ラノベブログDA王

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キング・オブ・サッカー・第五章・EP007

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金刺 導誉(かなさし どうよ)

「オレたちを、動画のコンテンツにだって?」
 紅華さんが、長い脚を組みなおしながら言った。

「でも、どうなんだ。オレさまたち、大して強くも無ければメンバーだって足りてねーし」
「プロリーグ入りは目指していますが、かなり遠い作戦目標であります」
 ボクも、黒浪さんや杜都さんの意見に同調し首を縦に振る。

「まあこっちも状況は同じだよ。ウチも、他の会社のアピール動画は何本も編集して来たが、自分たちが主体となる企画は始めてなんだ」

「なる程。確かにデッドエンド・ボーイズには、話題性はありますからね、佐藤さん」
「少し前まで敵だった、オメーが言うか」
「部外者だったからこそ、見えるモノだってあるのですよ、紅華くん」

「一体、何が見えるってんだ、柴芭。女のパンツでも見えんのか?」
「相変わらずですね、キミは。デッドエンド・ボーイズは、日本サッカー界の新星、倉崎 世叛の立ち上げたチームだ。これだけでも、かなりの話題性がありますよ」

「そんなに話題になってる感じも、しね~が?」
「だからこそ、ウチが目を付けたのですよ、紅華くん」
 佐藤さんが、ニコッと笑った。

「先行投資とか、青田買いってヤツか」
「ま、まあ、いずれマスコミに知られるコトになれば、話題になる可能性は大いに有りますからね」

「つっても、まだ人数も揃ってね~ぞ」
「オレさまとピンク頭、キャプテンに杜都、一馬に柴芭でまだ6人じゃんか」

「彼が居ますよ」
「ふえ、彼って?」

「もちろん、金刺 導誉くんですよ」
 佐藤さんは、金髪ドレッドヘアのサーファーを見た。

「え。コイツ、サーファーだろ。サッカー出来るのか?」
「お前こそ、態度いかいな。ワイをバカにしとんのか。サッカーくれー、出きゃんワケなかろう」

「いかい……って、なんだ?」
「なッ、いかいは……その、いかついっちゅーこっちゃ」
 黒浪さんの純粋な質問に、顔を真っ赤にして答える金刺さん。

「お前、どこ出身だ。関西弁みてーな感じに聞こえるが?」
「ワ、ワイか。ワイは一応は、滋賀出身や」
 照れ隠しなのか、佐藤さんの注文したタンドリーチキンにしゃぶり付く。

「せやケド、ガキん頃から関西圏をたらいまわしにされてもうてな。自分でもどこの言葉喋ってんのか、よう解からんようになってもうたんや」

「へー。親の都合かなにかか?」
「まあ、親っちゃ親の都合やわな」
「あん?」

「イヤァ、実は彼は、大きな寺の跡取りみたいでしてね」
「だから、坊さんみたいな名前してんのか」
 確かに、金刺 導誉って名前、偉いお坊さんっぽい。

「まあ本人は、跡を継ぐ気はまったく 無いようですが……」
「あんっな堅ッ苦しいモン、嫌に決もうとるわ。修行とか言って、山ん中走り周んねんで」

「坊さんって、山ん中走るのか?」
「神道……あるいは、修験道辺りか?」

「まあ、そう言うこっちゃ」
 雪峰さんの予想は、的中した。
流石は秀才、頭イイ。

「そんなに厳しいモンなのか、キャプテン?」
「ウム。聞いた話では、山の尾根伝いに走り回ったり、高い崖から半身をせり出して功徳を高めたりと、かなりの荒行な様だな」

「お陰で、サーフィンに必須なバランス感覚や下半身の強さは、自然と身に付いてもーたがな」
「ふむう。下半身強化のための、高地での鍛錬でありますか」
「オレさまも、少し興味あるぜ」

「止めとき。そんな生半可なモンや無いで」
「それでお前、山での修行が嫌で、サーファーになったのか?」
「せやで。山なんて、マジで何も無いかんな」

「それがどうして、フットサルの大会に出てたんだ?」
「そ、それは色々と深い事情が……」
 紅華さんの問いかけに、慌てて割り込む佐藤さん。

「事情なんてあらヘンやろ。ワイが勝手に、エントリーしたんや」
「マジでか。それで、よく付き合う気になりましたね」
「アハハ……そうだね」

「ワイは騙されて入ったんや、とーぜんやで」
「イヤイヤ、お前が勝手に勘違いしただけだろ」
「な、なんやとォ!」

「まあまあ。幸いウチには、サッカー経験者が何人か居たしね」
「それに佐藤さんも、いい歳や。身体も動かさんと、そこのオッサンみたいになってまうで」

 金刺さんは、昼間からビールを飲みまくるメタボ親父を指差した。

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