ラノベブログDA王

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萌え茶道部の文貴くん。第五章・第三話

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大須商店街のキワモノ部

「今日は、大須商店街でイベントが開かれてるんだ。屋台も出てるし、何か買って行こう」

 その日は、たこ焼きなどの定番屋台と共に、一風変った屋台も出ていた。
「チョコバナナ餃子ぁ~、チョコバナナ餃子はいらんかねえアル~♪」
「あッ、この声はッス?」声のする方を見る絹絵。

 『チャイナ服少女・復権友の会』の一条 明美を始めとした五人の少女が、屋台で『チョコバナナ餃子』を売っていた。

「チョコバナナ餃子、四本貰えるかな?」
  渡辺は商品を受け取りながらも、チャイナ服姿の五人の売り子にカメラを向ける。
「アル? これも、ブルーレイにするアルか?」

「こうやって撮った方が、生の臨場感があっていいだろ?」
「それもそうアル。みんな、手を振るアル~」
チャイナ服少女たちのとびっきりの笑顔が、カメラに飛び込んで来る。

「うわあぁ♪ カリッと焼かれた餃子の皮と……」
「チョコが溶けてバナナと混ざった中身との、食感の違いが最高~♪」
 双子はグルメマンガの様な、悦に浸った表情を浮かべていた。

「よかったら、杏仁ワタ飴もあるアルよ」一条 明美は、杏仁豆腐の入ったコップを手渡す。
「こ、これは、透明なコップに満たされた、杏仁豆腐の上に……」
「ホワっとかけられた綿アメが、甘くて最高~!」

「フウもホノも、まるでグルメレポーターみたいだな?」
 渡辺は試しに、楓卯歌と穂埜歌をあだ名で読んでみた。

「べ、別に、いいでしょ!」「美味しいものは、美味しいんだから!」
 双子は照れはしたものの、あだ名については受け流す。

 腹を満たした一行は、大須で有名なパソコンショップのビルに向った。

「これから向かうビルはパソコンショップなんだけど、ナゼか半地下の一階がイベント喫茶で、ナゼか三階より上がサバゲのプレイスペースになってるんだ」
「な、なんかカオスっス」「どうしてそうなった?」「迷走してんじゃない?」

 ビルの前には、カラフルな障害物が設置されていて、様々な種類の迷彩柄の水着を着た五人の少女たちが、ピストルやアサルトライフル風に改造された水鉄砲を撃ち合っていた。

「アレ……中でやるんじゃ無かったの? 栗林さん」
「普通のサバゲ部なら許可が降りたんだろうけど、ウチらは水鉄砲サバゲ部だからね。電子部品に水がかかると厄介だから、外でやれってさ。今日は気温も高いし調度良いよ」

 渡辺の問いに、『水鉄砲サバゲ部』部長の栗林 伊吹が答える。
「そうだ! 絹絵ちゃんもやってかない。そこの双子もどうよ? 水鉄砲貸すよ?」
「水着無いけど、もう六月だし……」「少しくらい濡れても、平気かな?」

「ならやるッス~! お二人とも……いざ勝負ッス~!」
 水鉄砲サバゲ部の五人に、絹絵と双子を入れると少女たちは合計八人となり、四対四のフラッグ戦が行われる。

 構えたカメラのファインダーの向こうで、水鉄砲を撃ち合う双子は、無邪気に子供っぽく笑っていた。
「どうやら、だいぶ元気になってくれたみたいだ」

 アサルトライフル風の水鉄砲は、意外に威力があり、手榴弾チックな水風船まで飛び交う。
迷彩水着の五人はともかく、双子姉妹はかなり濡れ、絹絵にいたってはビショ濡れだった。
「こ、これは……!?」カメラが映し出す映像には、透けた下着まで映っている。

「へっくちッ!」「くしゅッ!」寒そうな双子姉妹は、一枚のバスタオルを二人で巻いていた。
「へ~ックシュッ!?」ひときわ大きなくしゃみをする絹絵。
「だいじょうぶかい、絹絵ちゃん?」渡辺は、バスタオルで絹絵を拭いてやる。

 少女たちが寒そうにしているのを気遣って、渡辺はパソコンビルの半地下に向った。

「お帰りなさいませ、ご主人様。本日はお茶になさいますか? それともサーブルが宜しいでしょうか?」五人のメイド少女が出迎える。

「とりあえずお茶を貰うよ、御子神さん」「かしこまりました……ご主人様」
 『メイド流剣道部』の御子神 涼香は、すぐに温かい紅茶を持って来てくれた。

「ふゥ~、体が温まるッス~♪」「お気に召された様で何よりです……お嬢様」
「お、お嬢サマ……って、アチシのコトっスか?」「絹絵、顔が赤い」「照れてる」
「アチシはお二人と違って、お嬢様なんて呼ばれたことが無いだけっスよ!」

 紅茶の湯気をアゴにあてながら、香りを愉しむ渡辺。
「……紅茶も茶道……和洋の違いはあれど、人を気遣う気持ちは同じ……か」

 楓卯歌と穂埜歌も、紅茶を口に運びながら、リラックスしていた。
「これは紅茶だし、わたし達が教わった茶道とは全然違う……」
「でも、渡辺先パイの点てる抹茶と……似てる気がする」

「お褒めに預かり光栄ですわ。ところでどうでしょうか、双子のお嬢様。ここでは、フェンシングの『サーブル』と呼ばれる競技も楽しめます。一度、挑戦されてみては?」
「そ、そうだね」「やってみようか?」双子は承諾する。

 他の四名のメイド少女に手伝ってもらって、白いジャケットと金属の編みに覆われたマスクを付けた。
「行くよ、ホノ!」「いつでもいいよ、フウ!」双子は普段の呼び名で、呼び合う。
 激しい剣戟が飛び交い、メイド長でもある御子神 涼香も、スジが良いと感心する。

「へえ~、お二人ともやるッスねえ~?」「オレなんか、コテンパンにされそうだ……」
 渡辺はここでも、双子の激闘をカメラに記憶させた。

 体の温まった一行は、店を出て大須の散策に戻る。
 違うパソコンショップでは、『電気ウナギ発電・エコの会』の飼っている電気ウナギの『ボルタくん』を電源とした、自作パソコンが展示されている。

 屋台では『恐竜なりきる部』の、『恐竜ぬいぐるみ釣り』が子供たちの人気を博していたし、『未知との遭遇部』の『オリオン座とさそり座のカレイドスコープ』も売れ行き好調だった。

 大須の献血ブースでは、『ナース服・学生服化推進委員会』が献血の呼び込みを手伝い、駐車場の交通整理には『アスファルト研究部』が動員されている。
「みなさん、頑張ってるッスねえ? アチシたち茶道部は、何もしなくて大丈夫ッスか?」

「ウッ……そう言えば!?」
 渡辺の計画は、そこだけ完全に抜け落ちていた。