ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

この世界から先生は要らなくなりました。   第10章・第64話

新たなる死の知らせ

 重蔵の長女である昴瑠(すばる)に対する聞き取り調査を終え、舞台は再び、マドルと伯父である警部との会話に戻る。

「いくら聞き取りとは言え、余りな態度じゃないか、マドル」
 警部の声が、不躾(ぶしつけ)極まりない姪に苦言を呈(てい)した。

「これでも、気を遣ったつもりだがね。彼女は、3年前に懐妊していたのだろ?」
「お前、そこまで聞くつもりだったのか!」

「答えてくれるのであればね」
「答えるハズが、無かろう」

「吾輩もそう考えたから、あれ以上の踏み込んだ質問は止めたのだよ」
 悪びれるコトなく答える、マドル。

「スバルさんの懐妊と、今回の事件になにか関係があると言うのか?」
 会場の観客たちの気持ちを、代弁する警部の声。

「それはまだ解らないケド、彼女のお腹に居たのは、1体誰との子だったのか……?」

「そりゃお前、夫である豊さんとの子に、決まっているじゃないか」
「そうかも知れない。でももし、そうじゃ無かったとしたら?」
 クスリと笑いながら、観客席に問いかけるマドル。

「スバルさんのお腹の子って、確か死産だったんでしょ?」
「もしかすると、望まれない子だったとかか?」
「あッ、わたし、解っちゃったかも!」

 様々な推察を繰り広げる、観客たち。

「キミの見解を、聴こうじゃないか」
 再び久慈樹社長が、絡んで来た。

「そうですね。夫である豊さんの子でないとすると、ワタル氏との子の可能性もあります」
「彼らは、兄妹のハズだが……まあ、あり得る話か」
 久慈樹社長は、あっさりと納得する。

「さて、マドル。重蔵氏の家族たちに対する聞き取りは、次男を除けば大方終わったな」
 推理の時間は終わり、観客たちの視線が再び舞台へと移って行った。

「3男のワタル氏は亡くなってしまったし、聞きたいコトも多かったのにね」
 残念がる、名探偵。

「長男は戦争に出兵して戦死し、許嫁も他の男と結婚してしまったとなると、重蔵氏の遺産を引き継ぐ権利のある人間も、減って来ている。現時点で、重蔵氏の遺産は次男のタケル氏の手に渡るのだろう?」

「そりゃお前。普通に考えれば、そうなるだろ?」
「弁護士の確認を、取って言ってるワケじゃないのかい」
「ま、まあな……」

「ヤレヤレだね。やはり1度、重蔵氏の遺言状を預かっていた弁護士にも、会ってみる必要があるかな」

 墓場の舞台が、再び暗転する。

「吾輩はそれから、弁護士の事務所を何度か訪ねてみた。だが弁護士という職業は忙しいらしく、アポを取っても思ったように合うコトは出来なかったんだ」

「なにやってんだ。スマホで待ち合わせ場所を、知らせればイイだけだろ」
「スマホなんて、あるワケ無いでしょ」
「時代設定、わかってないんだから」

 観客たちの言うように、スマホの存在しなかった時代。
人々の出会いは、現代よりも遥かに難しく不便だったに違いない。

「数日が過ぎ、吾輩の捜査も行き詰まっていた。そんな折、再び警部の部下が悲報を告げたんだ」
 舞台に、慌ただしい足音が鳴り響いた。

「た、大変であります。伊鵞 武瑠(いが たける)氏が、出張先の上海(シャンハイ)のホテルで首を吊って死んでいるとの連絡が、たった今当局よりありました」

「な、なんだって。それは、本当か!?」
「ハ、ハイィ、本当であります!」
 返事に特徴のある部下が、断言する。

「詳しい状況は、まだ判らないのですか?」
「え、ええ、マドル警部補。残念ながら調査も初期段階で、検死もまだのようでして」
「追って報告を待つ他、無いようだな」

「これで、重蔵氏の遺産継承権を持つ人間が、また1人減った……」
 舞台で顎(あご)に指を当て、考え込むマドル。

「これで、重蔵の長男、次男、3男が揃って死んだ。継承権は、長女のスバルに移るってワケか」
 舞台袖から舞台のマドルを観察しながら、久慈樹社長が言った。

「ええ。ですが現時点でも、マスターデュラハンが何者なのか、まったくわかりませんよ」
 ボクは、正直な感想を述べた。

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