ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

キング・オブ・サッカー~登場人物紹介・011

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野洲田 義定(やすだ よしさだ)

ポジション :DF
身長    :190cm
体重    :84kg
利き脚   :右脚
背番号   :4
愛称    :ヤス
出身地   :静岡県
好きな食べ物:しらす丼、刺身定職
嫌いな食べ物:甘いお菓子全般

プロフィール

 部活を辞めた紅華と同じく、海馬コーチの元で技術を磨いていたディフェンダー。
たまにある練習試合では、副キャプテンを務めていた。

 海馬コーチ共々デッドエンド・ボーイズに加わると、紅華の推薦でレギュラーのセンターバックに抜擢される。
パワータイプのディフェンダーで、対人プレイの制圧力が高い反面、ファウルを貰うコトも多い。

 龍丸と同じくリベロとしての素養を持つが、プレイスタイルは異なり、中盤まで上がるとロングシュートを狙う。
爆発的なキック力があり、フリーキックを任されるコトもある。

 直情型でぶっきら棒だが、一応はペナルティエリア内のファウルはしない様、心がけている。
静岡出身で、実家が海鮮市場で飲食店を営んでいる為、魚の話にはやたらとうるさい。
刺身包丁でまぐろをさばくコトも出来る腕前で、中学卒業と同時に調理師免許も取った。

 魚嫌いや苦手な人に、魚の魅力を伝えようと努力するも、いつも迷惑がられている。
釣りと水族館巡りが趣味だが、どちらも1人でする。
ジンベエザメと深海魚が、特にお気に入り。

 

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キング・オブ・サッカー~登場人物紹介・010

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龍丸 信義(たつまる のぶよし)

ポジション :DF
身長    :192cm
体重    :81kg
利き脚   :右脚
背番号   :2
愛称    :龍丸
出身地   :山梨県
好きな食べ物:自然薯のとろろご飯、フキノトウ
嫌いな食べ物:トムヤムクン

プロフィール

 部活を辞めた紅華と同じく、海馬コーチの元で技術を磨いていたディフェンダー。
普段は、児童公園や空き地を利用して練習していただけだったが、たまにある練習試合ではキャプテンを務めていた。

 雪峰からのコンタクトで、海馬コーチ共々デッドエンド・ボーイズに加わると、紅華の推薦でレギュラーのセンターバックに抜擢される。
背が高く、ガッチリとした体格もあって、空中戦にはかなりの自信を持つ。

 ロングキックも定評があり、深い位置からのゲームメイクが可能であると共に、直線的な突破型のドリブルが得意で、最後尾からボールを持ち出せる。

 リベロとして、かなりの素養を見せるものの、フィニッシュは苦手で、相手ディフェンスを引き付けて、フリーの味方にパスをするのが定番プレイ。
フリーの味方と言うのは、多くの場合紅華であり、龍丸のパスを紅華が決めるのが、海馬コーチのチームの必勝パターンだった。

 普段は落ち着いた性格で、リーダー気質ではあるものの、極度の陰謀論者。
フリーメイソン、ロスチャイルドやロックフェラー、アヌンナキなど、あらゆる陰謀論を本気で信じ、熱く語りかけて来るため、仲間内からドン引きされる。

 

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キング・オブ・サッカー~登場人物紹介・009

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海馬 源太(かいば げんた)

ポジション :GK
身長    :185cm
体重    :92kg
利き脚   :右脚
背番号   :1
愛称    :海馬コーチ、源太
出身地   :東京都
好きな食べ物:焼肉、ステーキ、ピザ、ラーメン、ビール
嫌いな食べ物:葉物野菜、ひじき

プロフィール

 中学時代、先輩と折り合いが悪く、部活を辞めた紅華の面倒を見ていたサッカーコーチ。
紅華以外にも、龍丸ら多くの才能ある選手も彼の元で技術を磨いていた。

 プロサッカークラブ・リヴァイアサンズのストライカーとして長年活躍した江坂とは親友で、高校のサッカー大会でベスト8にもなったチームの、エースと正ゴールキーパーの間柄だった。

 高校卒業後にプロ入りするも、酒と女に溺れ僅か3カ月で退団へと追い込まれる。
結婚もしていたが定職にも就かなかったため、愛想をつかされて離婚し、長らくフリーターやニートとして暮らしていた。

 不摂生が祟り、体重は増える一方であったが、自分と同じチームから弾き出されたサッカー選手の、面倒を見始める。
キーパーとしての能力は、全盛期に比べ見る影も無いが、コーチとしてはそれなりの人望がある。

