ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第13章・15話

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ペイトー女王の返答

 マー・メイディアの女王の玉座がある、謁見の間。
色取り取りのサンゴが幾重にも積み重なっていて、その上を海水が滝のように流れ落ちている。

「メ・ドゥーサは、オレを生んだ母親だった。けれども、なんらかの理由で罪を得て、カル・タギアを追われたと、アクトのヤツに聞いたコトがあるぜ」
 バルガ王は、自身が知り得る知識を、ペイトー女王に話した。

「アクト……アクト・ランディーグのコトですね」
「残念だがアクトは、今やサタナトスの手下に成り下がってやがる」
「海龍族最強の戦士と謳(うた)われた、彼がですか?」

「それだけじゃねェんだ。海皇であるオヤジや、七海将軍(セブン・タスクス)の5人までもが、敵の軍門に降っちまってな」

「なんと言う……海皇ダグ・ア・ウォンまでもが、敵に寝返ったと言うのですか!?」
「サタナトスの持つ、剣の能力でな。他にも色々と、話さなきゃ行けねェコトがあってよ」
 バルガ王と玉座の間には、タツノオトシゴを思わせる鎧を着た近衛兵たちが、2列に並んでいる。

「せん越ながら、ペイトー女王陛下。我らカル・タギアと、マー・メイディアの間で、情報の共有が必要かと思われます」
 ベリュトスが、片ヒザを付いて言った。

「わたしからも、進言致します。バルガ王は、我らと交易ルートを結びたいと申しておりました」
 バルガ王ら一行を、女王の玉座まで案内したステュクスも、口添えをする。

「わかりました。話し合わねばならぬコトが、多くあるのは事実なようです。話を、聞きましょう」
「ソイツは、有難いぜ」
「ですがここでは、海皇となられたバルガ王との会議に、相応しくありませんね」

「了解致しました。さっそく、晩餐(ばんさん)の席を用意させましょう」
 女王の意向を受けたステュクスは、連れて来た部下たちを率いて玉座の間を出て行く。

「言い忘れたんだが、ペイトー女王。実は今回の交易ルートの設置には、地上の人間の国であるヤホーネスも絡んでいるんだ」

「そうでしたか。マー・メイディアは、過去の地上の人間との確執もあって、距離を置こうとする者たちも多くおります。そうなると、話が変わって来ますね」

「すまねえな。実はオレの船に、ヤホーネスからカル・タギアへの特使を待たせているんだが……」
「なるホド。地上の人間と言えど、特使を待たせるワケには行きません。アドメーテー、特使の方を晩餐の席にお呼びなさい」

「了解なのです。では、お迎えに行って参るのですゥ!」
 タツノオトシゴの鎧を着た兵士のウチ、右側の最前列のマー・メイディアが言った。
ふわふわとしたアイシクルピンクの髪の少女は、右側の兵士たちを連れて出て行く。

 しばらくするとバルガ王ら一行は、細長くはあるものの広いサンゴの部屋へと通された。
中央にはサンゴを平らに削った長テーブルがあり、天井には真珠で装飾されたシャンデリアがぶら下がっている。

「なんとも豪華な料理が、次々に運ばれてきますね」
「そうだな、ベリュトス。アラドスのヤツが見たら、なんて言ったろうな」
「アイツのコトです。まあまあやな……ってところでしょう」

 長テーブルにはいつの間にか、海獣のステーキやフカヒレのスープなどが並んでいた。

「これはまた、豪勢な料理じゃのォ」
 褐色の肌の、大魔導士が言った。

「リュオーネ、来てくれたか」
「ああ。この可愛らしい人魚が、連れてきてくれてな」
 リュオーネは、アドメーテーの頬を撫でる。

「バルガ王、リュオーネさま。上座へお越しくださいです。女王陛下が、待っておいでなのです」
 可愛らしい人魚は、バルガ王とリュオーネを、ペイトー女王の待つ上座の席へと案内した。

「待たせたな、女王。我がカル・タギアは、貴国との間に交易ルートを開設したいと思っている」
「カル・タギアとの交易につきましては、オケ・アニスの女王として、反対する理由もありません。受けさせていいただきましょう」

「ヤホーネス王国については、どうなんだい?」
「即答は、できません。少し、時間をいただきたく思います」

 ペイトー女王は、穏やかな顔を曇らせた。

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