ラノベブログDA王

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キング・オブ・サッカー・第四章・EP008

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スーパースターと三木一葬

 チェルノ・ボグスVSマジシャンズ・デステニーの、試合終了のホイッスルが鳴り響いた。
スコアボードには、6-1の数字が書き込まれている。

「終わってみれば、随分と点差が開いちまったよな。なあ、一馬」
 黒浪さんの意見に、ボクもコクコクと同意した。

「柴芭士官が何度もクリアしたので、この点差に納まっているが、それが無ければ」
「そうだな、もっと点差は開いていたハズだ」
 デッドエンド・ボーイズの二人のボランチは、決勝戦の相手を前に気を引き締める。

「柴芭の野郎も、ザマァ無えな。あれだけマジックだの占いだのカッコつけてやがって、決勝には上がって来れねえんだからよ」
 紅華さんが、席を立った。

「オレたちだって、あんなチームに当たってたら負けてただろ?」
「そのチームと決勝で戦うってのに、何言ってやがんだ」
「そりゃな……って、どこ行くんだよ。また女のところじゃねえか」

「決勝まで、少しばかりインターバルがあっだろ。アイツらと、柴芭を冷やかしに行って来るぜ」
「ピンク頭、オメーさいてーだな」
「おうよ。二ヒヒ……」

 紅華さんはそう言うと、7人の女子高生たちを引き連れて、1階に降りて行った。

「カーくん、お疲れ~。試合、どうだった」
 見慣れた顔の幼馴染みが、冷えたオレンジジュースをボクの頬っぺたに押し付けながら、横に座る。

「な、奈央。ど、どうって別に、キーパーだったし」
「カーくん、キーパーはやったコト無いのに、頑張ってんじゃん」
「だって、やるしか無いって言うか」

 紅華さんじゃないケド、奈央にもあんまりカッコいいトコ、見せれてないよな。
……と思いつつ、オレンジジュースを飲み干した。

「柴芭さんのチーム、負けちゃったね」
「うん。残念だケド、相手の方が強かったんだ」
「でもその相手と、カーくんたち試合するんでしょ?」

「まあね。なるべく頑張るケド、何点取られるコトやら」
「相変わらずネガティブなんだから。もっと気合を入れないと、倒せないでしょ」

「へー、オレらを倒すって言ってるぜ、この姉ちゃん」
 ボクたちの後ろから、声がした。

「わああ、あ、あなた達は!?」
 振り返ると、試合を終えたばかりの三木一草の4人が立っている。

「へへ、チェルノ・ボグスの勇樹ってんだ。可愛いお尻の姉ちゃん」
 勇樹さんの右手が、座っている奈央のお尻に伸びた。

「あ。なんや、テメーは?」
 いきなり勇樹さんが、ボクに向かって凄む。
ボクの手が勝手に、勇樹さんの手首を掴んで止めていた。

「問題行動は、お前の方だ、勇樹。警備員呼ばれて捕まるぞ」
「じょ、冗談だろうが。宝木はいつも、真面目過ぎじゃね」
「ま、オレはお前が、警察に連行されたところで、一向に構わんのだが」

「だから冗談だって言ってるだろ。それにしても、イケメンの兄ちゃん。オレに睨まれても顔色一つ変えないとは、中々に根性座っとるな」
 紅華さんたちに、ハリネズミとか言われてた頭が、ボクの真横に来る。

 うわあ、睨まれて顔が引きつってるだけなのに、なんで何時も勘違いされちゃうんだろ?

「勇樹、全てに置いてお前が悪い」
「っせーな、葛埜季。ヘイヘイ、わーったよ」
 仁王立ちをしている、葛埜季さんの迫力に押されたのか、勇樹さんがヤンキー座りを止めた。

「それにしても……まさか、こんなところで会うとはな、倉崎」
 腕を組んだままの仁王さまが、ボクの背後を睨んでいる。

「それはオレの台詞だぞ、葛埜季。今頃三人とも、全国に向けて戦っている頃だと思っていたが」
 ジャージ姿にサングラスをかけた倉崎さんが、反論しながら近づいて来た。

「嫌味なやっちゃな、倉崎 世叛。スター気取りな格好で、上から目線かよ」
「仕方がない。全国への切符を手に出来ずに敗れたオレたちが、何を言っても言い訳になる」

「全国どころか既にプロで戦っているお前とは、大きく間を開けられてしまったようだな」
「今のところはな。だがお前らだって、プロからの誘いは受けているんだろ」

「フン、何のタイトルも持たず、手ぶらでプロの門を叩くのもシャクだからな。冬に向けての調整も兼ねて、コイツらと手を組んでいる」

「敵の情報収集も兼ねてな」
「まあ、そう言うこった」
 三木一葬は、敵同士でもあった。

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