 小学生時代から、セルディオス高志の指導を仰いでおり、今でも頭が上がらない。
自分のコトを『二ーター』と称する辺りは、師匠譲り。

 師匠のセルディオスには反対されるも、倉崎の誘いもあってデッドエンド・ボーイズに加わり、マイクロバスの運転手という定職も得た。
1番を背負う、正ゴールキーパー。

 

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キング・オブ・サッカー~登場人物紹介・001

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御剣 一馬(みつるぎ かずま)

ポジション :MF
身長    :175cm
体重    :62kg
利き脚   :右脚
背番号   :10
愛称    :カーくん、カズマ
出身地   :愛知県
好きな食べ物:オレンジジュース、ハンバーグ
嫌いな食べ物:ピーマン、納豆、ワサビ

プロフィール

 サッカー好きの高校1年の少年で、プロサッカー選手である倉崎に誘われ、彼の立ち上げたデッドエンド・ボーイズの一員となる。

 極度の上がり症で、幼馴染みの奈央以外の他人とは上手く話せない。
その為、入学した高校のサッカー部に入部届けを提出するも、一言も喋らなかったのが仇となって、入部が出来ずに終わる。

 好きなサッカーが出来ずに、プロになる夢を閉ざされ落ち込んでいた時、倉崎と出会いデッドエンド・ボーイズ最初のメンバーとなる。
プロの舞台で華々しく活躍する倉崎の姿を見て、決意を改め、苦手な会話に苦戦しつつも、チームメイトとなるメンバーのスカウト活動を行う。

 子供の頃はイジメられっ子であり、顔立ちはカッコよく成長したものの、中身は子供っぽいままであり、本人に自分がカッコよくなっている自覚は無い。
また、本人は緊張し喋れないだけなのだが、顔がイケメンの為、生意気なヤツだと勘違いされるコトも多い。

 サッカー選手としては、1人で必死に練習したいたコトもあって、個人技はかなりのもので、スカウト相手の選手とも好勝負を演じる。
ピッチ全体を把握する能力に優れ、試合の流れを掴んだり、変えたりもできる。

 フットサル大会ではキーパーをさせられ、倉崎に重要視されていないと落ち込むも、背番号10のユニホームを渡され、チームのエースとして成長して行く。

 

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ある意味勇者の魔王征伐~第10章・9話

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イヴァンと3人のオオカミ娘

「オイ待てよ、オレたちは大人だぜ!」
 赤毛の少女が、不機嫌そうに言った。

「あのなあ、お嬢ちゃん。どこにそんなチンチクリンの、小っこい大人がいる」
 酒場の扉の前で、制服姿の店員が仁王立ちで立ち塞がっている。
「後ろのお姉ちゃんだって、未成年にしか見えないのに……」

「ええ、まあ……」
 (しまったわ。雪影か、せめてあのデカぶつが居れば、こんなコトには……)

「なんか言ったかい、お姉ちゃん?」
「いえ、なんでも……アハハ」
 パッションピンクの髪の少女は、照れ笑いをして誤魔化した。

「仕方なしじゃな。妾たちは見た目、どう見ても子供じゃしのォ」
 漆黒の髪の少女が、腕組みをして天を仰ぐ。
すると、少しくたびれた顔の、中年男の顔がそこにあった。

「済まぬがこの者たちは、わたしの連れなのだ。入れてやってはくれぬか?」
「あ、貴方は……?」
 どことなく威厳のある男に、店員は恐る恐る素性を問いかける。

「ニャ・ヤーゴの街の騎士団長、イヴァン=ヴァス・ティアスだよ」
 そう名乗った男は、銀色のチェストプレートに身を包み、赤いマントを羽織っていた。
彼の足元には、オオカミの様に尖った耳をした、灰色の髪の3人の少女がいる。

「お、お前は……別動隊の、隊長か!?」
「へ……ああ、魔王城攻略の時の人!?」
 シャロリュークとカーデリアは、過去の記憶を呼び覚ました。

「その節は、お世話になりました」
 2人の少女に向け、深々と頭を下げるイヴァン騎士団長。
その姿を見て、店員は恐々とする。

「妾も見覚えがあるぞ。確か、王都で妻が亡くなったとか言っておったな」
「ええ。わたしの妻は、王都でサタナトスによって殺され、魔王の材料とされた魔導士の1人です」
「確かエキドゥ・トーオの王宮の、王宮魔導士だったのよね……」

「ですが倒された魔王は、蒼き髪の英雄の剣によって新たな生を受けました」
「お主の連れている3人が、あの時の娘たちじゃな」
 ルーシェリアが目を向けると、3人は尖った耳をクルクルして様子を探っている。

