ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第11章・35話

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古代都市の武器庫

 一方の壁が失われた武器庫へと入った、舞人ら6人の即席混合パーティー。

「なんやけったいな武器が、ぎょうさん並んどるなァ。ワイは商売柄、色んな街に食材の買い付けに行くんやケド、こない武器が並んどる武器屋は、見たコトあらへんで」
 料理人見習の、アラドスが言った。

「確かにそうだね。強いて言えば、ダーリンの剣に似てるかな?」
「なる程のォ。言われてみれば、雰囲気というか感じが似てるのじゃ」
 スプラとルーシェリアの、普段は犬猿の仲の2人の少女が口を揃える。

 金属の床と壁によって構築された武器庫には、2段になった棚に長細い武器が並べられていた。
また別の壁には、さらに大きく巨大な武器も並んでいる。

「なあ兄貴、こりゃ槍か銛みてぇだケド、本当に武器なのか。真ん中に穴まで空いてやがるしよォ」
「こっちのデケェ方にも、穴が開いてらァ。だが柄も金属でできてるし、折れる心配も少ないだろう」
 ビュブロスとベリュトスの漁師兄弟は、それぞれの体格に合った武器を手に取って、感触を確かめた。

「2人とも、銛に似た武器がホンマ好きなんやな。こっち見てみ。もっと解り易い剣が並んどるで」
 アラドスは、反りの入った片刃剣を2振り手に取って、ビュンビュンと振り鳴らす。

「よっしゃ、手に馴染んでエエ感じや。せやケド、けったいなボタンがジャマやな。なんのボタンや?」
「それはですね、アラドスさん。ボタンを押せば、刃にレーザーを発生させられるんですよ」
「レ、レーザーってなんや……ってオワッ、刃が光ったでッ!?」

「ちなみに、ベリュトスさんの武器は、銃槍ですね」
「じゅうそ……なんだ、それ?」
「この引き金(トリガー)に指をかけて、押せば……ホラ」

「おわあッ、槍から魔法が出たぜ、兄貴!?」
 ベリュトスの槍に空いた穴から閃光が放たれ、天井から釣り下がっていた鍾乳石を何個も切り裂き、落下させる。

「マジかよ、スゲぇな。それじゃ、オレのも……」
「ビュブロスさんのは、ここで使うには威力があり過ぎて危険です。後のために、取っておきましょう」
 舞人はそう告げると、武器の置いてある棚の近くの引き出しを探り始める。

「あったあった、エネルギパックだ。これが無いと、レーザーが撃てないんですよ。各自、何個か持っておいて……」
「のォ、ご主人サマよ……?」

「ん、どうしたの、ルーシェリア?」
「どうしてご主人サマは、この武器庫にある武器の使い方を、知っておるのじゃ?」
 漆黒の髪の少女は、紅い瞳で蒼い髪の少年を見つめた。

「え……それは……??」

「そうだな。シドンが言ってたが、ここは海溝の底の伝説の遺跡だぜ」
「どうして伝説の都の、古代武器の使い方をお前が知ってんだ?」
「自分もシドンみたいな、学者なんか?」

「アレ……どうしてだろ!?」
 舞人はナゼ、自分が古代都市の武器庫にあった武器の扱い方を知っていたか、始めて疑問を感じた。

「ナゼかは、わからない。でもボクは、ここの武器を知っているんだ」
「おかしな話じゃのォ。ご主人サマは一体……」

「見て見て、ダーリン。鎧もあるよ。かなり軽量な感じだケド」
「ホントだ。ボクの革鎧と見た目は似た感じだケド、防御力は段違いなんです。着替えましょう」
 ルーシェリアは訝(いぶか)しがったが、舞人自身は大して気にもしていなかった。

「フムゥ、確かに軽いわりに頑丈そうな鎧だぜ」
「だな、動くのにもジャマにならねえし、スゲェな」
「男用しかアラへんケド、そこの2人の嬢ちゃんならダイジョウブやろ」

「あー残念。女のコ用があったら着たのに、これじゃあ胸がつかえて着れないなぁ」
 スプラは自身の鎧の触手で、アラドスの頬っぺたを左右に引き伸ばしながら微笑む。

「よし、装備も整ったし、バルガ王子の元に行こう」
「あ、ああ。そうだな」
「王子を護るのが、オレらの役目なんだからよ」

「ワイも行くでェ。あの恐いイカ姉ちゃんより、大魔王のがマシかもな」
「誰がだ、コラ―!」

 自分の役目に、真っすぐな舞人。
それに海皇パーティーの3人と、スプラが従った。

「もしや、ご主人サマは……」
 けれどもルーシェリアだけは、舞人自身の出生に想いを廻らせていた。

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