ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

キング・オブ・サッカー・第9章・EP030

3センターバックの攻防

 デッドエンド・ボーイズの3センターバックは、右から野洲田(やすだ)さん、龍丸さん、亜紗梨さんと並ぶ。

「アイツは、ボール奪取能力は高いが、ドリブルはそこまで上手くねェ。オレが、止めてやるぜ」
 右センターバックの野洲田さんが、シュートコースを消しながら、ボールを持つネロさんにプレッシャーをかけた。

「そんなコトは、自分が1番知ってんだよ。ホラ、スッラさん!」
 ネロさんはドリブルを止め、素早く右側にボールを出す。

「ナイスだ、ネロ。ここだ……」
 相方のボランチであるスッラさんが、出されたボールに走り込んだ。

「簡単に、シュートは撃たせない」
 けれどもスッラさんには、雪峰さんがマークに付く。

「イヤ、今度はオレの方が早い!」
 雪峰さんと競り合いながらも、スッラさんは強引にシュートを撃った。

「わ、わわッ!」
 慌てる、メタボキーパー。
高校時代に全国を制覇した面影は、もはやどこにも無い感じだ。

「まったく、世話の焼ける」
 ディフェンス陣を仕切る、龍丸さんがヘディングでシュートコースを変える。
ボールはタッチラインを割り、なんとかコーナーに逃れた。

「ス、スマンな、龍丸」
 教え子に、申しワケ無さそうに謝る海馬コーチ。

「少しは、節制するんだな」
「まずはそのハチ切れそうなお腹を、どうにかしないとね」
 亜紗梨さんも寄ってきて、苦言を呈(てい)した。

「オイ、まだコーナーだ。アイツら、もう始めてるぞ!」
 ペナルティエリアに戻って来た野洲田(やすだ)さんが、注意する。

 相手の攻撃的MFが素早くコーナーフラッグに立ち、ハリアさんとショートコーナーを行った。
グラウンダーの低く鋭いボールが、ボクたちから見て左のサイドから入って来る。

「オレたちに高さがあると見て、低いボールで来たか」
「ここは、ボクが出るよ」
 3人の中では小柄な、亜紗梨さんがボールに行った。

「チッ、高いボールをよこせっての!」
 バルガさんが苛立つ前で、ボールは亜紗梨さんにカットされ、左サイドにクリアされる。

「ナイスだ、亜紗梨。お前、確かに成長してんな!」
 ボールは、クリアと言うよりパスに近く、左サイドの紅華さんが受け取った。

 亜紗梨さんは、センターバックだけでなく、左のサイドバックやサイドハーフもこなせる。
パスの精度も高いし、頭のイイプレーヤーだ。

「無口で目立たなかったお前が、良いパス寄こすじゃねェか。オレも……少しは見習うとするぜ」
 海馬コーチの元で、サッカーをやっていった頃のチームメイトに触発される紅華さん。

 相変わらずの華麗なドリブルで、左サイドを駆け上がって行く。

「マズい、戻らないと!」
 コーナーに関わっていたハリアさんが、慌てて帰陣しようとするも、紅華さんとはかなりの距離が開いていた。

「ウチも、優れた素質を持った選手が揃っているが、攻撃的MFのポジションは課題だな……」
 MIEの残った3枚の最終スラインを、綺麗に横1線に統率しながら、カイザさんが呟(つぶや)く。

 右の大型センターバックの、本坪 捲那(ほんぺい マグナ)さん。
真ん中でリベロの、樹莉 海斬(じゅり カイザ)さん。
左のセンターの、煤季 鞍棲(すすき クラス)さんと並んでいた。

「いくらラインを、統率したってよ。パスを出さなきゃ、オフサイドにはならないぜ」
 左サイドから、ペナルティエリアに向け斬り込む、紅華さん。

「ボ、ボクが、行くよ」
 マグナさんが前に出て、紅華さんに当たる。

「大きい割りに、足元も器用みてェだが、相手が悪かったな!」
 シザースとエラシコを繰り返す、紅華さん。
タイミングを見て、マグナさんの股の間にボールを通して抜き去った。

「かかったな……」
 けれども、そのボールをカイザさんが奪い取る。

「コ、コイツら、ワザと狙ったな!」

「当然だ。ドリブラーに対する対処など、とうに出来ている」
 MIEのサポーターの声援を背に受けながら、カイザさんはボールを持ち上がって行った。

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