「はい。我が妻や他の魔導師たちの生まれ変わりと思って、大切に育てております」
 イヴァンが少女たちの頭を撫でると、3人は嬉しそうに表情をほころばせた。

「何とも可愛らしいのォ。して、名前は付けたのかえ?」
「はい。かの聖女様にあやかって、パトラ、パニラ、パメラと名付けました」

「パ、パレアナの名前かえ。生きておったら、何と言うじゃろうな」
「恐れ多いとは、思ったのですが……」
「イヤイヤ、良き名じゃ」

「と、ところで……入店はされるのですか?」
 待ちくたびれた店員が、苦笑いを浮かべながら言った。

 一同は、イヴァンを先頭に酒場に入り、大きな丸いテーブルを囲んで座ると、酒は頼まず食べ物のみを注文する。

「それにしても、どうしてキャス・ギアへ?」
「実は領主より、皆さまがサタナトスの過去を調査されているので、補佐をせよとの命を受け、馳せ参じました」

「ふむう、あの領主も中々気が利くのォ」
「有難いケド、騎士団長のイヴァンさんが街を離れて、大丈夫なの?」
「ニャ・ヤーゴにはわたしの他に2人、優秀な騎士団長がおりますからな」

「ま、取り敢えず、酒場には入れたんだ。情報収集と行こうぜ」
「でも、そんなに簡単に、情報が集まるかしら」
 赤毛の少女の気楽さに、不安を吐露するカーデリア。

「はいよ。ご注文のデザートリザードの、丸焼きだよ」
 ぶっきら棒なおばちゃんが、大きなトカゲの丸焼きをテーブルに置く。

「こりゃあ旨そうだ。この辺りの、特産かい?」
 シャロリュークが、さり気なく問いかけた。

「コイツは、西の礫の砂漠に生息するトカゲでね。よく冒険者たちが、売りに来るのさ」
「冒険者か。この酒場にも、居るのか?」
「ああ、居るよ。向かいのテーブルで1人で酒飲んでるのなんか、ウチの常連さね」

 おばちゃんがカウンターに戻って行くと、赤毛の少女は向かいのテーブルへと歩き出す。

「なあ、おっちゃん。冒険者なんだって?」
「まあな。それがどうしたィ、嬢ちゃん」
「冒険の話、聞かせてくれよ。デザートリザードは、おっちゃんが獲って来たのか?」

「そうだ。昔はかなりの数獲れたんだが、最近じゃ数がめっきり減っちまってな」
「なんで数が減ったんだ。砂漠で暑いからか?」

「砂漠生まれのトカゲが、暑さでへばるかよ。何年か前から近くにあるオアシスに、獣人の女どもが棲みついてからと言うモノ、全然だ」

「獣人って、どんなヤツらだ。おっちゃん、見たのか?」
「イヤ。だが知り合いの話じゃ、トカゲみたいな恐ろしい女の集団って話だぜ」
「トカゲがトカゲ、喰うのか?」

「かもな。ハッハッハ」
「アリガトな、おっちゃん」
 赤毛の少女は、自分のテーブルに戻って行った。

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この世界から先生は要らなくなりました。   第05章・第28話

