ラノベブログDA王

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王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

キング・オブ・サッカー・第10章・EP004

あるメタボ監督の決断3

「フィッシュフライバーガーになります。ご注文は、お揃いでしょうか?」
 もう何度も足を運んで来た女性店員が、テーブルの4人の男たちに伺いを立てた。

「それじゃ、追加で……」
「セルディオス監督、それ以上は身体に悪いですよ」
 メタボ監督の、機先(きせん)を制す倉崎 世叛。

「そう? まだ腹八分目だケド、仕方ないね」
 メタボ監督は渋々、メニューを元あった位置に戻した。

「話を本題に戻すと、デッドエンド・ボーイズの代表を今後どうするかと、スポンサー集めをどうするかってコトだな?」

「ええ。正直、企業マネージメントの出来る優秀な代表であれば、スポンサー集めも同時に解決しそうなモノですが……」
「ウチの予算で、そこまでの人材を確保できる可能性は薄いです」

 チームの現状を示す、柴芭と雪峰。

「だろうな。なにをするにも、金が必要か。だが、その金を払ってくれるスポンサーを、集めないコトにはチーム運営も立ち行かない。悩ましい、話だ」
 ため息を吐く、サッカー界期待の新星。

「そこで、倉崎に提案があるね」
 メタボ監督が、食べかけのフィッシュフライバーガーを、皿に戻しながら言った。

「なんでしょうか、監督」
「実は、ある男を雇って欲しいね」
「ある男……セルディオス監督の、知り合いですか?」

「倉崎も、柴芭や雪峰も知ってるね。なんせその男は、ウチの運転手なんだから」
「え……それじゃあ、まさかその男と言うのは?」

「もちろん、海馬 源太(かいば げんた)よ」
 メタボ監督は、堂々と言った。

「海馬コーチですか?」
「ですがチームの代表となると、経営や経理などを覚える必要が……」
 不安を吐露(とろ)する、柴芭と雪峰。

「わたしも長年、サッカーの現場を見て来たケドね。弱小クラブの代表なんて、究極の雑用係よ。チーム内のヒエラルキーで言えば、最下層だってあり得るね」

「そ、そんなモノですか?」
 倉崎 世叛は、納得が行っていない顔だった。

「Zeリーグ1部の、名古屋リヴァイアサンズのチームオーナーなら、そりゃ1流の経営者だろうし雑用係ってコトは無いね。でも、チームスタッフを大量に雇えない小さなクラブの代表は、色んなコトをやらなきゃチームが回らないね」

「言われてみれば、そうですね。とりあえずの代表代理であれば、海馬コーチが適任かも知れません」
「経営や経理なら、オレと柴芭でサポートします」

「柴芭や雪峰が助けてくれるなら、なんとかなりそうだな。海馬コーチに、打診して見るか」
「それじゃ、早速電話かけるね」
 スマホを取り出す、メタボ監督。

「ええッ!? オレがチーム代表って、マジで言ってるんスか!?」
 呼び出されたメタボキーパーが、最大限に驚いた表情をしていた。

「そりゃ、毎試合大量失点喰らってるんで、現役引退を言い渡される覚悟はしてましたケド。デッドエンド・ボーイズのチームオーナーって、オレに務まるとも思えませんが……」

「心配無いね。さっきまで居た、柴芭と雪峰がサポートしてくれるから」
「引き受けてくれると、有難いんですが」
 お気楽な顔のメタボ監督と、真剣な眼差しのサッカー界期待の新星。

「く、倉崎さんにまで言われちゃ、考えなくも無いですケド、ホントにオレなんかでイイんですか?」

「キーパークビになって、現役引退なんだから、贅沢は言えないよ」
「オレも引退は覚悟していて、サッカーの仕事に携(たずさ)われればって思っちゃいましたケド、ホントにオレなんかで大丈夫?」

「大丈夫かどうかは、やって見なくちゃ判らないね」
「そんな、無責任な……」

「でも現状、チームオーナーまで倉崎ってのは、相当無理があるのは事実ね」
「お願いします。どうか、引き受けてはくれませんか?」

「わ、解ったよ。だケド、チームオーナーって、まず何をやりゃイイんだ?」
「まずは、資金源の確保ね。スポンサー探しの、営業から始めるよ」
「オ、オレが、営業ッスか?」

「そんなの直ぐ慣れるよ。だけどそんなブクブクの身体で、着れるスーツある?」
 メタボ監督は、言った。

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