ラノベブログDA王

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王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

この世界から先生は要らなくなりました。   第07章・第21話

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右ストレートと左アッパー

 貸し切りのテニススクールの、薄暗い通路に木霊す少女たちの悲鳴。

「ど、どど、どうして先生が、テニススクールに!?」
「ここって今、ウチらの貸し切りじゃなかったワケ?」
「うわぁ、先生にパンツ見られたァ!」

 ボクの背中から、メルリとエレト、アルキの、慌てた声が聞こえて来た。
彼女たちとすれ違ったとき、色取り取りの下着や、フリフリなアンスコが目に入った気がする。

「お、落ち着け、お前たち……見てない、ボクはなにも見てないぞ」
「そんなワケあるかァ!」
「い、いいから、振り向かないで下さいッ!」

「はいィ!」
 マイヤとカラノの激昂した声が、ボクの視線を正面で固定された。

「オイ、お前たち。なにがあ……った?」
 そのとき、ボクの目の前のドアが開いて、中からバスタオル姿の少女が現れる。

「せ、先生。な、なんでこんなところに!?」
 少女はボーイッシュなショートヘアで、目が合ったボクに話しかけて来た。

「タ、タリアか。パーカーを着てないから、一瞬誰だか解らなかったよ。実は、これには色々とワケが……あって……だな?」

「ヒアッ?」
 すると、慌てて飛び出して来たからか、脚を大きく開いたためかは解らないが、タリアの身体に巻き付いていたバスタオルが、フワリと床に舞い落ちる。

「イ、イヤアアァァァァーーーーーーーッ!?」
 タリアの打ち降ろし気味の右ストレートが、ボクの左頬にクリーンヒットした。

「見るなァーーーーッ!!!」
 右によろけ、倒れ込もうとしているボクのアゴ先を、今度は左のアッパーカットが激しく突き上げる。

 薄暗いハズの通路の天井照明が、真っ白に輝いて見えた。
視界が完全に、白い光にフェードアウトする。

「……い……だいじょ……」
「せんせ……目を……」
 遠くの方で、聞き覚えのある声が聞こえた。

「……いい加減、目ェ開けろよ。ホレ、ジュース」
 左の頬に、冷たい何かが当たった……と感じたその時、激痛が脳ミソを支配する。

「グオオオォォーーー、痛いぃぃぃいッ!!」
 膨らんだ頬を押えて、飛び起きるボク。
隣でジュースを持った友人が、ケタケタと笑っている。

「あ、やっと起きた」
「もう、先生。覗きなんてするからだよ」
 タユカとアステが、意識を取り戻したボクに向かって言った。

「べ、別にのどきなんで、するずもりざ……」
 頬っぺたの内側まで腫れあがっていて、上手く喋れない。

「イヤァ、悪かったな、先生。咄嗟に手が出ちまってよ」
 タリアが、申し訳無さそうな顔で言った。
今は引き締まった裸体では無く、トレードマークのパーカーを着ている。

「しっかし、まるでタンコブみてェに腫れてるな。そんなにスゲーパンチ、貰ったのかよ?」
 友人の質問に答えてやりたいが、口の中は血だらけだし、アゴは割れるように痛いしで、それどころでは無かった。

「タリアお姉さまは、亡きお父さまの影響で、幼い頃よりボクシングをされていたそうです」
「わ、わたし達、テニスサークルの帰り道に、盗撮をしてくる男たちに襲われて……」
「でもお姉さまが、群がる男どもを全員やっつけて、助けてくれてさ」

 喋れないボクの替わりに、アステとメリルとエレトが、友人に説明してくれている。
彼女たちも今は、テニスウェアをモチーフにしたアイドル衣装を着ていた。

「ボクたちのスカートの中を取った動画が、ネットに流出しちゃって、イヤな思いをしたケドね」
「そ、それにお姉さまが、わたし達を助けたせいで、警察に連れてかれちゃったの」
 マイヤとタユカも、解説を継いでくれる。

「一時は裁判沙汰にまで、発展してしまったのですが……」
「なんとかなったァ!」
 カラノからアルキにバトンが渡ったところで、7人の少女たちによる説明は終了した。

「その事件、知ってるよ。ネットやテレビで、随分と話題になったしな。そっか、キミたちはあのとき話題になったコたちなのか」

 友人はこうして、クライアントの少女たちとの出会いを果たした。

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