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兄妹の未来

「あの日……兄さんは、アイツを……あの男を家に連れて来たわ」
 瀬堂 癒魅亜の言ったあの男とは、久慈樹 瑞葉に他ならなかった。

 時は彼女の、幼き日の記憶へと巻き戻る。
それはボクや倉崎 世叛がまだ、高校1年だった夏の出来事だった。

「ユミア、今、叔父さんや叔母さんは居るかな?」
 少女の小さな耳に充てられたスマホから、優しい声が問いかける。

「……居ないよ。沖縄に旅行に行ってる」
「お前を置いてか。じゃあ、沙織と早苗も?」
「うん。2人とも、水着買って貰って喜んでた」

「小学生のお前1人置いて、泊りがけの旅行に行くなんて、なんてヤツらだ」
「わたしも誘われたんだケド……家でゲームやってる方がいいし」
「お前なあ……」

 スマホの向こうから聞こえるため息に、少女は口元を緩める。

「お兄様、今から来るの?」
「ああ。玄関、開いてるか?」

「い、今から開けるね」
 少女はスマホを切ると、自分の部屋を飛び出し、慌てて階段を駆け降りた。

「お兄様!」
 喜び勇んで、玄関の扉を開ける少女。
少女の大きな瞳に、夏の入道雲をバックに2人の制服姿の男が映る。

「やあ、キミがユミアちゃんかい。小っちゃくて可愛いねえ」
 サラサラとした髪の男が、爽やかな笑顔で少女に語りかけた。

……と、同時に少女の笑顔は消え、玄関の扉は再び閉ざされる。

「オイ、ユミア。玄関開けろ。まったく……」
「これは、想定以上のお姫様だねえ」
「悪いな、久慈樹。少し待っていてくれ」

 倉崎は、スマホを片手に妹の説得を始めた。
玄関の扉が再び開かれるまで、30分の時を要する。

「もう、なんで……どうして、お兄様1人じゃないの!」
「説明しようとしたのに、お前がスマホを切ったから……」
 不貞腐れた妹の膨れ面に、必至に弁明を始める兄。

「天才プログラマーのキミも、妹の前では形無しだねえ」
「うるさいな。だから、あまり連れて来たくは無かったんだ」
 倉崎は、妹の部屋に久慈樹を招いた事を、少し後悔する。

「それにしても、このパソコンやスマホの量は何だい?」
 部屋を隈なく見渡す、久慈樹。
部屋の至る所でパソコンが稼働し、スマホやガジェットがあちこち散乱していた。

「コイツは、極度のデジタル娘でな。部屋にあるパソコンは全て、コイツが自分で組んだモノだし、叔父さんを始めとするこの家の家族が使っているパソコンも全てそうさ」

「キミの妹って、まだ小学生だろ?」
「ああ、まだ8歳だ」
「マジか!?」

「お兄様……用事、済んだ?」
 8歳の少女が2人の会話を、鋭い視線で睨んでいる。

「どうやらボクに、さっさと帰って欲しいみたいだね」
「悪いが、まだこれからが本題だ。ゲームでもして、遊んでいてくれ」

「わかった……」
 少女は、胡坐をかいた兄を椅子にして、ゲームを始めてしまう。

「ゲーミング・チェアになった気分はどうだい?」
「黙れ。それより、さっさと本題に移るぞ」
「ああ、ボクは一向に構わないよ」

 倉崎 世叛は、レーシングゲームに興じる妹を、膝に抱えたまま話を始めた。

「まず、ユークリッドの今の動画は、オレのノートパソコンで作っているが、やはり限界がある」
「それで妹さんが造ったパソコンを、いただこうって寸法かい?」
「そうだな。施設にいた頃は、自分で物を所有できなかったが、今なら可能だ」

「児童養護施設か。前に聞いた話じゃ、他の子どもが欲しがるからって理由で、親類が子供におもちゃとか買ってあげるのもダメなんだろ」
「ああ、下らない平等主義ってヤツさ」

「平等に、持たざる者でいなくちゃならない……か。確かに下らないね」
「ま、悪い面ばかりとも言えんがな。少なくとも、金を稼ごうと努力する様にはなった」

「そんな環境で、プログラミングを身に付けたキミには、感服するよ」
「それでだが久慈樹。これだけのパソコンがあれば、金を稼ぐ事は可能か?」
「性能(スペック)次第ってところだね。起動させてみて、いいかな?」

「ダメ、全部わたしの!」
 レーシングゲームをしていた少女が、足をジタバタさせる。

「なあ、ユミア。これは、オレとお前の未来にとっても、大事なコトなんだ」
「……」
 少女は答えず、画面のGMAE OVERの文字をまっすぐ見つめていた。

「お前のパソコンを使って、金を稼いで2人で暮らそう」
「わたしのパソコンで……そんなコトが出来るの?」

「電子マネーのマイニングに、株の取引。それで得た金で、今の事業を拡大すれば可能じゃないかな」

 久慈樹 瑞葉は、少女に理解不能な言葉で説明した。

 

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一千年間引き篭もり男・第06章・04話

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ディー・コンセンテス

「それって……どう言うコトだ?」
 ボクは思わず、全く同じ質問をしてしまった。

「要するに、トロヤの生産ラインじゃ作りようが無い、オーバーテクノロジーってことだろ」
「待ってくれ、プリズナー。じゃあ一体誰が、イーピゲネイアさんのアーキテクターを製造したんだ?」
 ボクの頭にも薄々、その答えが浮かぶ。

『時の魔女かと思われます』
 ヴェルダンディの答えは、ボクが予想した通りのモノだった。

『イーピゲネイアのアーキテクターは回収されておらず、確実とまでは言えませんが、破壊された光の弓などを分析した結果、我が艦やゼーレシオンと似た技術(テクノロジー)が使われているコトが判明しました』

