ラノベブログDA王

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キング・オブ・サッカー・第三章・EP015

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PK

「何やってんだ、杜都。完全なレイト(遅れた)タックルじゃねえかよ」
 体育館のコートに、紅華さんの怒声が響く。

「つうか、フットサルはスライディングタックルでボール奪うの、禁止だっつったろ」

「ス、スマン。自分の、判断ミスだ……」
「しかもファールの位置、ペナルティエリアの中だろ?」
 黒浪さんも、杜都さんを責め立ててる。

「それよりも、今のプレーで杜都は退場だ。交代選手が居ないオレたちは、4人で戦うコトになる」
 雪峰さんが、残酷な現実をみんなに伝えた。

「もう、負け確じゃねえかよ。やってらんねーな」
「お前も簡単に、ボールを奪われ過ぎだ、紅華」
「偉そうに。テメーだって、あのデブ親父どもを全然止められてねェだろ」

「せめて、パスコースくらいは切ってくれ。そうじゃ無いと、狙いも絞れない」
「今さらパスコースを切ったところで、6-0だぜ」
「しかもオレさまたち、4人になっちまったしな」

 チームに、諦めのムードが漂う。

「ボクがカード占いをするまでもなく、チームは崩壊したね」
 試合を二階から観戦していた、柴芭 師直が呟いた。

「そうだね。今日のトミン、全然冴えてないじゃん」
「やっぱ中学のサッカー部、途中で辞めちゃったのが影響してるのかな」
「他のコたちも、纏まってない感じだしィ」

 感情と感覚で物事を説明する、女子高生たち。

「紅華ってヤツも、試合前は柴芭さんに噛みついてたのに、ただの雑魚っスね」
「黒浪も、スピードを封じられりゃ、タダの犬っころだし」
「こりゃオレらの相手、背・アブラーズっスよ、柴芭さん」

「そうだね」
 柴芭 師直は、カードをシャッフルするのを辞め、立ち去ろうとする。

「まだ、カーくんが……」

「え?」
 柴芭が振り返ると、試合会場を見つめる板額 奈央の姿があった」

「まだカーくんは、諦めて無いハズです」
「諦めて無いってアナタ、もう6点差だよ」
「PKは決まってません。今は5-0です」

「オイオイ、姉ちゃん。アイツ、キーパーは素人だろ?」
「セルディオスっておっちゃんに、毎回逆を突かれてるぜ」
「しかも今回はPKだぜ。止められるハズねェだろ」

 穴山三兄弟や、女子高生たちの視線の先。
セルディオス・高志がペナルティマークにボールをセットする。

「で、でも、カーくんは……」
 手を合わせ、祈るようにペナルティキックを見つめる奈央。

「御剣 一馬か。彼のカードは……『太陽(ザ・サン)』」
 柴芭が引いたカードは、正位置だった。

「太ったオジサンが、助走を始めたぁ」
「これは、確実に決まるっスよ」

 ボクの目の前で、タップンタップンと揺れる腹。
オジサンが、シュート体制に入る。

「一馬、お前はキーパーじゃない。フィールドプレーヤーだ」
 背中から、声が聞こえた気がした。

 今のって、倉崎さんの声?
だけど、振り返ってる余裕なんて無い。

「今度は、インサイドキックだぞ」
「でも、メッチャ強力なシュートだ」

 うわ、凄いシュート。
こんなの、キーパーなんて初めてのボクに、取れるワケ……。

 でも……言われてみれば、ボクはキーパーじゃない。

 自然に右脚が出る。
ボクの右を狙ったシュートは、何とか脚に当たり、ピッチの外へと弾かれる。

「柴芭さん。あのヤロウ」
「PKを止めやがったっスよ」

「ああ……」
 御剣 一馬、彼はこのチームの運命を、変えられるのか……。

「やったやったぁ、カーくんが止めたァ!」
「うれしいのは解るケド奈央ちゃん、まだ5-0だよ」
「そうだぜ、相手のキックインからの再開だ」

 タッチラインから豊満ボディのオジサンが、ゴール前にボールを蹴り込む。

「ヘイ、ボーイ。さっきは止められましたが、次は決める……ね……アレ?」

「オイ、ゴールがガラ空きじゃねえか」
「……って、見ろよノリスケ!」
「キーパーが、中央へのパスを……」

「一馬が、カットしたぜ!」
「フム、やるな」
 黒浪さんと、白峰さんが喜んでる。

 でも、まだ6点取らなきゃ……。
ボクは、左サイドに開いていた紅華さんに、パスを通した。

 

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