ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

一千年間引き篭もり男・第06章・50話

f:id:eitihinomoto:20190804105805p:plain

格納庫(ハンガー)の戦闘

「フライトユニットを付けて来てくれるとは、ヴェルのヤツ気が利くな」
 ゼーレシオンの背中には、機体と同じ真っ白な翼が展開していた。

『お褒めに預かり、光栄です。宇宙斗艦長』
 巨人となったボクの脳裏に、ヴェルダンディの声が響く。

「ヴェルか。今の状況はどうなっている。敵はナキア・ザクトゥ1隻だけか?」

『現状はそうですが、いつ増援が時空を切り裂いて現れるかは解りません。一刻も早く、敵艦を沈黙させる必要がございます』

「クロノ・カイロスの主砲での撃破は、無理なのか?」
『元のナキア・ザクトゥであったならば可能でしたが、解析したところ素体が変化しております。断定はできなくなりました』

「そうなんだよ、パパァ」
「さっきからロングレンジ・フォトンライフルで撃ってるんだケド」
「ぜんぜん艦に当たらないんだよォ」

「ソーアやラムカたちのライフルのビームが、バリアに弾かれている!?」
 ソーダ色の12機のサブスタンサーによる狙撃も、ナキア・ザクトゥに到達する前に消えてしまう。

『MVSクロノ・カイロスの主砲であれば、バリアを破砕しての撃破も可能かも知れませんが、現在クーヴァルヴァリアと密接状態にあるため、撃破による爆発で同艦に被害及ぶ可能性が高いと思われます』

「了解だ。プリズナー、聞こえているか」
「要はナキア・ザクトゥに乗り込むしか、手は無ェんだろ?」
 黒い翼を翻した、ドクロのマスクのサブスタンサーから返事が返って来る。

「だが見ろよ、宇宙斗艦長。クーヴァルヴァリアが敵艦の集中砲火を浴びてやがる」
「クーリアは、自分の艦に辿り着けたんだよな」
「恐らくな。だがこのままじゃ、艦もろともあの世に逝っちまうぜ」

 エキゾチックな外装の艦は、新造されたクーヴァルヴァリアに対して、超近距離での艦砲射撃を開始していた。
バリアで持ちこたえるものの、徐々にダメージを受ける白き艦。

「彼女は死なせない。ナキア・ザクトゥに向けて、突っ込むぞ!」
 ゼーレシオンと同化したボクは、ナキア・ザクトゥの対空砲火をかい潜りながら接近を試みる。

「パパァ、相手もサブスタンサーを、出して来たよ」
 オレンジ色のサブスタンサーに乗った、60人の娘の1人が言った。

「マーズ艦隊に、配備されていたタイプだな」
「全長3キロもある巨大な艦だ。下手な空母より遥かに、サブスタンサーが湧いて来やがるぜ」

『現在、ナキア・ザクトゥより発艦したアーキテクターは、アクロポリス宇宙港や、アテーナー・パルテノス・タワーなど多方面に向けて攻撃を仕掛けております』

「ボクたちの戦力を、分散させる狙いか?」
『恐らくは。どう対処いたしますか?』

「これ以上、人を死なせるワケには行かない。止められるのであれば、止めなきゃダメなんだ!」
 ナキア・ザクトゥの、サブスタンサーの発艦口に接近する、ゼーレシオンとバル・クォーダ。

「ヴェル、娘たちの指揮はキミが取ってくれ。アイツらの誰も死なないように、出来る限り人的被害を抑えて欲しい」
『了解いたしました。善処します』

 ボクとプリズナーは、発艦口から飛び出して来るサブスタンサーを、何体か撃破しながらナキア・ザクトゥの格納庫(ハンガー)に進入する。

「バックヤードっつっても、とんでも無ェ広さだぜ。そこら中から、攻撃が飛んで来やがる!」
 庫内に残っていたサブスタンサーが、一斉にボクたちを取り囲んで攻撃を仕掛けて来た。

「でも、ここを制圧して内部から動力源を破壊すれば、艦を沈黙させられるかも知れない」
 レーザーライフルによる射撃を、白い巨大な盾で防ぎながら、フラガラッハで敵サブスタンサーを両断するゼーレシオン。


「まずは、格納庫内の敵を……グッ!?」
 敵の攻撃がゼーレシオンの右手にヒットし、フラガラッハが金属の床に転げ落ちる。

「アラ、誰かと思えばその声……宇宙斗艦長じゃない?」
 格納庫内の巨大な柱の影から、一体のサブスタンサーが現れた。

「マーズ様を死に追いやった艦隊の司令官である貴方が、わたしの艦にわざわざ出向いて来てくれるなんて光栄よ」
 現れた深紅のサブスタンサーが、ナキア・ザクトゥ・センナケリブの声で語りかけて来る。

「ナキアさん……なのか!?」
「ええ、そうよ。直接会うのは、始めてだったわね!!」

 搭乗者の髪色と同じ、カーネーション色をしたサブスタンサーは、花びらが重なったかのようなツインテールで、ゼーレシオンに攻撃を仕掛けて来た。

 前へ   目次   次へ