ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第11章・36話

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古(いにしえ)の武器の力

 古代都市にある武器庫から、古(いにしえ)の武器を補給した舞人たち。
大魔王と化した海皇が、宮殿を破壊して造られた道を再び進んでいた。

「王子たち、ダイジョウブかな。武器庫に寄ったから、かなり時間経っちゃってるケド」
 先頭を行くスプラが、不安な顔で後ろを振り返る。

「王子たちは強いで。心配せんでも、ダイジョウブや」
 海龍亭の跡取り息子のアラドスが、左右の腰に武器庫で手に入れた剣を挿し、スプラに追いついた。

「せっかく武器を、大量に担いで来てやってんだ」
「無事でいて貰わねェと、困るぜ」
 弁慶のように背中に大量の武器を背負った、ビュブロスとベリュトスの漁師兄弟も後に続く。

「ルーシェリア、ボクたちも急ごう」
「のぉ、ご主人サマよ」
 舞人の隣を歩く漆黒の髪の少女は、まだ浮かない顔をしていた。

「ご主人サマは、戦災孤児じゃったな?」
「なんだよ、急に。そうだケド、今はどうでもいいだろ」

「イヤ、重要なコトじゃよ。つまりご主人サマは、自分の両親が誰なのかも、いつ何処で生まれたのかも知らぬ……と?」
 ルビーのような紅の瞳が、舞人を映す。

「孤児って、そんなモンだろ。パレアナや教会の兄弟たちだって、そうだし」
「じゃがご主人サマは、この古代都市の宮殿の武器の扱い方を知っておった。ナゼじゃ?」
「知らないよ。どうしてかわからないケド、知っていたんだ」

「では、質問を変える。あのイカの小娘が、言っておったわ。ご主人サマのジェネティキャリパーは、この宮殿の武器庫にあった武器と似ておると」
「似てるって言っても、雰囲気くらいじゃないか?」

「のぉ、ご主人サマよ。ご主人サマは、ジェネティキャリパーの能力をどうして使えたのじゃ?」
「使えたもなにも、剣の能力がそうなんだから。斬ってみたら魔王が、女のコになっちゃったんだ」

「その最初の被害者が、妾じゃったな。ご主人サマは、覇王パーティーですら苦戦する妾の城に、一早く辿り着き、妾をこのような小娘の姿にしおった」

「なにが言いたいんだよ、ルーシェリア。あの時は、必死で……」
「たかが小僧が必死になったところで、妾の城を攻略できるハズが無かろう」

「そ、それは……でも、ナゼか攻略出来て、魔王の部屋に行って……お前を女のコに……」
 自分で口にして、それがいかに不自然なコトか、理解し始める舞人。

「ご主人サマはどうして、ジェネティキャリパーを選んだのじゃ。おかしなパーツがたくさん付いた、刃も無いただのガラクタ剣じゃ。ご主人サマの武器屋にも、もっと剣らしい剣は、たくさんあったではないか?」

「だって、ジェネティキャリパーは魔王を女のコに……」
「それは、大魔王であった妾を斬ってみて、始めて解ったコトであろう?」
 舞人は、かつて自分がとった行動の説明が、出来ないでいた。

「ねえ、2人とも。お喋りはそこまでだよ。ホラ、この先に……」
 スプラ・トゥリーが、前方を指さす。

「こ、これは、広大な空間が……建物みたいだケド?」
「巨大なホールと言ったところだね、ダーリン」
 舞人ら6人は、真っ白な壁に覆われた巨大なホールに辿り着いていた。

「王子や! バルガ王子が、大魔王と戦っとるで!」
 アラドスが叫んだ。
ホールの中央で、巨大な海の魔物と対峙するバルガ王子とその一行。

「マズい。ティルス、逃げろォ!」
「きゃあああああッ!?」
 ティルスに、巨大な大魔王の腕が襲い掛かる。

「殺らせるかよ!!」
 漁師兄弟の弟が、新たに手に入れた槍状の武器にあった引き金を引いた。

『グオオオォォォーーーーーッ!!!』
 武器から糸のように細い光が走り、大魔王の腕を吹き飛ばす。

「な、なんだ、ベリュトス。そのとんでもねェ武器はッ!?」
「流石の王子も、驚きましたか。ここの武器庫で、手に入れたんスよ」

「王子、見ててェな。ワイの包丁も、ごっつうデカのうてよう斬れるようになったで」
 アラドスも武器庫で手に入れた剣を両手に、大魔王の腕を斬り落とした。

「最後はオレっスよ、王子。少しばかり物騒な武器なんで、離れて置いてください」
 巨大な槍の引き金を引く、漁師兄弟の兄。

 ビュブロスの槍から放たれた光の波動が、海の大魔王の腹に風穴を開けた。

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