ラノベブログDA王

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一千年間引き篭もり男・第02章・09話

艦長の役割り

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「この艦に強制連行されてから、ロボットアニメの世界に迷い込んだみたいな気でいたケド、これは本格的にロマンだな?」

 格納庫のハンガーには、相当数の宇宙艇が備わっていたし、よく見ると種類も豊富だった。
「そういえば、お前たちのマニプュレート・プレイシィンガーは見当たらないなあ?」
 それは、六十人の娘たちが脳波コントロールで操る、『オモチャ』だった。

「アレは、もっと先の方だよ」「このコたちは、全部無人機ね」
「これが無人機……自ら意志を持って、勝手に戦うのか?」

『正確には、相互リンクによって一つの軍となって、戦闘を行うのです。イワシなど、魚の群れの行動パターンに近い感覚ですね』
 ボクの質問に答えるベル。

「電子戦ってヤツか? 二十一世紀でも、初歩的なのはあったケドな。でも、戦力があるってコトは、この艦は戦艦か空母でもあるのか?」
『二十一世紀の概念で言えば、戦艦クラスの火力を備えた空母……でしょうか?』

「そうなると、ベル。この艦は、何と戦っているんだ?」
 ボクは、一番重要な質問をやっとこの時、初めてした。

『敵……ですか。それは我々を、敵と認識する者たちになるでしょう』
 ベルダンディからは、抽象的な答えしか返ってこなかった。

「まさかとは思うが、誰を敵にするかも、艦長であるボクが決めろとか言うんじゃないだろうな?」
『それが艦長の役割だと、認識します』
「オイオイ。それは、後だしジャンケンじゃないのか?」

『残念ですが、群雲 宇宙斗さまは、すでに艦長の職務に就くコトを了承されました』
「確かにそうだケド……ボクが艦長になる以前に、敵を作っているじゃないか?」
 ボクたちは、格納庫の通路を進みながら会話を継続する。

「千年も前に、身寄りは死んでしまっているボクはともかく、キミたちはハルモニア女学院の生徒を何人も拉致した。とくにクーヴァルヴァリアなんて、カルデシア財団のご令嬢なんだろ?」
 ボクはプリズナーたちのコトなど、すでにバレていると思いつつも、話題にするのを避けた。

『確かにカルデシア財団は、元は巨大な財閥であり、かなりの影響力を有しております。財団自体が有している戦闘力は微々たるものですが、巨大な軍事企業を動かせる財力を持ってます』
 ベルは、まったく他人事のように言ってのける。

「そのご令嬢を拉致ったのは、キミたちだろう? 連れ去るなら、ボクだけの方が合理的だったんじゃないか?」
 ボクは、セノンや真央たちの安否も気になった。

『この艦の存在は、宇宙斗さまの手にこの艦が渡るまでは、極秘にして置きたかったのです。それが、時の魔女様のご命令でした』
 ベルは尚も、説明を続ける。

『木星圏に入ったのも、この宙域には人類の手が、火星圏ほど届いてはいないからなのです』
「千年も経っているのに、そんなモノなのか?」
『もちろん、四大衛星には水素やヘリウムなどの採掘基地は存在します。ですが……』

 歩みを進めたボクたちの頭上が透明なパネルへと変わり、巨大なガス惑星が姿を現す。
「木星の巨大重力、放射能、気温……人類が常駐するには厳しい環境なんだな」

『無人機の遠隔操作と、AIによって意思を持ったアーキテクターたちによって建設された基地も、巨大重力による衛生自体の歪みや、大量に降り注ぐ放射能の影響で、機能不全に陥ったプラントも少なくありません』

「スペースオペラや、ロボットアニメほど簡単に、木星という巨大惑星は支配できないのか?」
『いいえ。あえて環境の悪い場所に住むまでも無く、人類にはまだハビタブルゾーンに居住できる環境が、いくらでも空いていますからね』

 太陽系に置けるハビタブルゾーンとは、水が液体でいられるエリアを指す。
摂氏100度を超えれば水は蒸発して気体となり、0度を下回れば氷となってしまう。

「なる程な。原因はむしろそこか。二十一世紀であっても、海底何千メートルの場所に到達できたとしても、そんな場所に住む人間は皆無だったからな」