ラノベブログDA王

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一千年間引き篭もり男・第02章・15話

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ピュア・ブラッド


「人間が……量産できるだって?」

「そうだ。好きな精子と卵子をつかって、いくらでも作れるぜ。今や大半の人間が、親の腹からじゃなく、人工子宮(ユーテラス・アーティファクト)から、産声を上げるのさ」

「そんな……だったら、セノンや真央も、そうやって……」ボクの質問に、トゥランが答える。
「提供された資料では、ハルモニア女学院の生徒の中で純血種(ピュア・ブラッド)なのは、クーヴァルヴァリア様ほか、4名となっていますね」

「オラ、どけ!」「うわッ!?」
 プリズナーはそう言うと、ボクを払いのけクーリアの腕を掴んだ。
「離しなさい、無礼者! わたくしは、カルデシア財団のクーヴァルヴァリアなのですよ!」

「ヤレヤレ、これだから貴族連中は……どうしてピュア・ブラッドなんてモンを、大事にする。母の股の間から生まれるコトが、重要だとでも言うのか?」
 プリズナーはしゃがみ込むと、クーリアの股間に目を向ける。

「母はわが身を痛めるから、子を大事に想うのだとの教えもありますが……」
「人工子宮から生まれた子供は、不幸だとでも 言いたそうだな?」
「少なくとも貴方は、不幸に思えますね……」

 クーリアはプリズナーの頭を、自分の腹の辺りに抱きよせる。
「わたくしの身体で試してみますか?」「な……に?」
プリズナーであれば、その行為を軽く否定できたハズだ。

 けれども彼は、そうはしなかった。

「……面白いコトを言う女だ」
 しばらくするとプリズナーは立ち上がって、背中を向ける。

「生まれ方に、身分の差がないとおっしゃるなら……どうか、わたくしの友人たちもお救いください」
 プリズナーは、何も答えず、何もしゃべらなかった。

 ボクたちは、暴走した機構人形(アーキテクター)たちの脅威が無くなった通路を進む。
少女のかたちをしたラサたちは、トゥランの四本の髪の先端へと戻っていた。

「おじいちゃん、おかえりなさいです」手を広げ、抱きついてくる世音。
 ボクたちは、セノンたちと合流を果たす。
「うおっと、ただいま。セノン」未来においてセノンの存在は、ほぼ唯一の安らぎだった。

「ヤレヤレ、随分と女ばかり大量にいやがるじゃないか。コイツら全員、助けろってか?」
「なあ、誰だよアイツ」「名前はプリズナー。クーリアを助けるために雇われた人だよ、真央」
「まさか、あのプリズナーなんじゃ?」悪態をつくプリズナーに対し、心象の悪そうな真央。

「トゥラン、お前の推力なら余裕で、コイツらを上の街まで運べるだろ?」
「それがですね。どうやらこのプラントは、何者かの襲撃を受けているようです」
「なんだと? まさか、ヘビー・ギアテクター共がほざいてた、『時の魔女』ってヤツか?」

「解りませんが……機影が六十機ほど、上空からこちらに迫って来ます。
 ボクやクーリアは、慌てて上空を見上げた。
「え、なに?」「なんなんですか!?」真央やセノンは、まだ事態が呑み込めずにいる。

 岩石の壁が続く上空は、闇へとフェードアウトしていたが、闇から光が降り注ぐ。

「トゥラン!!」「了解です、プリズナー!」
 降り注がれたのは、レーザー兵器のようだったが、トゥランの展開した髪の毛のようなパーツが張ったバリアによって、攻撃は防がれる。

「うああああッ!!」「きゃあああ、なになに?」「今度は、なんなのよ!?」
 セノンや真央、クーリアの取り巻きの少女らの悲鳴が、あちこちで上がる。

 暗闇から、次々に戦闘機が飛び出して来た。
「なんだ、あのふざけた戦闘機は!?」「たしかに戦闘機にしては、カラフルですね?」
戦闘機は、オレンジやピンク色など、およそ戦闘用とは思えない色をしていた。

「未来の戦闘機ってのは、随分と小さいんだな」ボクは、恐怖を押し殺しながら言った。
「当たり前だ、原始人。大きいなんてのは、ただの的だ」
「当然、無人なんだよな?」「どこに人が乗れるスペースがある!?」

 言葉尻からプリズナーでさえ、この未知の戦闘機を脅威と感じているのだと解った。
「戦闘機に人が乗っていたのなんて、お前らの時代までだ。こいつらは勝手に戦闘を行い、勝手に目標を撃破するのさ!」

「確かにボクらの時代ですら、無人戦闘機はあった。もう少しあの時代にいれば、戦闘機は無人に変っていたのかもな?」
 合理的に考えれば、何かを破壊するとうい行為ほど単純作業は無いのだ。

 レーザーを防がれた戦闘機たちは、その単純作業を行う隙を伺うためか、上空を旋回する。
「あ、飛行機が降りてきますよ?」「……ってか、人型に変形した!?」
セノンと真央が、状況を解説しながら驚いた。

 カラフルな戦闘機たちは、金属製の地面に着地する頃には、女性型のアンドロイドへと姿を変える。
「コイツらも、戦闘用のアーキテクターか?」「わたしの、同胞……妹みたいな感じもしますね?」

 トゥランは、独特の表現で舞い降りる妹たちを出迎えた。