「ト、トロヤ群でのアーキテクターたちの反乱は、イーピゲネイアさんの意志によるものだったハズだ」
「残念ながら、そうじゃ無いってコトだろ」
「だ、だけど、アレだけ大勢の人間が命を堕とし、多くのアーキテクターが破壊されたんだ」

「それに意味なんて無えよ。人が生きるか死ぬかなんざ、そこら中で起こっている話さ」
「で、でもですね。人はそこに……意味を見出したいんだと思います」
 栗色のクワトロテールの少女が、プリズナー相手に自らの意志を示す。

「ま、センチになんのは勝手だがよ。冷静に見ればアーキテクター共の反乱は、時の魔女が裏で糸を引いていた可能性が高いってコトだろ?」

「イーピゲネイアさんは、時の魔女に煽動されていたって言うのか?」
「自分じゃ利口ぶってたがな。そう言うヤツに限って、煽動されて世の中を狂わせるのさ」

「イーピゲネイアさんは……」
 ボクは反論しようとしたが、思い止まる。
プリズナーが言った言葉は、紛れも無い正論だったからだ。

「でもさ、艦長。ペンテシレイアたちは、仲間に加わったワケだし……」
「こうして、火星にも還ってこれた……」
「後は大人たちの交渉次第だケド、いつまで待たされるんだか」

「真央、ヴァルナ、ハウメア。火星は、キミたちの故郷だったね」

「まあな。赤い大地に降りるのが、待ち遠しいぜ」
「久しぶりの里帰り……」
「早く妹たちに、遭いたいよ」

「そうだな。早く、結論が出てくれれば良いんだが……」
 ボクはため息を吐きながら、眼下の赤い星を眺めた。

 赤い大地を吹く風は、赤い砂塵を巻き上げる。
軍神の名を持つこの惑星は、地球の10分の1の質量しか持たず、重力も40パーセントと小さい。

 けれども逆説的に考えれば、地球に比べロケットを宇宙に打ち上げるのも容易であり、木星圏やメインベルトの開発に大きな役割を果たして来たのも、この惑星である。

「一体、どこの国の所属なのか。その得たいの知れない艦と言うのは!」
 火星を含む太陽系全ての惑星に置いて、最も標高の高い山・オリュンポス山の頂上に築かれた、ギリシャのパルテノン神殿を超高層ビルにしたかの様な建造物。

「我が火星の人間を、フォボスのプラント事故に乗じて大勢拉致したと言うでなはいか」
 その最上階の会議室で、巨漢の男が円卓に集まったメンバーを相手に、声を荒げていた。

「これは明らかに、我ら火星を狙った侵略行為の前兆に他ならない。我々『ディー・コンセンテス』は、一致団結して彼奴等と対峙すべきだと考える」
 男は一しきり捲し立てると、大きく息を吐き椅子にドカッと座った。

「言いたいことは、それだけかしら。木星圏の代表(ユピテル)」
 円卓の周りに配された、12の椅子の1つに座った女性が、鋭い視線を男に向ける。

「貴方の管轄下にあるトロヤ群と、ギリシャ群の軍事企業。そこで勃発したアーキテクターの反乱を、彼らが鎮圧したとの情報がもたらされているのですが、ユピテル……貴方の見解をお聞かせ願いたい」

「そ、それはだなあ、月圏の代表(ディアナ)。まだ調査報告が、完全には上がっておらんのだ」
 男は屈強な筋肉質の身体を丸め、言葉を濁す。

「まさか、あの情報が真実だったとは……前代未聞の失策ですぞ、ユピテル」
 金髪の美しい好青年が、巨漢の男を責め立てる。

「元はと言えば、グリーク・インフレイム社と、トロイア・クラッシック社による、降らない軍需の利権争いがコトの発端でしょう。しかも、彼らが率いる艦隊は、その2社の艦隊を鹵獲(ろかく)したモノだと言うではありませんか」

「お、落ち着かれよ、メルクリウス(宇宙通商交易機構の代表)殿」
 最初に声を荒げた巨漢の男が、必至に弁明を始めた。

「ヤツらは我が統治下にある艦隊を、4個艦隊も奪ったのですぞ。これが敵対行為で無くて……」
「お黙りなさい、ユピテル」
 1人の女性が、それを制する。

「もはや貴方に、発言権はありません。これより我らが裁定が降るまで、木星に帰って事態の収拾に勤めなさい」

「は、はい、ミネルヴァ(地球圏の代表)様!」
 ユピテルは謙(へりくだ)って、会議を退出した。

 

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