ラノベブログDA王

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キング・オブ・サッカー・第四章・EP001

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死神の影

「ナイス・ハットトリックね、日焼けボーイ」
 勝利を決めてベンチに戻ると、背・アブラーズのエースストライカーが待ってた。

「アレ、おっちゃん。ビール飲みに行ったんじゃ、無かったのか?」
「黒浪。この人は、セルディオス・高志と言って、プロリーグができる前のリーグで活躍されていた……」

「まあまあ、ヨハン。堅苦しい話、抜きね」
 倉崎さんに向かって、お茶目にウインクするメタボなオジサン。

「仲間たち先、居酒屋行ったけど、わたし興味あるチームあったね」
「へェ、おっちゃんの興味あるチームって、どれだ?」

「アレね……チーム名は、チェルノ・ボグス」

「ちぇる……ボク?」
「チェルノボグ……スラヴ神話に置ける、死神の名だ」
 雪峰さん、何で知ってんだ!?

「あのチーム、『死神』いるね」
 豊満ボディのオジサンが、小さなボールをリフティングしながら言った。

「死神だぁ。『黒狼』並みに恥ずかしい、あだ名じゃねえか」
「てっめ、このヤロ。ケンカ売ってんのか!」

「調度、次の試合始まるね。魔術師のチームとの、準決勝ね」
「そう言えば、柴芭のチームが対戦相手なのかよ」
「魔術師VS死神かぁ。ワクワクすんな」

 ボクたちが試合を終えてから数分後、コートにウォーミングアップを終えた2つのチームが入場する。

「柴芭のチーム名、『マジシャンズ・デスティニー』ってか。中二病全開だな」
「著作権とかうるさいんだろ。心配だよな」
「お前は、自分の頭の心配でもしてろ」

 コート中央に、それぞれのチームのレギュラー5人が並ぶ。
マジシャンズ・デスティニーは、柴芭さんに穴山三兄弟、キーパーという構成だ。

「チェルノ・ボグスは確かにデカいヤツが多いな。んで、どいつが死神なんだ?」
「アレね……」
 セルディオスさんは、ベンチを指さした。

 そこにはパーカーを着た大きな男が、寡黙に腕を組んで座っている。
顔は、フードを深く被っていて余り見えない。
フードから垂れたコードがポケットに消えていて、何かの音楽を聴いている様だ。

「なんだぁ、レギュラーでも無いのかよ?」
「ノォ。タブン彼が出る必要の無い相手と、判断したね」
「オイオイ、そりゃ幾らなんでも、ナメ過ぎじゃねえか?」

「柴芭のチームは、先の試合を見る限りかなりの強敵だ。ショートパスを繋いでチャンスを伺い、機を見たドリブル突破や、ミドルシュートも絡めて来る。それを……」
「大したコト無い、判断したね」

 雪峰さんの情報分析にも、意見を曲げないセルディオスさん。

「死神も出ないで、勝てんのかよ?」
「それは、ワカリマセ~ン。魔術師の実力次第ね」

「死神以外の今出ているメンバーも、高校サッカー界の裏のエースたちだ」
「裏のエース……って、なんスか。倉崎さん?」

「同じ県や地域に強豪校がいた為に、惜しくも全国大会を経験できなかった者たちのコトだよ」

「つまりは、負け犬っすよね。なんか、オレらが言うのもアレだケド」
 確かにボクも紅華さんも、自分の高校のサッカー部にも入れなかったモンな。

「だが、個人としての実力は侮れんぞ。フィールドプレーヤーのウチ3人は、勇樹、宝木、葛埜季と言って、いずれも名だたるプレーヤーだ」

「それにキーパーの智草も、かなりのポテンシャルあるね」

「智草……智草 杜邑(ちぐさ とむら)のコトか?」
「なんだ。知ってんのか、雪峰?」
「ああ。三重にやたらと派手なキーパーが居ると、聞いたコトがある」

「なんつ~か黒に金の龍のキーパーユニホームって、ヤンキーの学ランみてーで、カッケーぜ」

「とにかく、決勝ではどちらかのチームと当たる。プレーヤーの特徴を、よく把握して置いてくれ」
「ヘイヘイ、相変わらず真面目なキャプテンだねェ」

 それから直ぐに、試合開始のホイッスルが鳴った。

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