ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

キング・オブ・サッカー・第9章・EP010

地域リーグの開幕

 シーズンの開幕戦と言うコトもあってか、満員御礼の観衆が詰めかけたスタジアム。
Zeリーグのチャントが流れる中を、ボクたちデッドエンド・ボーイズは、アウェイ用の白いユニホームを着て、入場行進を行った。

『レディース・エンドゥ・ジェントルメーン。これよりHOME、我らがフルミネスパーダMIEと、AWAY、清棲(きよす)デッドエンド・ボーイズよる、東海・中部リーグの開幕戦を開始します。勝利に向けて、盛り上がって行こうぜ!』

 勢い任せのチームDJのセリフに、否が応にも盛り上がるスタジアム。
ホーム側スタンドでは、赤と黒のチェッカーフラグが何本も激しく揺れた。

「そう言やオレさまたち、清棲デッドエンド・ボーイだったんだ」
「まだ清棲がホームタウンと言う認識が、薄いでありますな」
 ホームスタンドとは対照的に、アウェイのスタンドにボクらのチームフラッグは無い。

「その辺りも、今後の課題ですね。まずは、サポーター集めから始めないと行けません」
「そっかァ。またポスティング始めるか、一馬」
 黒浪さんの誘いに、ボクはコクリと頷(うなず)いた。

 審判団を中心に、横1列に整列した2つのチーム。
高校サッカーであれば、それぞれの校歌を歌うところだ。
雪峰キャプテンとMIEのカイザキャプテンが、チームペナントを交換し握手を交わす。

 主審がコイントスを行い、勝ったカイザさんが、アウェイ側のコートを選択した。
フルミネスパーダMIEからすれば、熱狂的なサポーターの待つホームスタンドに向かって、攻め込むカタチになる。

「開幕の景気付けに、ホームサポーターの前でガンガンゴールを決めようって腹か」
「恐ろしいコト言うなよ、ピンク頭」
「せやケド、そうなる可能性は高いと思うで」

 3人のドリブラーは、一斉にメタボなゴールキーパーの方を見た。

「な、なんだよお、お前ら。その目は!」
「仕方ないね。今日の相手は、海馬がキーパーじゃ絶対に勝てない相手よ」
 恩師の監督にすら見捨てられる、海馬コーチ。

「だ、だけどよ。オレたちは、1つ上のリーグに所属する、オーバーレイ狩里矢(かりや)にすら勝ったんだぞ。自信持って、行こうぜ」

「そりゃ、相手が2軍に近かったからな。それに、恐らく今日の相手は、狩里矢よりも強い」
 かつての教え子である紅華さんは、コーチの希望的観測をことごとく打ち砕いた。

「ネガティブな意見は、そこまでだ。オレたちは、日高グループの息のかかった3チームとは、どの道戦わねばならん」

「せめて、1チームやったらな。Ze2レベルの戦力を持ったチームが、3チームはシンドいで」
「アレ。そう言えば名古屋にも、1チーム作るんじゃなかったか?」

「クロ、お前ニュース見てないのかよ。それについては昨日、発表があっただろ」
「名古屋のチームは、地域リーグの1部に所属するチームを買収したんや」

 日高グループは、名古屋に新たなチームを設立すると、正式発表する。
かねてより宣言されていたモノではあったケド、サッカー界に衝撃的なニュースとして伝わった。

「それじゃ、いきなり地域リーグの1部から、スタートなのかよ。ズルくね?」
「ズルいかどうかはともかく、これ以上強力なライバルが増えなかっただけでも、有難いぜ」

「アッ、それもそうか」
 納得する、黒浪さん。

「当面は戦うコトの無い相手のコトは、置いておくね。今は目の前の相手に、全力集中するよ!」
「応!!」
 円陣を組んで気合を入れる、デッドエンド・ボーイズのメンバーたち。

 アウェイのスタンド前には、フルミネスパーダMIEの選手が、キレイな陣形で散らばっていた。
ボクたちも、赤と黒の旗が揺れるホーム側のコートに散らばる。

『ピーーーーーーッ!』
 完全アウェイの雰囲気の中、ボクたちデッドエンド・ボーイズの、プロとしての最初の試合がキックオフされた。

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