ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

キング・オブ・サッカー・第9章・EP029

飛び交う(クロス)カウンター

 雪峰キャプテンの、カットからの見事な判断で、ボールを受け取ったボク。

 バックラインを統率するカイザさんが上がって、左サイドバックのトラヤさんも上がり気味だ。
MIEの、残るディフェンスラインは3枚。
ここは、もう1度カウンターを狙うしかない。

 ボクは、直ぐに反転してMIEのゴールに向けドリブルを開始した。

「マズいな。だがウチのディフェンスは、簡単では無いぞ!」
 カイザさんが、後ろから迫って来る気配がする。

 左サイドの紅華さんには、右サイドバックのハリアさんが付いたままだ。
トラヤさんが上がってるから、右でフリーの黒浪さんを使うか?
ドライブシュートで、このまま狙うって手もあるケド……どうする。

 ドリブルで酸素を奪われ続ける脳ミソで、必至に考える。
ペナルティエリアには、背の高いセンターバックが2人。
1人は、金刺さんに張り付いている。

 ボクが対峙(マッチアップ)するのは、確か本坪 捲那(ほんぺい マグナ)って名前の人だ。

 ロランさんに間違われて静岡まで行っちゃったバスの中で、ヒマを持て余していたボク。
SHIZUOKAやMIEら、日高グループが参入させたチームのホームページを、スマホで見ていた。
だから1通り、選手情報も頭に入っている。

 マグナさん……。
カイザさんと並んで、5バックの真ん中を張っている。
MIEにあっては、これまで目だった動きはして無かったケド……勝負してみるか。

 ボクは、ドリブルからでは精度が出るか解らないドライブシュートを諦め、そのままペナルティエリアに侵入する。

「あ……」
 マグナさんが、少し不安そうな顔をした。

「大丈夫だ、マグナ。お前なら、必ずやれる!」
 やはり後ろに追って来ていた、カイザさんの声が聞こえる。

「そ、そうだね。今のボクなら……ここは、通さない!」
 マグナさんの、顔つきが変わった。
ペナルティエリア内にも関わらず、果敢にボクとの距離を詰めて来る。

 しまった、予想外な反応だ。
相手の動きの予測が外れ、1瞬パニクるボク。

 でも、股下が開いている!
センターバックらしく、大柄なマグナさん。
確かホームページだと、192センチと書いてあった。

 ボクは迷わず、股下を狙ってシュートを放つ。
シュートはボクから見て、左サイドのゴール隅に向かって飛んだ。

「それは、読めてる」
 軸足とは逆の浮いた方の右脚を内側に曲げ、シュートを弾くマグナさん。

 この人、大きいケド足元も器用だ。
こぼれ球(ルーズボール)が、右サイドに転がった。

「一馬、そのままそこに居ろ。オレさまが狙うから、こぼれ球に反応するんだ!」
 俊足の黒浪さんがボールに飛び出し、再び角度のないところからシュートを放つ。

「オレが、こぼすとでも思ったか!」
 けれども黒浪さんのシュートは、難なくアグスさんにキャッチされてしまった。

「アグス、スッラだ」
 短い指示を出す、カイザさん。

「おう!」
 アグスさんは、素早くパントキックを打ち上げる。
ボールはグングンと伸び、センターサークル付近に落ちようとしていた。

「御剣 一馬……ずいぶんと恥をかかせてくれたな。だが、お前のオレへのマークは外れた」
「やらせるか!」
 スッラさんと雪峰さん、2人のボランチが落ちるボールを競り合う。

「今度は、ウチが攻めさせて貰うぞ!」
 空中戦は、長身のスッラさんに軍配が上がった。
ポストプレイのように、ヘディングでボールを落とすスッラさん。

「ナイスっす、スッラさん」
 ボールは相方のネロさんが受け取り、そのままドリブルで持ち上がった。

「オオオ、またカウンターかよ。いいか、お前ら。シュートコースを、塞ぐんだ!」
 メタボな海馬コーチが、あたふたと指示を出す。

「わ~ってるよ。ウチはシュートを撃たせたら、お終いだからな」
「野洲田(やすだ)は、シュートコースを消せ。亜紗梨(あさり)は、そのままバルガをマークだ!」
「了解だよ、龍丸」

 龍丸さんを中心に声を出し、野洲田さん、亜紗梨さんのセンターバックトリオが動き出した。

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