ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

キング・オブ・サッカー・第一章・EP018

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児童公園での決戦

「お前、この名刺……」
 倉崎 世叛の名が記された名刺を、訝しげに眺める紅華さん。

「勝手に偽造したんじゃないだろうな?」
『ブン、ブン!?』
 思いっきり顔を横に振った。

「お前、見た目はイケメンなのに、中身はかなり残念なヤツだな」

 イケメン……そうかな?
見た目通り、残念なヤツのつもりなんだケド。

「でもよ。イマイチ信用できねえなあ」
 う~ん、確かに紅華さんにしてみれば、信用できないのかも?

 ボクは、部活用にと買っておいた大きなカバンから、サッカーボールを取り出した。

「なんだあ。このオレと、サッカー勝負でもするってか?」
 引きつった顔のまま、大きく頷く。

「面白れェ」
 ニヤリと笑う、紅華さん。
「さっき、オレのすり抜けを止めたんだ。少しはできるんだろうな?」

「正直、できるかどうかは解からない」
 紅華さんは、近くにあった公園を指さした。
「でも、ワクワクする気持ちは、は同じだ」

「なんだぁ、クールボーイがニヤつきやがって」

 ……え?
どうやら、気持ちが顔に出ちゃってたみたい。

 公園に入ると、少子化の影響なのか遊んでいる子供はどこにも居なかった。

「そこのジャングルジムが、ゴールってのでどうだ?」
 同意だと頷く。

「本当なら、こんなガキの遊びみたいな勝負、受けねェんだが……」
 紅華さんは長い左脚で、ボクからボールを奪った。

 左利き(レフティー)……ボクと同じだ。

「髪がピンクなくらいで、部活の入部は断られるは、バイトの面接まで断られるはでムシャクシャしてんだ」

 だったら、ピンク色にしなきゃいいのに……こだわりでもあるのかな?

「オレがお前を抜いた上で、ゴールを決めたらオレの勝ち。ボールを奪われた時点で、お前の勝ち」
 とてもシンプルなルールだ。

「いいな?」
 おそらく今までも、そんな勝負をして来たんだろう。
ボクもコクリと、頷いた。

「オラ、いくぜ!」
 何の躊躇すら無く、いきなり仕掛けてくるピンク色の髪のドリブラー。

 左足のアウトサイドで、ボールを外側に蹴りだしたかと思うと、同じ足のインサイドで内側にボールを返し、ボクの左側を抜きにかかる。

 ……うわっ、ダブルタッチだ!?
余りにも早い脚さばきに、体のバランスを崩す。

 でも紅華さんなら、これくらいはやってくると予想はしていた!

 ボクは右側に重心の崩れた身体を、無理して立て直そうとはせず、そのまま右に一回転させて紅華さんの進路を塞いだ。

「ホウ、今ので抜けねェか?」
 紅華さんは、ニヤリと笑った。

「なら、こんなのはどうだ?」
 今度は、左足でボールを引っかけ、またもや右側を向こうとする。

 単純なフェイント……何かある?
そんな考えが頭を過ぎった瞬間、ボールが紅華さんの軸足に当たり、大きく左側に弾かれた。

 ヤバッ、予測してなかったら、完全に抜かれるところだった!
何かあるとの予測があったお陰で、ボクは左にバランスを崩すコトも僅かで済み、踏ん張ってボールに喰らいつく。

 ……倉崎さんのノートに、書かれていた通りだ。
全てのボールタッチを左足一本で行い、右サイドからのセンタリングも左足で上げる。
ボールタッチは柔らかく、その動きはカモシカのように滑らかでしなやか。

 ボクは、先に情報をしっていたから、抜かれず対処できているに過ぎない。

「お前、なかなかやるじゃねえか?」
 紅華さんは、少しだけ息を切らしながら言った。

「倉崎 世叛がお前をチームに入れたってのも、もしかしたら本当なのかもな?」

 うぐうッ、そこ疑われてたんだ!?
確かにボクなんかが、倉崎さんのチームにいるなんて、信じるほうがどうかしてるよな?

「そーゆーコトなら、本気出すしかねえだろ、無口なスカウトさんよ?」

 ……紅華さんのクールな眼が、ギラリと輝いた。

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