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萌え茶道部の文貴くん。第七章・第六話

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学園祭・復讐劇(リベンジ)

 その日は、時期外れの文化祭が開かれていた。

 去年、火事で出来なかった文化祭を改めてやろうと、渡辺が提案したのだ。

 当初は、『オワコン棟の最後を飾るイベント』として、企画される。
けれども、オワコン棟に所属しない一般の部活の多くも、参加を希望した。

 ……文化祭から十日ほど前の出来事。

「どうやら大茶会に来てくれた観客の中に、一般の部活に所属しているヤツもおったようじゃのォ」
 その席で、電気ウナギ発電・エコの会・部長の鯰尾 阿曇が言った。

「それって、アタシたちのパフォーマンスを見て、自分たちもって思ったのかな?」
 巫女・美娘ダンシング部の天原 礼於奈が、集まった仲間に問いかける。

「そうだポヨン。ワレワレハ、一般人とのコンタクトに成功したポヨン!」
 何か吹っ切れた顔をした、未知との遭遇部・部長の愛澤 柚葉が答えた。

「浮かれてる場合じゃね~だろ。問題は、何をやるかだ」
 茶道部に所属する生徒会長・橋元 蒔雄が指摘する。

「それなんだケド……」
 メガネの茶道部部長が、切り出した。

「去年開けなかった学園祭を、もう一度やるってのはどうかな?」
 一同の注目が、文貴に集まる。

「でも、今年の学園祭が九月に開催される予定なのよ?」
 正論を述べる、醍醐寺 沙耶歌生徒会長。

「いいんじゃねえの?」「でも、蒔雄……」
「やるのはあくまで去年の学園祭だ。問題ねえだろ?」
 生徒会長は副会長ではなく、集まった部長たちに問いかけた。

「他の部からは、キワモノ部だって蔑まれていたのに、それが……」
「向こうから何かやりたいって、声をかけてくれたんだ!」
「ボクたちの次のミッションは、学園祭を開催するコトっしょ!」

 立ち上がり、輪になって気合を入れ合う、ナース服・学生服化推進委員会の 香住 癒音と、アスファルト研究部の工藤 梢と、水鉄砲サバゲ部の栗林 伊吹。

「これはもう、学園祭やるしかないアル!」
「やるガオ、みんなでやるガオ!」

 去年の火事を知らない一年生の、チャイナ服少女・復権友の会の一条 明美と、恐竜なりきる部の海野 龍穂もぴょんぴょん飛び跳ねて喜んでいる。

「決まりですね、生徒会長……」
 最後にメイド流剣道部・部長の御子神 涼香の涼しい瞳が、橋元を見た。

「どんなタイトルの学園祭に、致しますか?」

 夏の日差しも強くなり始めた、七月最後の日曜日。
既に夏休みにも関わらず、学園には大勢の生徒たちが集まっていた。

「急遽、開催が決まった『学園祭・復讐劇(リベンジ)』、テメーら心行くまで楽しんで行きな!」
 生徒会長の破天荒な開祭宣言と共に、幕を開けた初夏の学園祭。

 自慢の中華料理を振る舞う、ミニスカチャイナ服少女の屋台。
舞台で踊る、巫女風レオタード姿の少女たち。
恐竜じゃない古生物帽子の少女たちも、キナコから飴細工の骨を掘り出すゲームに興じている。

「みんな、楽しそうだね。フーミン」
 艶やかな着物を着た、長い髪の少女が言った。

「ホントなら、わたしに参加する資格なんて無いのに……」
「そんなコトないですよ、美夜美先パイ」
 彼女を慕う後輩は、直ぐに否定する。

 結局、部室棟を焼いた火事は、千乃 玉忌が狐火を使ったのが原因だった。
醍醐寺グループ乗っ取りの一環として、学園のイメージを損ねる目的で、行ったモノらしい。

「先パイも最後は、玉忌さんと戦ってくれたじゃないですか」
 千乃 美夜美は、母親の悪事に対する責任を感じて失踪したのだ。
その後、先パイは自ら進んで、警察の事情聴取を受けた。

 何を聞かれたかは話さなかったが、火事の原因や失跡の理由など、しつこく聞かれたに違いない。

「原因は不明で、お咎め無しってコトにはなったケド……」
「警察も、原因が大妖怪の仕業だなんて、科学全盛の時代に絶対に認めませんからね」
 火事は何らかの失火が原因……という事で落着する。

 そんな先パイも、今は茶道部の屋台の売り子をしていた。

 

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