ラノベブログDA王

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キング・オブ・サッカー・第三章・EP002

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超俊足の(ハイスピード)ストライカー

 とんでもなく速い……ここから部室棟まで、100メートルくらいあるのに。
部員一人とは言え、やっぱ陸上部だけはあるなあ。

「ま、こんなモンよ」
 黒浪さんは、軽快にランニングをしながら戻って来た。

「どうだ、オレさまのスピードは。加速度的にスゲーだろ?」
 加速度的の使いかたが合ってるかわからないケド、トップスピードまでが一瞬だ。
そこからは風のように速い。

「とーぜん単に走るだけじゃ、ぜってーオレさまが勝つに決まってるぜ」
 う、確かに……黒狼のあだ名は伊達じゃない。
軽々しく勝負受けちゃったケド、これじゃボクに勝ち目ないよォ!?

「お前、サッカー選手としてオレさまを、スカウトしに来たんだろ?」
 コクコクと頷く。

「元々オレさまは、小学校まではサッカーやっててよ。陸上には興味すらなかった」
 へー、そうなんだ。
こんなに脚が速いのに、意外かも。

「その頃からスピードでディフェンス、ぶっ千切ってたかんな。試合に出てたオレさまを見た、陸上部の先生に惚れこまれてさ。それで中学じゃ、陸上部に入ったんだ」
 確かに速いから、スカウトしたくなるのもわかる。

「顧問の先生の指導もあってさ。オレさまは陸上の短距離、100とか200メートルじゃ、中学の記録出してんだぜ」
 細くはあるが、しなやかな身体をストレッチでほぐしながら話す、黒浪さん。

「つっても弱かったサッカー部にも、よく助っ人で呼ばれてよ。陸上がヒマな時期は、掛けもって試合にも出てたんだぜ。とーぜん、点も取りまくってた」
 黒浪さんは、超俊足の(ハイスピード)ストライカーなんだ……。

「そこでだ。二人とも、ドリブルで走るってのはど~よ」
 あ、それ助かる。

「こっから部室棟の前まで、どっちが速いか決闘(デュエル)だぜ、一馬!!」
 所々、中二病な黒浪さん。
「……っと、その前にボール用意しね~とな」

 黒浪さんはまた、100メートル先の部室棟まで疾走し、ボールを抱えて戻って来た。

「サッカー部から、ボール借りてきたぜ。さあ、決闘の始まりだぜ!」
 黒浪さん、部室棟までもう二往復してるケドいいのかな?
疑問を浮かべつつもボールを転がして、黒浪さんの真横に並ぶ。

「じゃあ行くぜ。スタートの合図は、あの時計の針が三時を指した時だ!」
 黒狼の異名を持つアスリートは、ボールがあってもクラウチングスタートの体制を取る。

「……」
 ボクたちは、スタートの合図を待った。

 ノックをする野球部のバットの金属音や、ヒラリとスカートを風にはらませながら、テニス部がラケットでボールを打つ音が響く。
共学と銘打ってはいるものの工業高校のウチと違って、女子生徒もかなり多いな。

 三時まで……あと三分くらいだ。

 体育館の開いた扉のすき間から、バスケ部が試合を行っているのが見えた。
校舎脇でチアリーディング部が、バトンを器用に回している。
三分って、長くね?

 グランドでは野球部とテニス部が練習を終え、替わりにサッカー部が練習を始めた。
レオタードの上にジャージを羽織った新体操部が、渡り廊下を歩いている。
別の建物では水着姿の少女たちが、水しぶきを上げ室内プールに飛び込んでいた。

 ……って言うか、秒針見えないんだケド。
チャイムでも鳴るの!?

「悪ィ、一馬。やっぱスマホのストップウォッチを、合図にするわ」
 黒狼は、顔の前で右手を立て謝った。

「じゃ、改めて二十秒後にアラーム鳴るから、それがスタートの合図な」
 ボクが頷くと、再び同じ姿勢を取る黒浪さん。

『リーンゴーン』
 その時、学校のチャイムが鳴り響いた。

 チャイムでアラームが聞こえない。
やり直し……でも、やり直さなたっからボクの負けだ。
耳に意識を集中する。

『パーン』
 陸上部らしいスタータピストルの音が、チャイムの合間から聞こえた。

 ボクはとりあえず、全力でドリブルを始める。
けれども前方に、黒浪さんの姿は無かった。

 

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