ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第11章・58話

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大魔王の実力

「クソ……このままじゃ……意識を剣に、持って行かれる!?」
 邪悪なオーラは、舞人の身体中から溢れ出し、皮膚も黒く変化する。

「キミの今の姿、まるで魔族じゃないか。まったく、皮肉なモノだねえ」
 光り輝く神々しい身体となったサタナトスは、苦しむ舞人に近づいて行った。

「今、キミが使っている力は、魔王や邪神から吸い取った魔族の力だ」
 アメジスト色の剣を大きく振りかざす、金髪の少年。

「対するボクの剣に宿るのは、人間どもから吸い取ってやった、善の感情や良心などだ。言わば、人間らしさと言ったところか……」
「お前の剣は……だからシャロリュークさんや……七海将軍たちが、心を奪われ……」

「今、ボクが使っている力が、人間の善なる心の結晶とはいかにも皮肉だろう?」
 人間を憎み、魔族となりたがっている少年は、舞人に向かって剣を振り降ろす。

「そんな……そんな、コトがアアアァァァーーーーーッ!!」
 サタナトスの剣を受け止め、獣のような雄叫びを上げる舞人。

「クッ!」
 サタナトスは、翼を広げて大きく後退する。
その胸元には、横一線に大きな傷が刻まれていた。

「ご主人サマめ。やはり闇の力が、御し切れぬと見える」
 大魔王ダグ・ア・ウォンと空中戦を繰り広げていた、ルーシェリアが眼下の戦いに気を取られる。

『我との戦いを前に、余裕ではないか。闇の魔王よ!』
 蒼き龍は、トラシュ・クリューザーで暴風の鞭を発生させ、漆黒の髪の少女を攻撃した。

「フッ、妾を舐めるで無いわ!」
 ルーシェリアは、イ・アンナを使って暴風の鞭を無力化する。

『キサマの剣は、重力を操るのだな。暴風の中心に重力的乱れを発生させて、渦を解除するとはな』

「その様じゃな、大魔王よ。レーマリアのヤツ、とんでも無い剣を託してくれたモノじゃ」
 ルーシェリアは、空中都市アト・ラティアで繰り広げられる戦いの様子を、横目に確認する。

 ご主人サマは、今のところ優勢じゃが、いつ闇の力に飲まれてもおかしくは無い。
他の面子も、イカの小娘こそまだ戦えているが、他の2人は劣勢じゃ。
妾が、何とかせねばなるまいな。

『さりとて我が槍も、海底都市カル・タギアが宝剣を元にして生み出されし槍よ。まだまだこんなモノでは無いぞ!』
 大魔王が天に三又の槍を掲げると、海面から巨大な渦巻きが幾筋も立ち上がる。

「なんじゃ、また巨大渦巻きでは無いか。それが真の力とでも……!?」
 そう言いかけたルーシェリアの前で、渦巻きは海面を離れ、巨大な水の龍となって襲い掛かって来た。

「きゃああーーーーーッ!」
 無数の水の龍(ウォータードラゴン)に襲われ、傷付くルーシェリア。

『グハハハ。まだまだ、天下7剣(セブン・タスクス)たるトラシュ・クリューザーを素体とした槍の能力、こんなモノでは無いぞ』
 すると、サタナトスが根城としていた虚城が、周りの地面ごと空中へと浮かび上がる。

「ヤツめ、海のみが力の源では無いのかえ!?」
『我は、海原の大魔王にして地震と軍隊の大魔王よ。故に、こんな芸当も出来るのだ』
 居城は砕け、岩や城壁の断片となって宙を漂う。

「な、なんじゃと。城が……巨大な岩のゴーレムになりおったのじゃ!?」
 ルーシェリアの目前で、岩や城壁の断片が一ヶ所に集って、巨大な岩の巨人となって立ちはだかる。

「ゴーレム風情が飛べるとは、反則では無いかえ」
 けれども岩の巨人は勢いよく宙を飛び、漆黒の髪の少女を襲った。

「こりゃあ、早めに決着を付けねェとな」
 戦いながらも、ルーシェリアと自身の父親との戦闘を見ていた、バルガ王子。

「なるホド、確かに余裕を身に付けられましたな。バルガ王子」
 彼と対峙する、紫色の海龍が言葉を返す。

「ですが、過ぎたる余裕は命取りとなるコトを、この7海将軍(シーホース)の筆頭であるわたしがお教え致しましょう」
 アクト・ランディーグは、深紅の金剛槍『オロ・カルコン』を構えて言った。

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