ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第11章・03話

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海皇パーティー

「俄(にわ)かには、信じられんな。あの最強の男が、死んでしまったなどと」
 海の底に広がる海洋国家の王子は、リーフレアの告げた現実を受け入れられないでいた。

「シャロリューク様が亡くなられた事は、国民に動揺が広がるため5大元帥や一部の者以外は内密になっているのですが……」
「カーデリアとか、酷く落ち込んじゃってるしね。兵士や国民にも、薄々バレちゃってると思うよ」

「ヤホーネスの双子司祭って言やァ、覇王パーティーのメンバーとしても有名だ。同じパーティーの仲間っつうか、隊長が死んだんだ。落ち込んで無ェのか?」

「落ち込んでるつもりだケド……死んだ現場に居たワケじゃ無いからさ」
「正直、わたし達が一番、シャロリューク様の死を、受け入れられていないのかも知れません」
 ここに来て、心情を吐露する双子司祭。

「お前らの蘇生魔法なら、あるいは英雄を復活させられたかも知れないって、思ってやしねぇか?」
「確実にとは言えないケド、可能性はあったと思う」
「正直に言えば付いて行かなかったコトに、後悔の念が絶えません」

「いえ、原因はボクなんです!」
 耐えきれなくなった舞人も、言葉を吐き出した。

「あ、なんでお前が関係ある?」
「元はと言えば、ボクがシャロリュークさんを、女の子になんかしたからなんです。本来の力さえ発揮できていれば、シャロリュークさんが負けるハズが……」

「言ってる意味が、ワケ解かんねェよ。赤毛の英雄を女の子とか、なに言っやがんだ?」
「それについては、話せば長くなるんだよ」
「王様に謁見する前に一度、王子に理解して置いてもらった方が良さそうですね」

「色々と、ワケありのようだな。オイ、ティルス。居るか?」
「ハッ、後ろに控えております」
 王子の呼びかけに、1人の女性が跪(ひざまず)いて現れる。

 女性は蒼い肌に、魚のヒレの様なモノを腕と脚と背中に生やしていた。
青緑色の髪には、貝殻のアクセサリーが付き、オレンジ色の水着とパレオを身に付けている。

「7将軍やオヤジ殿は、頑固だからな。海皇パーティーに招集かけとけ」
「海皇パーティー……ってなに?」
「姉さま、そこは食いつかなく良いトコですよ」

「まあアレだ。覇王パーティーを参考に、オレが結成したパーティーだ」
 頬を赤くしながら、顔を背けるバルガ王子。

「その気持ち、解ります!」
「解かんなくていいんだよ!」
 目をキラキラさせる舞人に、顔を真っ赤にして怒るバルガ王子。

「まあいい。とにかく招集かけとけ。場所はいつもの、海龍亭だ」
「心得ました」
 ティルスは、瞬時に姿を消した。

 それから一行は、サンゴの街を歩き中心街に出る。
広場の中心には、凝った技巧を凝らした噴水があって、周りには店が軒を連ね屋台が出ていた。

「サンゴを使った、ネックレスや指輪が売っていますね、姉さま」
「魚や貝を焼いた、美味しそうな匂いもするよ」

「海洋国家フェニ・キュアの、定番商品だな。変わり種じゃ、水中呼吸の丸石なんてのもあるぜ」
「す、水中呼吸の丸石って、ここで売ってたんですか!?」
 そっか、シャロリュークさん。ここで手に入れたのか……。

「なんだ、けっこう値の貼るレアアイテムなのに、知ってたのか?」
「え、ええ、まあ」

 それはかつて、少女の姿となった赤毛の英雄が、女性たちが集い会議をする浴場に潜入する為に、舞人に渡され用いられたモノだった。

「それに双子の司祭たちも、顔が真っ赤になってるぞ?」
「な、なな、なんでも無いよ」
「それより王子、海龍亭はまだですかぁ?」

「あ、ああ。もう直ぐそこだぜ。付いて来な」
 海龍亭と呼ばれる酒場は、広場から少し離れた場所にあった。
店の正面には、大きな金色のタツノオトシゴのモニュメントが、看板として掲げられている。

「オヤジ、邪魔するぜ」
「おお、これは王子。ささ、奥の座敷へどうぞ」
 一行は、紺色の暖簾を潜り抜け店に入ると、奥まった場所にある座敷席に入った。

「おう、お前ら。全員揃ってんな」
 一枚板の長い机の両脇には、男女合わせて5人の者たちが集っていた。

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