ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

この世界から先生は要らなくなりました。   第10章・第67話

嗅俱螺(かぐら)家の家計図

「伊鵞 重蔵(いが じゅうぞう)の長男だった、架瑠(かける)氏。彼は戦争に招へいされ、南方戦線にて命を落としている。婚約者は居たものの、直ぐに他の男と結婚したとの情報だったが……」
 改めて、これまでの情報を羅列するマドル。

「今回、カケル氏の子供である男児が、許嫁の実家である嗅俱螺 (かぐら)家で、ひっそりと育てられていたコトが判明した……と?」

「亜俱瑠(あぐる)と、名づけられたそうです」
 カケル氏と許嫁との子供の名前が、判明する。

「アグル氏か。だが伊鵞の直系の彼は、3年前に流行り病で他界してしまう。1人娘を残して……」

「はい。それが、嗅俱螺 墓鈴架(かぐら ハリカ)お嬢様なのです」
 警部とマドルの話を継いだ、竹崎 影家(たけざき かげいえ)弁護士が言った。

「彼女は、どんな素性の持ち主なのでしょう?」

「ハリカお嬢様は、名家である嗅俱螺家の血も引いており、わたくしも幼い頃より存じ上げておりました。もちろん、伊鵞の血を引いていたなどとは、考えてもおりませんでしたが」

「なるホド。だから貴方は、ハリカさんを『お嬢様』と呼んでいたのですね?」
「はい。不審に思われたでしょうが、そう言った理由です」
 竹崎弁護士の声が、弁明する。

「ハリカさんの母親……つまり、アグル氏と結婚した人物は、誰になるのでしょうか?」

「嗅俱螺家の、遠縁の親類に当たる家の者で、名を藤美と申します。彼女の実家は、そこまでの名家ではありません」
「その方は、ご存命で?」

「はい。今も、この館に遠くない場所に家と寺があって、そこで暮らしているのです」
「今、寺と仰いましたな?」
 警部の声が、すかさず問いかけた。

「嗅俱螺家は、代々その寺の管理も行っているのです。アグルさんも、寺の住職を務めておりました」

「ですが、亡くなられてしまった。現在、寺の住職はどなたが?」
「どうでしょうな。流石に、そこまでは解りません」

「ハリカさんの他に、アグル氏と藤美夫妻に、子供は居たのでしょうか?」
「いえ。聞いた限りは、居りません」

「では、世代を遡(さかのぼ)ってみましょう。カケル氏の許嫁は、名前は解っているのでしょうか?」
「はい。嗅俱螺 蛇彌架(かぐら タミカ)さんです」

「カケル氏の許嫁であるタミカさんは、カケル氏の戦死の方を聞き、他の男性と結婚された。お腹に、カケル氏との子を妊娠したまま。その男性の素性は、解っているのでしょうか?」

「名前は、掛谷 俵蔵(ひょうぞう)。嗅俱螺家に婿養子として入り、嗅俱螺 俵蔵となったのです。ですがわたくしも、戸籍を確認した程度で、それ以上のコトは残念ながら……」

「それを調べるのは、我々の役目です。どうぞ、お気になさらずに」
「珍しく、気の利いたセリフを吐くじゃないか、警部」
「う、、うるさい」

 最後にオチが付いたところで、再び舞台が暗転する。

「これが、第3の相続人の少女、嗅俱螺 墓鈴架(かぐら ハリカ)さんが、館にやって来る前の経緯(いきさつ)だよ」
 マドルが、再びドームに集った観客たちに問いかけた。

「うわァ、登場人物が多過ぎて、頭がこんがらがって来た!」
「えっと、まず重蔵の長男がカケルって名前で、戦死しちゃったと」
「カケルの許嫁の名前が、タミカだっけ?」

「カケルとタミカの子供が、アグルなんだケド……」
「アグルは、嗅俱螺家の子供として育てられた……で、合ってる?」
「合ってる、合ってる。タミカは、俵蔵って人と結婚して、アグルを育てたのよね?」

「で、アグルは藤美って人と結婚して、ハリカって女のコを産んだ」
「でもアグルは病気で、3年前に亡くなったのか」
「3年前……確か長女の死産も、3年前じゃなかった?」

 広いドーム会場の中は、観客たちが互いに推理を出し合っている声で、埋め尽くされていた。

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