ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

キング・オブ・サッカー・第一章・EP001

f:id:eitihinomoto:20191113233812p:plain

御剣 一馬

 その日、『御剣 一馬』は、サッカー部の部室中央に立っていた。

「何だ、お前……さっきから突っ立って、一言も喋らないでよォ?」
 年季の入った外の看板には、『曖経大名興高校サッカー部』と書かれている。

「オイオイ、口はついてんだろ?」「何とか言いやがれってんだ!」
 奥の窓際に座ったいかつい顔の男たちが、端正な顔立ちの少年に睨みを利かした。

「少しばかり顔がいいからって、スカした態度とってんじゃねーぞ、コラァ!?」
「サラサラした髪が自慢か、なあ? 一年がナマイキなんだよ!」
 先輩風を吹かしながら、言いがかりにも程がある態度で威圧を強める。

 細い眉に切れ長の目……御剣 一馬の風貌は、彼らがやっかむのも致し方なしと思えるくらいに、彼らとは対照的な涼しい顔だった。

「先パイであるオレたち相手に、眉一つ動かさないとはいい度胸じゃねえか?」
「その右手に持ったモンは、入部届けだろ」
「出すのか出さねえのか、いい加減はっきりしろ!」

 ……それから、三十分が経過した。

「だあああッ!? だからなんで一言も喋らないんだよ!」
「何がしてーんだ、お前?」
「入部してーんなら、さっさとそれ出しやがれってんだ!」

 するとサラサラ髪の一年生は、入部届けを持った方の手を高々と挙げる。

『ダアアアアァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!」
 御剣一馬は『入部届け』を、部室の汚い長机に叩きつけた。

「お……おま、どんだけ根性座ってんだ、コラァ!!?」
「無言を貫いた挙げ句が、これかぁッ!?」
 それでも『御剣 一馬』は、表情一つ変えずに無言で立ち続けている。

「ワケわかんねーにも、程があるぜ……!」
「もう、いいから出て行け。お前みたいなヘンなヤツ、絶対に入部させねーからな!」
 いかつい顔の先輩たちは、ついに彼を強引に追い出した。

 それから一時間後……御剣 一馬は一人の女子高生と、川沿いの土手を歩いていた。

「あ~~~、またやってしまったぁあッ!!?」
 御剣一馬は、天を仰ぎ見る。
「すべての勇気を振り絞って、入部届けを出しに行ったのにィ、また一言も喋れなかったぁ~~!!」

 暖かくなり始めた日差しの元、真新しい制服に身を包んだ少年が叫ぶ。
「しかも、緊張のあまり入部届けを……入部届けを、机に叩きつけちゃったあぁッ!?」
 サラサラヘアーの頭を抱え、のたうち回る一馬。

「カーくん、アンタねえ。人前に出ると緊張して喋れなくなるの、何とか治んないの?」
 彼の叫びを聞いた女子高生は、ハアッと溜め息を付く。

「ムリだよォ、奈央。ボクが極度の上り症なの、知ってるだろ? 先パイたちに、ダメでドジで、要らないヤツだと思われたァ!」

 隣を歩く、サラサラヘアで端整な顔立ちの幼馴染みを横目に、奈央は思った。
(一馬の頭の中じゃ、未だに子供の頃のイジメられっ子のままなんだろうケド……アンタ、随分と背も伸びたし、カッコ良くなっちゃってるんだからね)

 土手を歩く二人は、奈央とは違う制服を着た女子高生の集団とすれ違う。
途端に、顔が強張る一馬。

「ねえねえ、今のコ見たぁ?」「めっちゃイケメンじゃん?」「でも、彼女持ちィ?」
「大して可愛くなかったよね、彼女」「だね~、不釣合い!」
 後ろから聞こえてくる女子トークを聞き流しながら、奈央は横目で一馬を見る。

「きっと先輩たちにも……イケメンでナマイキな一年だと思われたのよ……」
 一馬の幼馴染みの女子高生は、小さく呟く。

「ん? なんか言った?」
「カーくん、外見はカッコよくなってんだケドねえ……中身が……」

「やっぱ終ってるよねえ? だって自分の学校のサッカー部に、入部断られたんだモン」
 再び溜め息を付く女子高生の隣で、再び天を仰ぐ一馬。
「ああ、プロのサッカー選手になるっていう、ボクの夢があああぁぁぁッ!?」

 すると一人のジャージ姿の男が、土手をランニングしながら向こうからやって来た。
男はジャージのフードを頭に被り、顔はあまり見えない。
男は、二人の横を通り過ぎるかと思われたが、一馬の前にしゃがみ込んだ。

「……キミ、良い脚してるね」
 男はフードを外すと、若い青年の顔が現れた。

 

 前へ   目次   次へ