ラノベブログDA王

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一千年間引き篭もり男・第06章・55話

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マー・ウォルス

「クソ、そこを退いてくれ。貴女はどうして、時の魔女の手先なんかになったんだ!」
 ゼーレシオンで、群がる敵のサブスタンサーを撃破しながら、ボクはナキア・ザクトゥに問いかける。

「手先ですって? わたしは何も、彼女から命令などされていない」
 カーネーション色のサブスタンサーが、押し寄せるサブスタンサーの背後から、花弁のナイフで執拗に攻撃を仕掛けて来た。

「全ては、わたしの意思によるモノ。マーズさまを死に追いやった貴方たちと、マーズさまを見殺しにしたアポロたち、それに何食わぬ顔で全てを手に入れる、妹に対する復讐よ!」
 憎悪に満ちた怨念のオーラが、センナ・ケリグーを包み込む。

「クーリアは、権力なんて欲っしちゃいない。それをやらなければならない立場にあるから、受け入れこなしているに過ぎない。ホントは、普通の女のコでいたいハズなんだ!」

「知ったコトではないわ。あのコが生きている限り、この世界はあのコに権力を与えてしまう。あのコの意思なんて、関係のないコトだわ!」

「クーリアの意思が、関係ないだって……?」
 ボクは、新造艦『クーヴァルヴァリア』に辿り着くのを止める。

「彼女は、権力に振り回されるために生きてるんじゃ無いんだ!」
 ゼーレシオンは一直線に、ナキアの駆るセンナ・ケリグーへと突進した。

「なッ……コイツ、わたしを狙って!?」
 危険を察知したナキア・ザクトゥは後退し、前には新たなサブスタンサー部隊が立ちはだかる。

「させるかよォ!!」
 プリズナーの駆るバル・クォーダが、鎌とランスで群がる敵を跳ね除けた。

「助かったぞ、プリズナー!」
「いいから早く、その女のサブスタンサーを、討ち取れ!」

 ゼーレシオンは、巨大な盾を構えて突進する。
同線上に入った敵は、フラガラッハが薙ぎ払った。

「せっかくマーズさまが復活されたというのに、こんなところで果てるワケには行かないのよ!」
 センナ・ケリグーは、花弁での攻撃を仕掛けながら、背を見せ後退する。

「スピードは、ゼーレシオンの方が上だ。貰ったッ!」
 フラガラッハをつがえたゼーレシオンは、凄まじい速度で距離を詰めた。

「イヤよ。こんなところでェ!?」
 全てを切り裂く剣が、センナ・ケリグーの背中を貫こうとした瞬間。

「グアッ!?」
 横からの攻撃で、ゼーレシオンはバランスを崩し、攻撃を強制中断させられる。

「……な、なんだ。新手か!?」
「ああ、どうやらそうらしいぜ」

 サブスタンサーが空を埋める戦場に、新たな赤い色をしたサブスタンサーが現れた。

「よォ、ナキア。無事か?」
「マ、マーズさま。はい、ありがとうございます!!」

 赤いサブスタンサーは、均整の取れた身体をしていて、どこかダビデ像を彷彿とさせる。
全身を薄い鎧が覆い、頭はトサカの付いたヘルメットのようなデザインになっていた。

「コイツが、マーズのサブスタンサーか。戦神の名を持つ割りには、スタンダードタイプに見えるが」
 体制を立て直したゼーレシオンと背中を合わせる、プリズナーのバル・クォーダ。

「ク、クーリアッ!?」
「おい、どうした!」
「あのサブスタンサーの手に、クーリアが……」

 マーズの駆る赤いサブスタンサーの手には、気を失ったクーリアが握られている。

「首尾 は上々だぜ。お前が嫌っていた妹も、この通りだ」
「そのまま握りつぶしてと、言ってやりたいところですが……」
「ああ。この娘が手の内にある間は、アポロたちも手出しはできないだろうからな」

 クーリアを無造作に握りしめた赤いサブスタンサーが、センナ・ケリグーと会話を交わした。

「クーリアを、離せェ!」
「おっと、動かない方が身のためだぜ」
 ゼーレシオンの動きは、直ぐに静止させられる。

「お前の剣がオレに到達する方が先か、オレのこのマー・ウォルスの腕が、小娘を握り潰すのが先か、考えるまでも無ェだろ?」

 クーリアを人質に取った戦神は、勝ち誇ったように言った。

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