ラノベブログDA王

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キング・オブ・サッカー・第五章・EP008

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箙(えびら) 千鳥

「あ~、たまに居るよな。あんなオッサン」
「不摂生(ふせっせい)が祟ると、あ~なっちまうんだな」
 紅華さん、黒浪さん、それウチの監督なんですケド!?

「こらこら、金刺くん。人様に対して、いきなり失礼だよ」
「おっちゃん、気ィついとらんから、大丈夫やろ」
 確かにセルディオスさん、全然気づかずに美味しそうにビール飲んでるモンな。

「イヤァ、大会は燦燦たる結果でしたがね」
「もう少し行けるかと思ったんですが……」
「まったく歯が立たずで、お恥ずかしい話ですよ」

「まあ、優勝したチーム相手とは言え、30点は取られ過ぎやろ」
 勝手にエントリーした金刺さんが、偉そうにふんぞり返って、サーフィス・サーフィンズの社員さんたちをたしなめてる。

「ではありますが、あのチェルノ・ボグズ地から1点を挙げられたのは、素晴らしい戦果だと思います」
「そんで1点取ったのは、やっぱお前か、イソギンチャク?」

「しれっとイソギンチャク言うなや、桃色サンゴ」
「桃色サンゴって、どんなだ?」
 紅華さんが涼しい顔で、スマホで検索する。

「へー。めっちゃ高級な宝飾品じゃん」
「……ッな、シライトイソギンチャクかて、けっこうな値段するんやで」

「そこ、張り合うところじゃ無いですよ。まあ、1点取ったのは、彼なんですケドね」
 佐藤さんが、一番背の高い男の人を指し言った。

「あんなん、殆どワイの得点やろ。河野さん、押し込んだだけやないか」
「なんだ、お前は無得点かよ」
「せやから殆どワイの……ま、ええわ。結果は結果やからな」

「大体お前、サッカー上手いのか?」
「なんや。ワイがサーファーやからって、疑っとるのか」
「だってなあ。年中サーフィンしてるんだろ?」

「アホか。サーフィンは、年中やれるスポーツちゃうで。冬は、スノボに転向するヤツもおりよるが、ワイは寒いの苦手やからな」
「そんでオフシーズンは、サッカーやってんのかよ」

「腕前の方は、後で見せたるわ」
「ボールに乗って、スっ転ぶ姿が目に浮かぶぜ」
 紅華さんの嫌味は、半分だけ当たっていたことが後で判明する。

「だけど佐藤さん。コイツ、ウチに入るっつっても、プレーヤーとしてだろ?」
「当然、そうなりますね」
「なら、動画は誰が撮るんだ?」

「ええ、それについてですが、千鳥くんにお願いする予定です」
「ア、はい。ボクがカマラマンとして、皆さんの様子を撮影させていただきますね」
 大きな帽子を深く被った小柄な人が、チョコンと手を挙げた。

「お前がか。でも、大丈夫かよ」
 調度、隣に座っていた黒浪さんが、その人の腕や胸をペタペタと触り始める。

「これから夏になるし、こんなヒョロヒョロな身体じゃ、熱中症でブッ倒れちまうぞ?」
「……ヒアッ!?」
 甲高い声を上げる、千鳥さん。

「千鳥は、女やで」
「ふえ」
 胸を触ったままの黒浪さんが、完全に固まった。

「言い忘れてましたね。彼女はキミたちと同じ高校1年の、女子高生ですよ」
「で、でで、でも今……ボクって?」

「いわゆる、ボクッ子と言うヤツだろう」
 雪嶺さんが、いたって冷静に指摘する。

「やっちまったな、クロ。セクハラ行為で、刑務所行きだ」
「そ、そんなぁ」
 頭を抱えて、テーブルにひれ伏す黒浪さん。

「い、いえ。そんな大事にしませんよ。ボクの胸なんてペッタンコで、触った感じしませんから」
 顔を真っ赤に染めて、胸を押える千鳥さん。

「いや、そんなコトねえぞ。小さくても、けっこう柔らかかった……あッ!」
「へー、柔らかかったんだ。二ヒヒ」
 紅華さんが、嫌な笑い方をする。

「もう、止めてください!」
「ゴ、ゴメンな。オレさまがアホなばかりに……」
 深々と頭を下げる、黒浪さん。

「気にしないで下さい。ボク、ドリンクバー取ってきます」
 千鳥さんは、恥ずかしそうに駆けて行った。

「レディを、からかうものでは無いよ、紅華くん」
「ヘイヘイ、悪かったよ」

「ボクも迂闊でしたね。ちゃんと『彼女』と紹介すれば、良かったのですが……」
「千鳥は見た目、男の子やからな。しゃあないんちゃうか」

「えっとまあ、とりあえずウチからは、金刺くんと、箙(えびら) 千鳥くんに出向いて貰うつもりです。仲良くしてやって、下さいね」

 こうして2人は、デッドエンド・ボーイズに加わるコトとなった。

 

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