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萌え茶道部の文貴くん。第六章・第五話

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それぞれの世界

「続いての登場は、『水鉄砲サバゲ部』だあああぁぁぁぁーーーー!!」

 橋元の叫びと共に、壇上ステージの照明だけが落ち、ドライアイスによるスモークが炊かれた。
すると舞台袖から、迷彩柄の水着を着た、五人の少女が現れる。
顔には、暗視ゴーグル風に改造された水中眼鏡をかけ、手にはアサルトライフルを構えていた。

「彼女たち『水鉄砲サバゲ部』も去年結成され、多くのサバイバルゲーム大会にも参加し、好成績を収めてきたんだ! でも、本来の彼女たちが手にするのは水鉄砲!」
 一瞬、会場から笑いが起る。

「……いくよ、みんな。ボクらもベストを尽くそう!」「はい!」「ラジャー!」
 栗林 伊吹を始めとする少女五人は、二対三に別れてフラッグ戦を始めた。

「おーーーっと、水鉄砲と言ってバカにしちゃいけないぜ? 彼女たちの持ってるのは、そんじょそこらの水鉄砲じゃあない! アサルトライフルやサブ・マシンガン型に改造された水鉄砲で、連射機能すら備わっているのさ!」

 水鉄砲の水には蛍光塗料が混ぜられ、フラッグもLEDで光り、スモークの炊かれた薄暗い舞台の上は、さながらサイバー戦争でもしているかの様相を呈した。

 スモークの向こうのスクリーンには、サバゲー大会の彼女たちの活躍が映し出されている。
「ヒットォ!」迷彩水着に蛍光塗料が付着するので、当たり判定は確実だ。
だが、少女たちは総勢五人しかいないので、すぐにゲームは決着しそうだった。

 橋元が、ニヤリとほくそえむ。
「きゃあ!?」「おっと、悪ィ!」橋元はわざと、栗林 伊吹にぶつかる。
「ぐわぁ!?」放った水のレーザー光線が逸れ、醍醐寺 草庵の顔面にかかった。

「醍醐寺社長、ヒットォ!」会場中に、爆笑の渦が巻き起こる。
「……おっ、おのれェ!?」草庵は怒り心頭で、顔を真っ赤にしていた。

「……ぷっ! ククッ!?」夫の顔を見た学園長は、笑いを堪えるのに必死になっている。
 よほど日頃の鬱憤が、貯まっていたのだろう。

 その後も、会議ならぬ大茶会は滞りなく進行する。
水鉄砲サバゲ部が舞台袖に履けると、『メイド流剣道部』の五人の少女による、フェンシング・サーブルの演舞が始まった。

 白いジャケットの少女たちが繰り出す、細い剣の切っ先が、激しく火花を散らす舞台。
その後ろのスクリーンに、優雅に紅茶を淹れる、普段のミニスカメイド服姿の少女たちが映る。
「いいよ、いいよ~!」「ギャップ萌えってやつかあ!?」「御子神さん最高ーッ!!」

 舞台の白いジャケットの一人が、マスクを取って観客に挨拶する。
「本日は、ようこそお越しくださいました。皆さまにも、お茶とお菓子を用意してあります。どうか、ゆっくりとお楽しみください」

 御子神 涼香たちは舞台袖に履けると、体育館の舞台横の左右のドアから、ミニスカメイド服姿となって現れた。

「あんな一瞬で、どうやって着替えたんだ?」「今度は、メイドさんかぁ」
 テーブルには他の部の少女が置いたのか、ティーカップとパイが並べられている。
五人のメイド少女は、白いティーポットを持って、会場を回った。

 再び舞台が暗くなると、舞台上のスクリーンに星や星座が映し出される。
すると舞台には、頭に古典的宇宙人の触覚を付けた五人の少女が現れた。
「なんだか幻想的ね……」「プラネタリウムみたい」「でも、宇宙人って?」

 薄暗がりの中では、彼女たちの顔は見えず、触角の先端の丸いボールのみが光っている。
「ムム……コレは、ワレワレに向けた電波では無いかポヨン?」「電波はどこからやって来たのだポヨン?」「銀河の辺境地域から出てるポヨン」「行ってみるかポヨン?」

 愛澤 柚葉さんたち『未知との遭遇部』は、電波を受け取った宇宙人になりきる。
背後のスクリーンには、宇宙人にメッセージを送る、怪しげな儀式を執り行う少女たちが映っていた。

 『今まで彼女たちが行ったコンタクトの電波を、遠くの惑星に住む宇宙人が受け取っている』……という設定で、宇宙人になりきって演技を行っているのだ。

「今どき宇宙人が、ポヨン、ポヨン言うか?」「でも、ホントに宇宙人が居たらいいよね」
「まあ宇宙は広いんだから、宇宙人の一人や二人いてもおかしくないんじゃないか?」

 舞台は、幻想的な雰囲気のまま幕を降ろす。

 

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