ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第9章・4話

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女王誕生

 小さな地方都市にしては立派な天守閣を持っていると言われる、ニャ・ヤーゴの城に置いて、一人の少女が女王となる戴冠の儀が執り行われていた。

「亡き王の遺志により、このプリムラーナ・シャトレーゼが……」
 女将軍は皇女の前で片膝を突き、両手で恭(うやうや)しく刀を差し出す。

「ヤホーネスの王権の証たる刀『八咫』を、神澤・フォルス・レーマリアに授けよう」
「はい。謹んでお請け致します」
 眩いばかりに輝く金色の髪の美少女は、しっかりと宝刀を受け取る。

「このレーマリアが女王となるコトで、死んで行った者たちが少しでも報われるのであれば、重責を全うしましょう」
 礼装の優美な蒼いドレスに白いマントを翻したレーマリアは、刀を天高く掲げた。

「オオオオッ!」
「新たなる、女王陛下の誕生だぁ!」
「これで、王都の復興も成し遂げられようぞ」

 小さな城に、兵士たちの歓声が湧き上がる。
皇女の側近から、女王の護衛となったナターリア・ヒルデブラント、オベーリア・シンディーネ、ダフォーリア・ケイトファルスの三名が、女王の前に跪いた。

「ご立派です、レーマリア殿下」
「我らも身命を賭して、御身をお護りいたします」
「ヤホーネス復興のため、我らが力をお使い下さい」

「ええ、頼りにしておりますよ」
 レーマリアは女王となっても、三人には親し気な笑顔を見せる。

「新たなる女王の誕生たァ、誠に喜ばしいコトだ」
 オレンジ色のワイルドな長髪の男が、女王に蛇の様な鋭い眼光を向けた。

「このラーズモ・ソブリージオ、女王陛下に忠誠を誓うぜ」
 男は蒼く染めた鱗革鎧を纏い、緑色の装飾品をあちこち身に着けている。

「王都において、王や多くの民が犠牲となったのですよ。何がめでたい喜ばしいモノですか」
「だからと言って、湿気っていても始まらねえだろ。王都を破壊したサタナトスってヤロウを、さっさと踏ん捕まえて、オレの大剣でぶった斬ってやらねえと気が済まねえぜ」

「ラーズモ、陛下の御前であるぞ。無礼が過ぎる」
 灰色の髭を蓄えた厳格な面構えの、中年の将軍がラーズモをたしなめる。
彼は、蒼に黄色の稲妻のような模様の入った鎧に、白いマントをしていた。

「悪かったな、ジャイロス。野蛮な獣人国出身のオレは、堅苦しい場は苦手でよォ」
「フン、下郎が。場を弁(わきま)えぬ者とば、議論も進まぬわ」
「エセ賢者が議論をしたところで、良い策が浮かぶとも思えんな」

「お止めなさい、二人とも。今は元帥同士が互いに、言い争っている時ではありません」
 十五歳の少女は、二人の偉丈夫相手に物怖じ無く言ってのける。

「気の強い女は、好きだぜ。コイツらは、女王陛下への手土産だ」
 ラーズモの大きな背中の後ろには、三人の少女が控えていた。

「その娘たちは?」
「名は、ヤホッカ・ドゥ・エー、ミオッカ・ガァ・オー、イナッカ・ジュ・イー。陛下と同じ生娘だが、腕は立つ。好きに使ってくれ」

「キサマと同じ礼儀も弁(わきま)えぬ小娘を、どうして陛下の傍に置けようか」
「なんだとォ、コラ」

「レーマリア女王陛下には、知識と教養を備えたこの者たちこそ相応しい」
 蒼き鎧の将軍のマントの後ろで、三人の少女が身を屈めて女王に敬意を示す。

「名を、アルーシェ・サルタール、ビルー二ェ・バレフール、レオーチェ・ナウシールと申します。いずれも由緒ある、貴族出身の者たち。陛下のお傍に置いても、粗相はありますまい」

「粗相は無くとも、いざという時に役に立たなけりゃ意味ねェだろうが」
「当然だ。この者たちは、我がサバジオス騎士団のエリート騎士でもある。戦えば、お前の連れて来た娘の首が、地面に転がるわ」

「へぇ、そいつは面白い。野生の血を引く獣人の中でも、選りすぐった戦闘力を持ったヤツらだぜ。何ならここで、一戦交えてみるかい?」

「お止めなさいと言っているのが、聞こえなかったのでしょうか?」
 十五歳の女王の声に、城が一瞬にして静寂に包まれた。

 

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