ラノベブログDA王

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一千年間引き篭もり男・第09章・23話

浴室での尋問

 ステュクス少佐の艦隊旗艦から、漆黒の宇宙へと飛び立った小型宇宙艇。
宇宙艇は偵察用であり、内部に4機のサブスタンサー等を搭載可能だった。

「これより、宇宙戦闘空母クーヴァルヴァリアの、視認可能宙域に進入。これ以上の接近は、発見される危険を伴います」
 格納庫内のサブスタンサーに登場した、ヴェローナ少尉が告げる。

「了解です。戦闘になったら、こちらに勝ち目はありません。敵艦との距離を維持し、ヴァクナ少尉、ヴィカポタ少尉との交信を優先します」
 ニー・ケー中尉が、返した。

 小型宇宙艇は、宇宙戦闘空母クーヴァルヴァリアからの距離を保ちつつ、その内部に捕虜となって捕まっている同胞との通信(コンタクト)を続ける。

「これでヨシっと! ウンウン、キレイになったね」
 宇宙戦闘空母の中に存在する豪華な浴室で、ご満悦の群雲 美宇宙。
彼女は全身泡まみれで、泡以外は何も身に着けていなかった。

 浴室には、大理石で作られた巨大な円形の浴槽が中央にあって、獅子の頭をした魚の口から湯が注ぎ込まれている。
金色のシャワーヘッドがいくつも並び、観葉植物もジャングルのように植わっていた。

「キミたち、クーリアの尋問も終わったコトださ。そろそろ自分の口から、名前を教えてくれたって、イイんじゃないかな?」
 泡を洗い流した美宇宙が、浴槽に横たえた2人の少女に問いかける。

 2人の少女は、髪型は違っていたが純白の髪に、褐色の肌の身体をしていた。
膨らみかけた乳房が、僅かに湯から出るくらいに浸かっている。

「なんだい。まだ、意識が戻らないのか」
 不機嫌そうな、美宇宙。

「仕方が無いよ、美宇宙。コミュニケーションリングを通じての尋問で、意識が混濁しているんだ」
 2人の少女の1人を、膝枕をするように抱えた、オレンジ色のボブヘアの少女が言った。
彼女は健康的な肌に、深緑色の瞳をしている。

「わかってるよ、レオナ。でもクーリアって、意外に酷いよね。いくら捕虜だからって、汚れた身体のまま尋問しちゃうんだモン」
 美宇宙は我がままを言って、足をバタつかせた。

「止めてって、美宇宙。バシャバシャしないの!」
 もう1人の少女を膝枕に抱えた、マゼンタ色の長い髪の少女が叱る。
彼女は、純白に近い絹のような肌に、バイオレット色の瞳をしていた。

「なんだよ、リリオペ まで。でもボク、こうやって誰かとお風呂入るの、始めてなんだ」
 レオナとリリオペに挟まれた美宇宙が、真っ白な大理石の天井を見上げる。

「そっか。美宇宙は、宇宙斗艦長のクローンだから……アッ、ゴメン!」
「イイって、レオナ。ボク自身、気にしてないし。でも、どうして女になっちゃったんだろ」

「わたしとしては、美宇宙ってメッチャ可愛いから問題無いと思うわよ」
 リリオペが美宇宙に、メリハリの利いた身体を寄せた。

「リリオペは、イイよね。胸もバインバインだし。ボクは、元が男なせいかこんなだモン」
「アハハ。美宇宙は、どっちが背中か解らないな」
 ケラケラと笑う、レオナ。

「ウッサイな。レオナだって、そこまで大きくないクセに!」
「な、なんだとォ。美宇宙よりは、わたしのが大きいぞ!」
「僅差だよ、僅差。そんなんで勝って、嬉しいワケ!?」

「ウフフ……」「クスクス……」
 そのとき、2人の耳に笑い声が聞こえた。

「アレ? 今笑ったの、リリオペ?」
 美宇宙とレオナが、同時に同じ質問をする。

「いいえ、違うわよ。ホラ、笑ったのはこの2人」
 それは、リリオペとレオナが膝枕のように抱えた、2人の少女だった。

「ア! キミたち、やっと起きたんだ!」
 喜ぶ、美宇宙。

「わたしの名は、ヴァクナです。階級は、少尉よ」
「わたしは、ヴィカポタ。同じく、少尉だ」
 2人は、膝枕のまま口だけ動かして言った。

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