ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第11章・41話

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少女の謎

「大魔王ダグ・ア・ウォン、戻って来てくれたようだね。それがキミの真の姿かい?」
 失われた国の城の玉座にて、目の前に降り立った蒼き大魔王に問いかけるサタナトス。

『我の大魔王たる真の姿は、まだ先にある。この姿は言わば、素体だ』
 蒼きウロコに覆われた、屈強な身体を持つダグ・ア・ウォン。
主にかしずくコト無く、堂々とした言葉を返す。

「これはこれは、実に頼もしいじゃないか。元は海皇だっただけのコトはある」
 金髪の少年は玉座から立ち上がり、蒼き大魔王の背後に周った。

「キミには、2人の7海将軍を付けよう。数が少なくなってしまって、申し訳無いのだがね」
 大魔王ダグ・ア・ウォンの左右に、紫玉の魔王アクト・ランディーグと、藍玉の魔王ベク・ガルがヒザを折って傅(かしず)いた。

「サタナトスさま、実はカル・タギアから逃げる途中、コイツらもついでに拾ってきやした」
 ベク・ガルはそう言うと、海へと飛び込み何かを引き上げる。
網によって引き上げられたそれは、3体の黄金像だった。

「ほう。これはなんとも奇妙な姿の、黄金像じゃないか。バルガ王子の、芸術の賜物だろうね」
 嘯(うそぶ)くサタナトス。

「どうだい、この3体の黄金像。キミの力で、元に戻せるかい?」
『造作も無いコト』
 そう言うとダグ・ア・ウォンは、深紅の三叉の槍を天高く掲げる。

「ガハッ……アア!」
「アアァーン。こ、ここは!?」
「オ、オデ、一体どうして?」

 黄金像は、メディチ・ラーネウス、ペル・シア、ソーマ・リオの、3体の魔王へと姿を変えた。

「キミたちは、バルガ王子の剣によって、黄金像に変えられていたんだ」

「そ、そうだったぜ。いきなり、太陽みてェな眩しい光に襲われて……」
「アタシも、思い出したァ。身体が、まったく動かなくなって行ったっしょ!」
「オ、オデも、何となく」

 蒼玉の魔王メディチ・ラーネウス、黄玉の魔王ペル・シア、橙玉の魔王ソーマ・リオは、黄金像となる直前の記憶を取り戻した。

「キミたち3人も、ダグ・ア・ウォンの直属としよう。これで元7海将軍(シーホース)のうち、5人が我が陣営に揃ったワケだ。ようやく、大魔王としての体裁が整って来たじゃないか」

『有難き配慮、感謝する』
 大魔王は、低く籠った声で礼を述べる。

『お前たち5人にも、我が闇のトラシュ・クリューザーの、祝福を授けよう』
 深紅の三叉の槍が、禍々しき光を発した。

「こ、これは……我がウチに、大いなる闇の力が宿るのを感じるぞ」
「オ、オレの顔の傷が、完全に治ったぜ」
 アクト・ランディーグとベク・ガルが、授かった闇の力に歓喜する。

「凄まじパワーだぜ。これでバルガ王子にも、遅れは取らねェ」
「アタシも、キレッキレに完全復活ゥ!」
「オデも、力がみなぎって来ただ」

 メディチ・ラーネウス、ペル・シア、ソーマ・リオも、授かった力を満喫していた。

「サタナトス様、今後の目的はいかに?」
 揃った魔王を代表して、アクト・ランディーグが伺いを立てる。

「まずはボクの剣、プート・サタナティスの沈黙を解くコト。つまりはこの剣の謎を、解明しなきゃならない。その手掛かりは、海溝の遺跡にあったよ」

「あった……とは?」
「既に手がかりは、手に入れてあると言うコトさ。入ってきたまえ」

 サタナトスがそう告げると、本来は王の護衛が控える詰め所から、1人の少女が現れる。
少女は栗色の髪を三つ編みにして左右に垂らし、胸には蒼く輝くネックレスをしていた。

「こ、この娘が、手がかりって言うのですかい?」
「ずいぶんと、平凡な顔のコだね。田舎者ッしょ」
「オデには、凄そうに見えない」

「彼女は、ニャ・ヤーゴの教会で、皇女レーマリアをボクの剣から庇った娘さ。恐らく、教会の娘だろうが、ボクのプート・サタナティスを受けても消滅には至らなかった」

「つまりは、内に強大な魔力を秘めた娘である……と?」
 少女の謎を探求する、アクト・ランディーグ。

「イヤ、彼女から魔力は感じられない。そもそも強大な魔力を持っていたなら、魔王にならなきゃおかしいんだ」
 サタナトスは、謎めいた少女に目を向ける。

 その瞳に映った少女は、明らかにパレアナだった。

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