ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

ある意味勇者の魔王征伐~第11章・31話

f:id:eitihinomoto:20190914042011p:plain

兄弟の激闘

「ギスコーネ、テメーがサタナトスの野郎を手引きしたってのは、本当か!?」
 バルガ王子が、氷の剣を持って迫り来る弟に向って言った。

「ええ、本当ですよ。ボクが海皇の息子と知ってか、向こうの方から近づいて来ましたよ」
 コキュー・タロスの造り出す氷は、壁や天井を伝ってバルガ王子率いる海皇パーティーへと迫る。

「彼とは近くの港町の酒場で、会いましてね。ボクが海皇になる策略を、持ち出して来たんです」
「テメー、そんなモンに乗ったのか!?」

「彼がボクを利用しようとしているのは、明白でしたがね。少なくともカル・タギアを混乱に陥れるコトが出来そうだったので、乗ってしまいましたよ」

「そ、そんな。カル・タギアを混乱させたのが、バルガ王子の弟であらせられる、ギスコーネさまだったなんて!?」
 凍傷を受けたティルスが、驚愕の表情を浮かべた。

「まずはボクのシンパだった7海将軍(シーホース)の、ジブラ・ティア、ペル・シア、ソーマ・リオをアイツの剣で魔王に変えて、他の7海将軍を襲わせて魔王に引き入れたのですよ」
「それで、ガラ・ティアたちは魔王にされちまったのか」

「父上である海皇ダグ・ア・ウォンにも、なんとか一撃を加えるコトに成功したんですが、母上に深海の宝珠へと逃げられてしまったのは、誤算でしたね」
「何だって、そんなコトを。テメーの母親は、その為に命を落としたんだぞッ!?」

「母上……あの女は、死にましたか」
 少しだけ、表情を変えるギスコーネ。
けれども直ぐに氷の剣を高く掲げて、兄の元へと歩みを進める。

「海の女王シャラ―・ベラトゥは、確かにボクを産んだ実の母親です。ですが、海皇の後継者に兄上……あなたを指名したのですよ」
 氷の剣が振り降ろされ、絶対零度の一撃が猛吹雪(ブリザード)と共に放たれた。

「そんなコトで……そんなつまんねーコトで、お前は……」
 バルガ王子の、黄金の長剣が光輝く。

「な、なにィ!!? この光は一体……」
 コキュー・タロスの氷の一撃が徐々に押し返され、焦るギスコーネ。

「実の母親を、殺しちまったのかよォ!!?」
 黄金の太陽の一撃が、氷の世界を完全に跳ね除けた。

「グワアアァァーーーーーーッ!?」
 弾き飛ばされる、ギスコーネ。
氷の剣が、金属の床の上を転がる。

「バ、バカな……ボクのコキュー・タロスの絶対零度を、いとも容易く砕くとは……兄上の剣は一体何なのだ!?」

「 黄金剣『クリュー・サオル』。オメーの母親が、自分の命と引き換えにくれた剣だよ」
 無様に倒れた弟に、哀れみの瞳を向ける王子。

「あの女は、そこまで兄上に肩入れしようと言うのですか。だ、だがボクだって、終わりはしない。魔王にさえなれば、兄上など!」

「オメーが魔王になるコトは、無いさ」
「な、何を言って……ああッ!?」
 自らの手を見て、目を見開くギスコーネ。

「ボクの手が……黄金に……イヤ、手ばかりでは無い。脚や、全身が黄金に換わって!?」
 しばらくすると、床に無様にひれ伏す黄金の像があった。

「ギスコーネ、何がお前を狂わせた。お前を狂わせたのは、このオレなのか……」
 バルガ王子はそう呟くと、床に転がった氷の剣を拾う。

「どうやら呪いだのの類もかかって無い、たたの氷の剣の様です。王子」
 シドンが、知識を活かして剣を鑑定する。

「ティルス」
「は、はい。何でしょうか、バルガ王子」

「悪いんだがコイツの剣、お前が使ってやってくれねェか?」
「わ、わたしにですか。わたしに使いこなすコトなど……」

「イヤ、出来るハズだ。母上の力によって甦った、今のお前ならな」
 バルガ王子が、ホールの天井から釣り下がる巨大なタマゴを見る。
その中には、海皇ダグ・ア・ウォンが捕らわれていた。

「わ、解りました。やってみます!」
 王子に言われ、コキュー・タロスを振り下ろすティルス。
無数の氷の刃が、ホールとタマゴとを固定していた触手を切り裂く。

「やりやしたね、王子」
「これで、サタナトスの野望もお終いだぜ」
「海皇サマが居てくれはるなら、カル・タギアも再建できんな」

「残念だが、遅かった様だ……」
 喜ぶ漁師兄弟や見習い料理人に、水を差す王子。

「どうやらオヤジは、大魔王になっちまったみてーだぜ」
 海皇パーティーの目の前で、巨大なタマゴが割れ、中から巨大な腕が出現した。

 前へ   目次   次へ