尉、ヴィカポタ少尉の姿が、ありません!」
 慌てた声で報告する、フーベルタ。

「直ぐにオッティリアとベルトルダに連絡して、浴槽に入って貰って下さい!」

「ダ、ダメです。2人も、浴室の外で……」
 モニターが切り替わって、脱衣所で血まみれになって倒れている、2人の少女を映した。

「な、なにが起こっているのです! 捕虜が脱走し、あのコたちが殺されたと言うのですか!?」

「わ、わたしが、バスルームに向いま……ガハツ!?」
 椅子から立ち上がったアンリエッタが、側頭部を撃ち抜かれ、頭の上半分を吹き飛ばされて倒れる。

「イヤアア、アンリエッタァーーー!?」
 悲鳴を上げる、クーリア。

「良い、響きだねェ。アタシは、ソイツを聞きたかったのかも知れないよ」
 ブリッジのドアが開いており、大型のレーザーアサルトライフルを構えた女性が、中へと入って来る。

「あ、貴女は……コリー・アンダーソン中佐!」

「カルデシア財団のご令嬢に、名前を憶えてもらえるとは光栄だね」
「ヒギャ!?」
 再びアサルトライフルのトリガーが、1秒程引かれた。

「アデリンダァ!?」
 キレイな顔に、レーザーで風穴を開けられた少女の元へと、駆け寄るクーリア。

「火星を火の海に沈めたお前でも、仲間は大切なのかい。だがね。お前が火星で流した血の量は、こんなモンじゃ無かったハズさ」
 コリー・アンダーソン中佐は、最後に残ったフーベルタへと近づいて行った。

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