ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

キング・オブ・サッカー・第四章・EP006

f:id:eitihinomoto:20191113233812p:plain

鍔迫り合い(デッドヒート)

「今度は、チェルノ・ボグスの陣地に、マジシャンズ・デステニーが攻め込んだぞ」

「ンなこたぁ、見れば解かるだろ。問題は、こっから先よ」
 紅華さんの言った通り、パスを回す三つ子の前に、葛埜季 多聞(くずのき たもん)が立ちはだかる。


「マ、マズイ、こいつは抜けないぜ」
 穴山兄弟の一人が、バックパスを選択する。

「やっぱ、後ろに下げたか。流石に中学3年と高校3年じゃ、差があり過ぎ……」
「オイ、そのパス、狙われてるぞ!」
 黒浪さんが、大きな声を出す。

 バックパスがカットされ、カウンターに……って、アレ!?

「カットしたのって、柴芭じゃねえか!?」
「み、味方のパスをカットしたのかよ!」

 紅華さんも、黒浪さんも、驚きを隠せないでいる。
ボクだってそうだし、チェルノ・ボグスもそうだった。

「ここで引いては、ウチに勝ち目はないから……ね」
 柴芭さんは、ワン・ドリブルを挟んだ後、シュートを放つ。

「智草、気を付けろ。柴芭の、コントロールされたシュートだ!」
「またカーブをかけて、コースを狙ってきているぞ」
 三木一葬の勇樹さんと、宝木さんが叫んだ。

「そう何度も、ミドルを決められて……あん?」
 ド派手なキーパーの、智草 杜邑(ちぐさ とむら)が身構えた時、ボールがピタリと止まる。

「な……にィ!?」
 今度は、柴芭さんが驚愕する番だった。

「中々に意表を付いた、良きミドルシュートだ。だが、これ以上得点はさせん」
 シュートされたボールは、葛埜季さんの脚に納まっている。
片足だけで、シュートの衝撃をゼロにしたんだ。

「葛埜季 多聞。アイツ、柴芭のシュートを止めやがった。いくらフットサルの狭いコートだからって、とんでもない読みだぜ」

「言っただろう、紅華。彼は、今年の大阪代表になったチームに、最後まで得点を許さなかった男だ。柴芭に得点を許し、スーパークリアまで見せられて、闘争心に火が付いたのだろうな」

 倉崎さんが言った通り、葛埜季さんは強引にドリブルで持ちあがる。
その進路の先には、柴芭さんが居た。

「ゲゲッ、マジかよ。アイツ、柴芭に向かって行ったぞ!」
「いくらリベロだからって、柴芭を抜ける自信があるのか?」
 固唾を飲んで勝負を見守る、二人のドリブラー。

「抜かせはしない、ここはボクが止める!」
「良き心が舞えよ。だが、ここは突貫する!」
 葛埜季さんは、柴芭さんに少しだけ身体をぶつけ、強引に抜きにかかる。

「見ろ、二人とも。葛埜季は宝木をスクリーンに使って、柴芭を抜く気だ」
「なあ、キャプテン。スクリーンってなんだ?」

「バスケで使われる戦術で、ボールを持っていない味方プレーヤーが、相手の進路に立って動きを制限させたり、遅らせるプレイだ」
「なるホドぉ、ぜんッぜん解らん」

「強引に抜くと見せかけての、スクリーンプレイか。だが、抜かせない」
 黒浪さんは解らなくても、柴芭さんは理解してるみたいだ。
宝木さんをかわし、何とか葛埜季さんに付いて行く。

「見かけに寄らず、見事な根性よ。だが、ボールは奪われぬ」
「イヤ、必ずボクが奪う」

 ボールが見えないくらいに身体を被せ、ドリブルする葛埜季さん。
見えないボールを、何とか奪おうとする柴芭さん。
二人の熱い鍔迫り合い(デッドヒート)が続く。

「なあ、ピンク頭ァ。今、気付いたんだケドよ……」
「何だよ、クロ。自分のバカさ加減に、やっと気付いたのか」
「ち、ちげーよ。なんかアイツ、ボール持って無くないか?」

「ハア、身体を被せてるから、見えてないだけで……アレ、ね、ねえぞ!」
 ホ、ホントだ。
ボールが、葛埜季さんの足元に無い。

『ピッピーーーーッ!』
 その時、審判の笛が鳴った。

「何だァ、ファウルか?」
「イヤ、ゴールだよ、紅華。勇樹 美鶴(ゆうき みつる)が、ゴールを決めたんだ」

 葛埜季さんの足元から消えたボールは、マジシャンズ・デステニーのゴールネットを揺らしていた。

 

 前へ   目次   次へ