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一千年間引き篭もり男・第02章・05話

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日本消滅

「……ところで『日本が滅んだ理由』って、何? やっぱ中国に侵略されて……とか?」
 ボクは、恐る恐るセノンに聞いた。

「いえ。確か『国家破産』でしたっけ?」「ええッ? そんな理由!?」
 予想した理由とは違ったが、予想していなくも無かった。

「日本は、超高齢化社会に人口の減少、主要産業の衰退があってですね」
「そ、それは、確かに問題になってたな」ネットのニュースはそれなりに読んでいた。

「アメリアの超大手のIT企業が、開発した仮想通貨が世界基軸通貨になると、その仮想通貨で取引を求めるようになって、円の価値が暴落したんです」

「仮想通貨が、世界の基軸通貨に……って、そんなコトあるのか?」
 ボクは、ただひたすら驚いた。
「それで国としての信用を失って、国債も買って貰えなくなってですね」「……う、うん」

「借金が膨らんで、もの凄い赤字になって、先進国の中で一番最初に破産しちゃいました~。世界経済の暗転が重なったのも、要因ですね。優秀な人は、さっさと海外に移住しちゃって、最後は自然消滅に近いかたちで……ハイ~♪」

「さもありなん……とも思うが、ま、まさか、自然消滅だったなんて……!?」
「人口が減って高齢化が進めば税収は落ち込むし、自動車や電気、半導体なんかの主要産業も衰退しちゃってるのに、どうやって立て直せると思ったんでしょうねえ?」

「聞きたくない! 聞きたくない! 大体ボクはニートのヒッキーなんだ! ボクなんかにどうにか出来たワケじゃ無い……」
 ボクは耳を塞いで、得意の『現実逃避』を決め込んだ。

「でもでもォ~ですね? さっきも言いましたケド、旧日本系の技術者はレベルが高くて宇宙開拓にも大きく貢献したんです。実はわたしも、日本系だったりするんですから!」
 どうやら世音も彼女なりに、自分が『日本系』である事に誇りがある様だ。

「ところで、ここに居るのはセノン一人みたいだケド、他に誰か居ないのか? ってか、ここはフォボスのどこなんだ? 金属の床がずっと続いている変わった空間だケド……?」

「あああッ!? そ……そうでしたぁ!!?」
 『世音(せのん)・エレノーリア・エストゥード』は、突然大きな声を上げた。

「事故!! おじいちゃん、事故ですよ!? わたし、事故で爆発に巻き込まれて、こんな場所に落っこちて来ちゃったんですゥ~!!」
「事故って……何の事故なんだ?」興奮するセノンの両肩に両手を置き、落ち着かせる。

「掘削プラントの爆発事故ですよォ!? フォボスは、火星のテラ・フォーミングの為の最前線基地だったんですよ。ここには……」何となく、状況が読めた。
「……資源となる鉱石や天然ガスが大量にある……その採掘プラントの事故か?」

「は……はいィ」ボクはセノンの言葉を引き継ぎ、セノンもそれに対して頷いた。
「フォボスが前線基地? フォボス自体の鉱石もそうだろうが……アステロイド(メイン)・ベルトから、鉱石を採取しているのか!?」ボクは推論を立ててみた。

「火星の衛星である『フォボス』なら、火星と木星の間に広がるアステロイド・ベルトの小惑星を、資源として採掘するのに最適だ! ひょっとしてフォボスは、アステロイドベルトの採掘基地としても……利用されてたりする?」

「ふえ~! 宇宙斗おじいちゃんって、コミュニケーション・リングも付けてないのに凄いですねえ。その通りです」セノンは、素直に驚いた。
「今はフォボスも、アステロイドベルトから運んできた小惑星をいっぱいくっつけて、だいぶ大きくなっちゃってるんです」

「そうか……」ボクは、黒乃が生きていたら、どんな反応をしただろうと気になった。
「それでも地球の月と比べたら、まだまだ小さいですケドね」
 栗色のクワトロテールの少女は、宇宙服の両腕に装備されている照明を、天高く岩盤が連なった上空に向ける。

「爆発で床が抜けて……わたし、あそこから落っこちて来たんです。真っ暗で何も見えませんケド」
 けれども未来の照明の光でさえ、今居る空間の天井を照らし出すことは出来なかった。
「わたし達、深い穴の底にいるんですよ……おじいちゃん、どうしましょう?」

「そう……なんだ…」二人で途方に暮れていると、遥か上空で爆発が起こった。
「何だ! プラントでまた爆発が起こったのか!?」
「そうみたいです!! でも今度の爆発は、かなり大きいですよ~!?」

 爆発の閃光は、暗闇だった上空を一瞬だけ明るく照らし出した。
「岩が……まるで『映画のスローモーション』の様に、ゆっくりと落ちて来る!?」
 広大な宇宙にあっては小天体に過ぎない、フォボスの弱い重力下では、巨大な岩の落下スピードも遅かった。

「……とは言え、微弱な重力はあるからな。無数の岩の群れをゆっくりとだが確実に、ボクたちの元へと引き寄せているんだ……」
「ど、どど……どうしましょう! あんな岩の大群に、押し潰されたら!?」

「間違いなく、あの世行きだな……」ボクの瞳は、岩石に押しつぶされた、黒乃のカプセルを映す。
「そ、そんなあ!? わ、わたしまだ、死にたくないですゥ~!!」
 ワタワタと慌てふためくセノンの姿は、可愛らしくコケティッシュで微笑ましかった。

「やっぱ……千歳もの年長者としては、この子くらいは助けてあげなきゃ……だよなあ?」
 ボクは宇宙服の胸にしまった、三つの髪飾りを握りしめた。

 

次回・巨大岩石群

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