ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

この世界から先生は要らなくなりました。   第04章・第02話

f:id:eitihinomoto:20190817152737p:plain

七人の乙女たち

「少し遅くなったが、授業を始めるぞ」
 ボクは、久慈樹社長との面談を終え、天空教室へとやって来ていた。

「ねえ、先生。タリアの件はどうだったの?」
 レノンが親友を想ってか、質問する。
「先方の弁護士から、正式に告訴状が届いたそうだ」

「自分たちこそ、盗撮や強制わいせつ罪で訴えられるべきところを、厚顔無恥と言う他ありませんね」
「ライアの言う通りだとは思うが、日本も訴訟社会になってきたんだろうな」

「スマン、みんな。元はと言えば、アタシが手を挙げたせいで……」
「まあそう気に病むな、タリア」
「で、でも……」

「久慈樹社長も、悪いようにはしないと言っている」
「え、あの社長が……そんなコト言ったの?」
 久慈樹社長の事となると、嫌悪感を露わにするユミア。

「穏便に済まそうって感じじゃ、無かったのが気になるがな」
 嫌な予感は、その日の午後に的中する。

「ところで先生。その可愛らしいコたちはどなたですの?」
 ゴージャスな方の双子姉妹の、姉が聞いて来た。

「彼女たちは、今回の事件に巻き込まれた一番の被害者だ」
「もしかして、このクラスに編入されるんですの?」
 妹のメロエも、アロアの質問を継ぐ。

「ええ、そうよ。部屋もちゃんと用意するから、心配しないで」
「キミに任せておけば安心だな、ユミア」
「な、なによ、その言い方。イヤな感じ」

「この通り、この教室には心根の優しい生徒が揃っている」
「は、はい」「そ、その……」
 高校生の先パイを前に、未だ緊張を隠せない少女たち。

「それじゃあまずは、自己紹介をしてもらおうか」
 ボクは教壇を、七人の女子中学生に明け渡す。

「わ、わたし、禄部 明日照って言います。アステって呼ばれてるわ」
 パステルブルーの長い髪の少女が言った。

「あの……戸次 芽瑠璃って言います。メルリって呼んで下さい」
 かなり緊張気味の、モスピンクの巻き髪ツインテールの少女。

「わたしは蔵澤 絵零兎。エレトでいいわ。ヨロシクね」
 白い髪を後ろで二つに束ねた少女は、あまり動じていない。

「ボクは麻井 舞依弥。マイヤでいいよ」
 薄いオレンジ色のレイヤーボブの少女は、ボクっ娘だった。

「わたし、丹下 手結夏だよ。タユカって呼んでね」
 ウェーブのかかった桜色の長い髪の少女が、甘えた声をしている。

「家長 袈螺埜と申します。カラノとお呼びください」
 抹茶色のミディアムボブの少女が、丁寧な受け答えをした。

「アチシ、弓尾 杏屡希。アルキって呼んでくれ」
 少し鼻声の、ライトパープルのパイナップルヘアの少女。

「アステに、メルリに、エレトに、マイヤに、タユカに、カラノに、アルキね。できるだけ早く、制服を作っておくわ」
 ネット注文が得意な少女が言った。

「あ、それから部屋は、第二ラウンジを改装するつもりだから……」
「でも、わたしたち。いつまでここに居られるか……」
「少しの間でも、仲間は仲間よ」

「ユミア、カッコいいコト言うねえ」
「レノンも頑張らないと、中学生の彼女たちに負けるぞ」
「ゲゲッ、それヤバいかも!」

「まったく、バカライオンは……」
「それじゃあ彼女たちの勉強は、タリアが見てくれ」
「ええ、アタシが!?」

「そうだ。お前はレノンと違って、勉強もできてるみたいだからな」
「ヨロシクお願いします、先パイ!」
「ねえ、先パイよりお姉さまのが良くない?」

「そうだよ、タリアお姉さまって呼ぼう」
「ウン、そうしよ。ね、タリアお姉さま」
「ここ教えて、タリアお姉さまぁ」

「マ、マジかよ……」
 ケンカ上等で男勝りな少女は、以後七人の中学生少女の面倒を見る羽目になる。

「さて……瀧鬼川 邦康弁護士ってのは、一体どんな人物なのか……」
 今、目の前に広がっている温和な光景は、嵐の前の静けさに過ぎなかった。

 

 前へ   目次   次へ