ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

一千年間引き篭もり男

一千年間引き篭もり男・第02章・11話

重機ロボット ボクは『クヴァヴァさま』こと、クーヴァルヴァリアの腕を、やんわりと振りほどいた。 「もう一度、格納庫に行って、使えそうな『重機ロボ』を見つけよう。そいつを使って、ここから上の街まで登るのは無理なのかな?」 一千年後の未来に来たば…

一千年間引き篭もり男・第02章・10話

助けられた少女たち 穴から落下した巨岩は、岩の外壁にぶつかると砕けて大きく三つに分かれる。 轟音が連続して響き渡り、穴から飛び出てくる欠片もあったが、大半はフォボスの小さな重力に引き寄せられ、ゆっくりと落下していった。 「上手く行ったな、セノ…

一千年間引き篭もり男・第02章・09話

あるモノ 「……先ほどから、男の人の声がすると思っておりましたが?」「なあ、一体誰なんだ、セノン?」 クヴァヴァさまと、マケマケの声が、避難小屋の中から聞こえる。 「と~っても頼りになる『おじいちゃん』です!」「はあ? お、おじいちゃん?」「若…

一千年間引き篭もり男・第02章・08話

避難小屋 「どうしましょう、おじいちゃん。このままじゃ避難小屋の中の人たち……」 セノンはそれ以上、現状を言葉にする勇気は持っていなかった。 「炎が迫っている避難小屋の中に、キミの学校の生徒がいるのか!?」 ボクが避難小屋に向かおうとすると、セ…

一千年間引き篭もり男・第02章・07話

採掘プラント 「凄いですゥ! ホントに元の場所に戻って来れちゃいました~!」 ボクはセノンを抱えたまま、天井に開いた大きな穴を潜り抜けると、『下から見たときは天井だった床』へと着地する。 「ここがキミの言ってた、『爆発事故のあった採掘プラント…

一千年間引き篭もり男・第02章・06話

巨大岩石群 ボクと黒乃が眠りに付いたのは、地球の小さな街の廃坑だった。 それがどうしてフォボスに居るのか、ボクにもさっぱり解らない。当然、今居る場所に付いても、何も知らない。 「フォボスが、『恐慌』って意味の神の名前なんて、笑えない冗談だな………

一千年間引き篭もり男・第02章・05話

日本消滅 「……ところで『日本が滅んだ理由』って、何? やっぱ中国に侵略されて……とか?」 ボクは、恐る恐るセノンに聞いた。 「いえ。確か『国家破産』でしたっけ?」「ええッ? そんな理由!?」 予想した理由とは違ったが、予想していなくも無かった。 「…

一千年間引き篭もり男・第02章・04話

完全自動の世界 「……有難う、セノン。黒乃の形見を貰ってくれて」 「いえ、こちらこそ大切なモノをいただいちゃって……有難うですゥ♪」 そう言うと彼女は、宇宙服の中からペンダントを取り出し、ハートの髪留めを通した。 「ど、どうですか、おじいちゃん?」…

一千年間引き篭もり男・第02章・03話

形見 「あの……大丈夫ですか? どうして泣いてるんですかぁ?」 黒乃では無い、クワトロテールの少女は既に意識を取り戻していた。「……ゴメン……ボ、ボクは……」それ以上言葉が続かない。 赤く泣きはらした目を、幼さの残る少女に向けることが出来なかった。 「…

一千年間引き篭もり男・第02章・02話

遠すぎた未来 「このコの髪……よく見ると……色も黒じゃない。栗色で……それに少しクセ毛だ」 色もだが、黒乃のクワトロテールは顔の横で結んでいたのに対し、少女のはもっと下の方から四つに分けてあった。 「顔も黒乃と比べると、子供っぽいって言うか……幼いっ…

一千年間引き篭もり男・第02章・01話

三十一世紀へようこそ 悠久の時は、何時ものペースで時計の針を回し続ける。その間も人類は相変わらず戦争をし、テロを行い、大勢の人間が死んだ。 けれども、脳まで凍り漬けとなったボクには、幾星霜の時が流れたのかさえ知る術も無かった。 『ドンドン』と…

一千年間引き篭もり男・第01章・07話

永い永い引き籠り 時代に忘れられた廃坑の奥の、暗闇に輝く二つのカプセル。 「キミは……この装置で何をする気なんだ? ボクにこの装置で、『未来永劫引き篭もれ』って言うのか?」 黒乃は何も言わずカプセルを降りると、胸のブラジャーを左手で隠しながら装…

一千年間引き篭もり男・第01章・06話

五種類のアイス ボクは彼女が、下着は身に付きけているのを後ろ目に確認する。 すると、ボクの手の上に黒乃の華奢な手が重ねられ、装置のスイッチが押された。「装置が……起動した……?」 カプセルは異音を立てながら輝きを放ち始め、辺りの岩盤を明るく照らし…

一千年間引き篭もり男・第01章・05話

廃坑 「あの山を登るわ。大丈夫かしら」 時澤 黒乃は、遠くの山を指差して言った。 「ああ、あれくらいなら……別に」 ボクはどうやら、女の子の前で強がっているらしい。 「じゃあ行きましょうか? 道は判ってるから、先導するわ」 時澤 黒乃は軽快に歩き始め…

一千年間引き篭もり男・第01章・04話

エリス その日の放課後、ボクはチャラ男に校舎の屋上へと呼び出され、ボコボコにされた。 いくら腹が立ったとは言え、女の子に手を挙げるワケにも行かなかったのだろう。「……その代役が……ボクかよ。アイツからすれば……妥当な判断か?」 散々殴られた後、屋上…

一千年間引き篭もり男・第01章・03話

ありふれたもの けれども黒乃は、大体正解と言ったのであって、ボクの答えは完全に正解では無かった。 「ただし、核融合反応によって生み出せるのは『鉄』までであって、それ以上の重たい物質は『β崩壊』によって造られるのよ。方法としては、加速器を使って…

一千年間引き篭もり男・第01章・02話

錬金術は実在する 「前にもこんなの……あったよね。キミはどうして、ボクなんかに……?」 予想通り返事は無かった。 四つに分かれた黒髪が、ボクの膝の上に零れ落ち、甘いシャンプーの香りを漂わせる。「この香り……あの時と同じだ……」 ボクは、自分と時澤 黒乃…

一千年間引き篭もり男・第01章・01話

引き籠りと女子高生 「……いつからだろう? 学校に行くのが……社会へと出るのが怖くなったのは……」 ボクは、薄暗く小さな部屋のド真ん中に、ずっと敷たままの布団に潜り込んでいた。 『群雲 宇宙斗(むらくも そらと)』……それがボクの名だ。 両親が付けてくれ…