ラノベブログDA王

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萌え茶道部の文貴くん。第六章・第十二話

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電気ウナギのボルタくん

 双子が渡辺と絹絵を探しに出ると、学校から少し離れた場所で一台のトラックが事故を起こしていた。

「み、見てフウ!? トラックが歩道に乗り上げてるよ!?」
「ま、まさか!? 絹絵か、渡辺先輩が巻き込まれたんじゃ……!?」
 交通事故の恐怖を知っている双子は、恐る恐る事故現場の方に近寄る。

 二人が近づくと、トラックの運転手とおぼしき人物が、警察の事情聴取を受けていた。

「はあ……ですから確かに男の学生さんが、その電柱の下敷きに……」
「だけどねえ。何も見当たらないよ? 学生どころか、血の跡すら無いじゃない?」
 警察官は運転手の言葉に、疑念を抱いている。

「何かの事故みたいだケド……」「人身じゃ無いみたい?」
 とりあえず安心した姉妹は、事故現場とそれを取り巻く野次馬を避けて歩道を迂回した。

「……ん? あれ、何かなホノ」「あ! 何か光ってる! 行ってみよう!」
 二人は何かキラキラ光る物が、地面に散らばっているのに気付いた。
欠片は翡翠色で、周りには血が滲んでいる。

「こ……これ、絹絵の抹茶茶碗だよ!?」
「割れちゃってる……それに血も着いてるよ、フウ!?」
 不安げに互いに顔を見た双子は、破片を出来る限り拾い集める。

「絹絵に何かあったのかなあ?」「無事だといいんだケド……」
 よどんだ空からは、ポツポツと雨が降り出していた。

「では、お次は……流石にも~無いアル!? 即興で作れる料理にも、限界があるアル~!」

「……い、以上、『チャイナ服少女・復権友の会』の皆様でした~!」
 醍醐寺 沙耶歌も、事情を聞かされ焦っていた。

 (今回の件は、元はと言えば『醍醐寺の家のゴタゴタ』が事の発端だもの。このまま茶道部が……渡辺くんが間に合わなかったら、わたし……)
 少女が責任を感じてるのを読み取ったフィアンセが、その肩に手を置いた。

「だいじょ~ぶ、心配ね~って。渡辺は、やるときゃやるヤツだ! アイツはシルキーを連れて、ゼッテー戻って来る」
「そ、そうね、蒔雄!」

 橋元のお気楽さに、副会長は勇気を取り戻した。
「さあ、次は『電気ウナギ発電・エコの会』の皆様の登場です!」
今まで、何度もそうだった様に……。

 壇上には、部長の鯰尾 阿曇ら五人の少女たちが、『垂れ幕のかかった巨大な長方形の何か』と共に現れた。
「……みなの集。我が電気ウナギ発電・エコの会の、本日の主役の登場じゃ!」

 少女達が垂れ幕を剥すと、大きな水槽の中に一匹の巨大ウナギが現れた。
「電気ウナギのボルタくんなのじゃ~!」
 それを見た会場から、どよめきが起こる。

「南米はアマゾン原産での。ウナギと言ってはおるが、種族としてはかなり別物じゃ」
 ウナギの入った水槽からは何本ものコードが伸びており、変電器らしき装置を経由して、一本のポールに繋がっていた。

「電気ウナギは、筋肉細胞を直列に繋いで発電する仕組みでの。現地アマゾンでは、餌となる魚だけでなく、人間や馬まで感電させる場合もあるのじゃ。最大発電量は、なんと驚きの、800ボルトと言われておる」

 鯰尾 阿曇がスイッチを入れると、回路が繋がったのかポールの先の金属ドーナツの様な物体から、電光がバチバチと放たれる。
「おわッ! 空中に電気が走ってる?」「スゲェ、SF映画みたい!」

「これは、テスラコイルと言ってのォ。残念ながらあまりエコとは言えんが、現在ボルタくんがどれだけ発電してるかを、わかり易く見せるための装置じゃ」
(……渡辺よ、何をしておるのじゃ? 早よう来い! それまではワシ等が……)

鯰尾 阿曇が見上げた体育館の窓の向こうの空からは、雨がシトシトと降り始めていた。