ラノベブログDA王

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キング・オブ・サッカー・第7章・EP027

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ロランと紅華

「やるな、カズマ。大したシュートじゃないか」
 倉崎 世叛が、賛辞で敵チームのエースを出迎えた。

「そいつは、どうも。まだまだ、ウォーミングアップってところですケドね」
 センターサークルも描かれていない土のピッチの真ん中で、両チームのエースが睨み合う。

「フッ、オレもだよ」
 ホイッスルが鳴り、試合が再開されると同時に、倉崎はボールを右へと展開した。

「な……しまッ!?」
 今度は、ロランが意表を突かれる。

「ナイス、倉崎さん。最高のボールだぜ!」
 裏のスペースに走る、黒浪。

「ヤッべ、抜かれる!?」
「ファウルでいいから、止めろ!」
 汰依(たい)と蘇禰(そね)がプレスに行くが、まったく間に合わない。

「へへッ、この黒狼サマのスピードに、付いて来れるヤツはいねェぜ!」
 右のサイドから、レーンを替えて中に入って来る黒浪。

「なんてスピードだ、反則レベルじゃないか!」
 ロランは慌てて戻って追いつくと、肩を当てて黒狼の体制を崩した。

「オワッ、一馬。オレさまに、追いつくなんて!」
「お前は右サイドからで、オレは直線で戻って同時なんだ。大したスピードだよ」

 自慢のスピードを止められると、技術の無い黒浪にボールキープは難しく、あっさりとボールをロストしてしまう。
ボールは、カズマによって大きくクリアされた。

「……なあ。お前、ホントに一馬か?」
「え?」
 驚く、カズマ。

「だって自分のコトをオレって言ったし、やたらと喋るし、プレースタイルもなんかこ~、いつもと違うって言うかさ」

「さあ、どうだろうね」
 カズマは答えをはぐらかせて、前線に向け駆けて行った。

 ボールは、攻撃に参加していた那胡(なこ)に渡る。
左サイドに流れてゴール前を見るも、紅華には倉崎がマークに着いていた。

「こっちだ!」
「か、一馬か。おう!」
 意表を突かれた顔をしながらも、カズマにボールを預ける那胡。

「流石に正体を隠すのも、この試合辺りが限界だな」
 自らペナルティエリアへと切れ込む、ロラン。

「ヤレヤレ、ここは行かねばならんか」
 倉崎が紅華のマークを外し、正体がバレかけているカズマへと向かう。
紅華のマークを、センターバックの野洲田(やすだ)にスイッチしてのアクションだ。

「ここだ!」
 瞬間、ロランは自分の前のスペースに、ボールを蹴り出した。
そこに、マークが外れた紅華が流れて、ボールを受ける。

「スルーパスか、やるな……だが!」
 倉崎はロランへのマークを外さず、2人連れ添ったままゴール前まで走った。
紅華は左サイドに展開しながらドルブルを続け、タッチライン際ぎりぎりで止まる。

「マズいぜ、出すトコがねェ」
 顔を上げると、中央にはデッドエンド・ボーイズのレギュラーセンターバック3枚の高い壁があり、頼みのロランも倉崎の密着マークに手こずっていた。

「紅華、お前が斬り込んで、ゴールを決めろ!」
 ロランが、叫んだ。

「……オレが……ゴールを?」
「そうだ。キーパーが居ないんだから、お前なら狙えるだろ!」

「やらせるワケ、あらヘンで。ワイが、止めたる!」
 左サイドに居るハズの金刺が、金髪のドレッドヘアを靡かせながら、紅華に圧力を掛ける。

「ボールは、渡せねェっつーの」
 紅華は、一瞬早くペナルティエリア側にかわした。

「へッ、やるやないか、桃色サンゴ。せやけど、ワイはまだ諦めヘンで」
「ココはペナルティエリアだぜ、イソギンチャク」
「クッ!」

 ファウルはできないと、金刺のプレスが弱まる。
紅華は一気に加速し、金刺を引き離すと、左のアウトでゴールの右隅を狙った。

「フッ、大した技術だ。例えキーパーが居たとしても……」
「ああ。これは取れないシュートコースだ」

 ロランと倉崎は、ゴールに吸い込まれるボールを見送った。

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