ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

2023-01-01から1年間の記事一覧

一千年間引き篭もり男・第09章・03話

広大な宇宙での遭遇戦 ボクたちが冥王星圏から離れて、半年が経っていた。広大な宇宙の航行は、1000年後の技術を以ってしてもそれだけの時間を要してしまう。土星の衛星であるタイタンを出発してから、2ヶ月が過ぎていた。 「改めて、MVSクロノ・カ…

ある意味勇者の魔王征伐~第13章・95話

乱戦の闘技場 「重力の黒き刀(やいば)を、受けるがイイ!」 戦争の中で青春を生きた少年が、大暗刻剣(マハー・カーラ)を振るう。 レオ・ミーダスは、自身を重力から解き放ち、闘技場の壁にめり込んだ舞人に突進した。 「ジェネティキャリパー!!」 ガラ…

この世界から先生は要らなくなりました。   第11章・第31話

シャワー室の襲撃 「館で吾輩は、警部の伯父と同室の客間だった」 広いドーム会場に、『シャー』っと水の流れ落ちる音がする。 「泊まり込みの警官の部屋と違い、シャワーだけは備えてあってね。男を演じていた吾輩は、捜査の忙しさを理由に、いつも深夜にシ…

キング・オブ・サッカー・第10章・EP007

ある優等生2人の戦略(タクティクス)1 かつては印刷会社の入っていたビルの、3階にあるデッドエンド・ボーイズのオフィス。黒髪の優等生と赤茶色の髪の優等生が、机を挟んで向かい合ったソファに座っていた。 「先日の試合、オレたちは2ー14と言うサ…

一千年間引き篭もり男・第09章・02話

マーズの野望 土星最大の衛星であるタイタンに到着したボクは、サターンさんから太陽系の情勢を探る。 「この土星に、マーズが艦隊を派兵すると言うのは本当ですか?」 ボクは、土星圏を統括するサターンさんの執務室の、ソファーに座っていた。 「残念なが…

ある意味勇者の魔王征伐~第13章・94話

裏切りの戦争 クレ・ア島を取り囲むように移動する艦隊が、島に向かって砲撃を続けている。 「思ったより、順調に進んでいるじゃない」 海洋に浮かんだ大型の戦艦に乗った、女性が言った。 彼女は、クセのある黒髪を頭の後ろでまとめ、ルージュの口紅に、紫…

この世界から先生は要らなくなりました。   第11章・第30話

マドルの思惑(おもわく) 「吾輩は、孤児院を訪れていた」 神於繰 魔恕瘤(かみおくり マドル)は、言った。 「2人目の被害者である、渡邉 佐清禍(わたなべ サキカ)さんの暮らしていた孤児院だ」 1人語りを始める、マドル。 彼女たちの舞台の演者(ロー…

キング・オブ・サッカー・第10章・EP006

あるサッカー界の新星の迷い2 「突然、こんな話をして済まない。オレの場合、意外と即断即決でな」 夕焼けのオレンジも、スミレ色に染まり始めた夕刻。サッカー界の新星が、ボクに言った。 確かに倉崎さんって、ケッコウ後先考えないで決めるよな。デッドエ…

一千年間引き篭もり男・第09章・01話

タイタン ボクが、太陽系の最果てで救助されてから、半年の月日が流れていた。 4か月前、準惑星エリスへの侵攻作戦は中止となり、バルザック・アイン大佐は宇宙ドッグコキュートスを、エリスの軌道から遠ざける決断をする。 「どうしてです。ここまで来て、…

ある意味勇者の魔王征伐~第13章・93話

戦争の刻(とき) 「アイツの剣も……重力を操るのか!?」 舞人は、ジェネティキャリパーに身体を強化し、叩き付けられた壁から抜け出す。 「少し違うな。拙者の剣は、重力の束縛から物質を解き放つのだ。例えば、こんな風になッ!」 レオ・ミーダスが、剣を…

この世界から先生は要らなくなりました。   第11章・第29話

無縁仏(むえんぼとけ) 墓場の舞台のマドルとハリカが、歩き始めた。竹崎弁護士の事務所から、2人で別の場所へと向っているのだろう。 「あの……マドルさん。次は、何処へ行かれるのですか?」 ハリカが、遠慮がちに聞いた。 「貴女の、祖母に会うのですよ…

キング・オブ・サッカー・第10章・EP005

あるサッカー界の新星の迷い1 「倉崎。海馬にチームオーナーを任せるって言った、もう1つの理由は解ってる?」 名古屋の有名な喫茶店の、駐車場から出発する軽自動車の後部座席で、メタボ監督が言った。 「オレの……海外移籍ですか」 サッカー界の新星は、…

一千年間引き篭もり男・第08章・86話

舞い戻った女神 「あ、あそこだよ。ボクのオリジナル!」 バル・クォーダのコックピットの中で、群雲 美宇宙(みそら)が叫んだ。 無数の星が煌(きら)めく全天の宇宙に、漂うゼーレシオン。それは、プラネタリウムで小さな星を見つけるよりも、困難な作業…

ある意味勇者の魔王征伐~第13章・92話

レオ・ミーダス 「な、なんだよ……いったい、何が起きているんだ!?」 目を覚ました因幡 舞人が、最初に見た光景は闘技場で争う人々の姿だった。 「どうやら周辺の国々が、ラビ・リンス帝国に対して叛旗(はんき)を翻(ひるがえ)したようじゃな」 舞人に膝…

この世界から先生は要らなくなりました。   第11章・第28話

生前の約束 「わたしは、警部補のマドルと申します。改めて、お話を伺っても宜しいでしょうか?」 ハリカに目配せをしながら、マドルが言った。 「モチロン、構わないっスよ。竹崎先生が、あんなコトになっちまって、先生にお世話になった者はみんな、憤(い…

