ラノベブログDA王

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キング・オブ・サッカー・第ニ章・EP010

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優秀な兵士

 ボクたちは、いつもの川縁の練習場へと足を運んだ。

「杜都、お前の能力を確認して置きたい。雪峰、紅華、相手をしてくれ」
 倉崎さんが言った。

「二人がかりかよ。で、どっちがボールを持つんスか?」
「まずは紅華、お前がドリブルで仕掛けてくれ」
「りょ~かい」

「倉崎司令、この訓練は我が陣地を、死守すればいいのでありますか?」
「そうだ。ヤツのドリブルを止めろ」
「了解であります」

 杜都さんは倉崎さんの前で敬礼すると、紅華さんの待つグランドへと駆けて行った。

「……ンじゃ行くぜ!」
 紅華さんが、華麗なドリブルを開始する。

「ここは通さん!」
 仁王立ちをする杜都さん。

「ホイ、股がガラ空きだぜ!」
 得意のエラシコを小さく決めて、杜都さんの股の間にボールを通す紅華さん。

 やっぱ上手い。
ボクよりテクニックのある、紅華さんなら当然……アッ!

「どうやら、誘っていたようだな」
 倉崎さんの言った通り、杜都さんは直ぐに体を反転して紅華さんの進路を塞ぐ。

「何をやっている。ウカツに仕掛け過ぎだ」
 こぼれたボールに一早く、雪峰さんが回り込んでいた。

「流石は、雪峰士官。見事な状況判断能力だ……しかし」
「なにィ!?」
 言葉とは裏腹に、雪峰さんにスライディングタックルを仕掛ける杜都さん。

「まるでドイツ人のような、美しいフォルムのスライディングタックルだ」
 た、確かに……。
スライディングタックルが見事に決まり、ボールは杜都さんの足元に納まった。

「雪峰、テメーだって吹っ飛ばされてるじゃねえか!」
「クッ、それよりヤツを止めろ!」
「お前に言われなくたって、わ~ってるよ!」

 砂場のグランドの片隅にある、小さなゴールへと突進する杜都さん。

「コ、コイツ、なんてパワーだ。蒸気機関車みてーに突き進んでやがる!」
「重戦車と表現してくれ、紅華隊員」
 紅華さんは、ドリブラーだ。重戦車の突進を止められない。

「紅華は、守備が課題だ。いくら攻撃的ポジションとは言え、多少は相手の勢いを止めないと、バックの味方が大変になる」

「やはり、紅華では止められんか。ならばオレが止める!」
 雪峰さんが、なんとか追いついた。

「ショルダーチャージか。だが、ビクともせんぞ」
「うわッ!」
 逆にショルダーチャージを喰らって、吹っ飛ぶ雪峰さん。

「杜都、そこからシュートをしてみろ!」
 倉崎さんが、叫んだ。

「了解であります、倉崎司令」
 シュート体制に入る、杜都さん。

「安全確認よォォし、弾込めよォォし、単発よォォし!」
 また、意味のわからないコト叫んでる。

「発射ッ!(ファイヤー)」
 杜都さんの筋肉に覆われた左脚が大地を掴み、右脚がボールを変形させる。

「ロングシュート……」
「この位置から撃つのかよ!?」

 杜都さんなら、問題ない距離だ。

 形の変わったボールは反発して、もの凄い勢いで飛び、小さなゴールのネットを突き破った。

「だんちゃあああぁぁぁく、今ッ!!」
 ボクとの勝負で負けて落ち込んでいた杜都さんが、力強く叫んだ。

「と、とんでもねえ、ドリブルだな。全然止められなかったぜ」
「まったくだ、自分が不甲斐ない……」
 肩を落とし引き上げてくる、紅華さんと雪峰さん。

「そうだな。今度は自由にプレイしてみろ、杜都」
「じ、自由にでありますか!?」

「倉崎さん。杜都がスゲエのは、今ので十分解かったっスよね?」
「オレも、自分を見つめな直さねばならないと、思ったのですが……」
「まあいいから、もう一度相手をしてやってくれ」

「ま、まあ」
「倉崎さんが、そう言うなら……」
 二人は今度はパスプレイを織り交ぜて、杜都さんに挑んだ。

「やはり直線を止めるのは得意だが、面を見るのはまだ苦手だな」
 今度はあっさりと抜かれる、杜都さん。

「それに、自由にプレーしろと言った途端、プレーの質が落ちた」
 た、確かに。

「まだ、優秀な『兵士』と言ったところか……」
 倉崎さんが、ため息を吐き呟いた。

 

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