キング・オブ・サッカー・第10章・EP004

あるメタボ監督の決断3 「フィッシュフライバーガーになります。ご注文は、お揃いでしょうか?」 もう何度も足を運んで来た女性店員が、テーブルの4人の男たちに伺いを立てた。 「それじゃ、追加で……」「セルディオス監督、それ以上は身体に悪いですよ」 …

一千年間引き篭もり男・第08章・85話

真っ白な光 この1000年の間に起こった、幾多の戦争や災害によって、地球の環境は劇的に悪化してしまった。人類の進出した太陽系の中心は、汚れた地球では無く、テラ・ホーミングを終えた火星となっている。 「宇宙斗は……地球を元の美しい蒼い星に、戻せ…

ある意味勇者の魔王征伐~第13章・92話

計画されていた反逆 「オレの剣、フェーズ・ド・ア・レイの光弾は、どこまでもお前を追いかけるぜ!」 ペイト・リオットの剣から放たれた光弾は、避けようとするミノ・テリオス将軍を自動で追尾する。 「少年と思って、侮(あなど)ってしまったな……」 ミノ…

この世界から先生は要らなくなりました。   第11章・第27話

好奇心旺盛な助手 「わたしには、あの子を殺す動機がありません!」 普段は穏やかな伊鵞 昴瑠(いが すばる)の怒声が、舞台からドーム会場へと響き渡った。 「そ、そりゃ、そうですよねェ」 警部の野太い声が、たじろいでいる。 「わたしは、遺産の相続権を…

キング・オブ・サッカー・第10章・EP003

あるメタボ監督の決断2 『カラン、カラン』と、ドアの上に付いたベルが鳴り、学生服姿の2人の男が喫茶店へと入って来る。 「おッ! 来たね、2人とも。ここは倉崎の奢(おご)りだから、まあ座ってよ」 メタボ監督が、2人を自分たちの席に座らせ、呼び出…

一千年間引き篭もり男・第08章・84話

重力下の再会 ゼーレシオンと、その剣に刺し貫かれたツィツィ・ミーメ。2機のサブスタンサーは、見えないブラックホールへと急激に引き寄せられていた。 「このままじゃ、ブラックホールに飲まれて消滅してしまうぞ。ミネルヴァさん、聞いてるか!?」 ボク…

ある意味勇者の魔王征伐~第13章・91話

ペイト・リオット 大魔王の去った闘技場に現れた、周辺諸国からの使者たち。大量の貢物を携(たずさ)え、7人の少年と7人の少女の奴隷を伴(ともな)っている。けれども使者たちは、反抗の意思を示した。 「フッ……お前たち使者風情が、ラビ・リンス帝国に…

この世界から先生は要らなくなりました。   第11章・第26話

2人の少女の首 「掘り返された、2人の少女の首。1つは首桶に入っていたため保存状態が良く、伊鵞 兎愛香(いが トアカ)さんであるコトが判明した。シャンデリアに潰された胴体の首とも、断面がほぼ一致したよ」 墓暴きで発見された2つの首について、観…

キング・オブ・サッカー・第10章・EP002

あるメタボ監督の決断1 名古屋の有名な喫茶店で、赤いビロードのシートに1人の太った男が腰を降ろす。男は日系のブラジル人で、若い頃は高度なテクニックで鳴らしたサッカー選手だった。 「クリームココアとカレーカツサンド、あとビーフシチューとあんか…

一千年間引き篭もり男・第08章・83話

錘(アンカー) 「クソッ……まるで見えない1点に向かって、引き寄せられている!?」 重力をある程度は操れるゼーレシオンですら、木星クラスの質量を持つ、小さなサッカーボール程度のブラックホールの、強大な重力からは抜け出せないでいた。 「準惑星エリ…

ある意味勇者の魔王征伐~第13章・90話

新たなる刺客 「かつてのミノ・アステ将軍の配下の活躍もあり、命を取り留められる者はほぼ救い終わりました。パルシィ・パエトリア王妃も、お体をお安め下さい」 ミノ・テリオス将軍が、王妃に傅(かしず)きながら言った。 「いえ。わたくしなら、大丈夫で…

この世界から先生は要らなくなりました。   第11章・第25話

2つの少女の首 「緑色の苔が生(む)す黒ずんだ墓は、誰がその下に眠っているのか、墓標に刻まれた文字すら読めない状態だった……」 舞台のマドルが、現場の状況を観客たちに説明した。 「この墓の前は、確かに土が緩んでいるね。それによく見ると、他は薄っ…

キング・オブ・サッカー・第10章・EP001

あるメタボキーパーの日常 「あ~あ、やっちまったなァ!」 湿った布団に寝転がった、ブタかアザラシのような男が言った。 「やっぱ、ここいらが潮時かもな。アイツらの頑張りを、オレ1人で無駄にしちまったんだからよ」 布団の横にはテーブルがあって、銀…

一千年間引き篭もり男・第08章・82話

見えない重力 かつてボクは、宇宙はアナログなのか、デジタルなのかと言う議論をしたコトがある。 紀元前、4~5世紀にも遡(さかのぼ)るギリシャの哲学者、レウキッポスやデモクリトスによって提唱された、物質の最小の単位。 例えばリンゴを2つに割り、…

ある意味勇者の魔王征伐~第13章・89話

白いミルクの回復魔法 「残念だケド、わたしの魔法じゃこの人は助けられないよ。ごめんなさい!」 わき腹から血をドクドクと流し横たわる男の前で、悲痛な顔をするウティカ。 大魔王ダグ・ア・ウォンらによって破壊され、蹂躙(じゅうりん)し尽くされた闘技…