ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

キング・オブ・サッカー・第三章・EP001

f:id:eitihinomoto:20191113233812p:plain

黒浪 景季

 ボクは、また違う学校の校門前に立っていた。

 奈央に褒めてもらったから、またその気になってきてみたケド……。
校門に掲げてあるプレートには、『墨ヶ丘総合工科高校』と書かれている。

 ライバルになりそうなレギュラーが、増えるだけなんだよなあ。
心の中でため息をつきながら、流れ出てくる生徒たちの中からターゲットを待った。

 それにしても、凄い生徒の量だな。
スマホ情報だと、二つの学校が合併してできた学校で、物造りに定評があるそうだ。

 そのまま一時間ほど待ってみたものの、ターゲットとなる人物は一向に出てこない。
ボクは近代的な建築の、整然としたデザインの校舎を見上げる

 雪峰さんはすんなりと見つかったケド、紅華さんの時はケッコウ時間がかかった。
やっぱ人の見つけ易さって、学校の生徒数によるよね。

 ボクは仕方なく、学校の周囲を歩き始める。
街路樹が名画のように植えられていて、中々にキレイだ。

 すると学校の裏手が、グランドになっているのに気付く。
グランドには、校門からじゃなくても入れそうだな。

 ちょうどサッカー部が練習してるし、行ってみよっと。
ボクはスルスルと、小さな土手を降りてグイランドに入る。

 校舎はやたらとたくさんあるケド、グランドはそんなに大きくないみたい。
サッカー部と野球部が、窮屈そうに使ってる。

「オイ、お前。ウチの生徒じゃねえだろ?」
 突然、後ろから声がかかった。

 ヤバッ、見つかった!
慌てて振り返ると、真っ黒に焼けた肌の少年が、ボクを睨みつけている。

「他の学校のスパイ……なワケねえか。ウチは、大した運動部なんてねえからな」
 少年は、天然パーマなのか波打った髪を、頭の後ろで二つに束ねていた。

 今回のターゲットの、『黒浪 景季(くろなみ かげすえ)』だ!

 ボクは、慌てて名刺を差し出す。
ここからの流れは、いつもの通りだ。

「あん……デッドエンドボーイズ・サッカークラブゥ?」
 訝しげに、名刺を食い入るように見ている黒浪さん。

「お前、御剣 一馬って言うのか。カッケー名前じゃん!」
 それ、たまに言われるコトある。

「オレさまは、『黒狼』よ!」
 へ……?

「あだ名だよ、あ・だ・名」
 あだ名?

「ガキの頃、浪を狼と間違えて呼ばれてさ。そっから黒狼ってワケ。カッケーだろ?」

 ちゅ、中二病だぁぁ!?
……と思いつつも、一応頷く。

「そっかそっか。ま、本名の黒浪 景季ってのも、カッコ良くて気に入ってんだ」
 ニカッと笑った口元から、ヤイ歯がこぼれた。

「でも悪ィな。オレさまは陸上部なんだ」
 黒浪さんは、茶褐色のメタリカルなジャージを着ていた。
けれども周りを見ても、似たジャージを着た人は居ない。

「……つっても、オレさま一人なんだがよ」
 ぶ、部員が一人。こんなに生徒が居るのに!?

「ウチの学校、生徒数は多いんだケド、グランド狭くてさ。親が言うには、就職に有利な技術は身に付くらしいんだが、失敗したぜ」

 ある意味、デッドエンドなのかも。

「人気のあるサッカー部や野球部が、我が物顔でグランド占有しててよ。陸上部は端っこの方で走るくれーしかなくてな」
 流石にそれじゃ、入部希望者も少ないだろう。

「よし、お前入部しろ!」
 ……はえ?

「とーぜん、オレさまが勝ったらの話だ。お前が勝ったら、お前のチームに入ってやるぜ」
 うおお、なんか小学生みたいなコト言い出したァ!?

「ウチは陸上トラックなんてねえから、直線勝負だ!」
 また、いきなり勝負するハメに……。

「まずは見とけ。オレさまの、脚の速さをよ」
 黒浪さんは、クラウチングスタートの体制を取ると、一気に駆け出した。

「ガアアァァァァーーーーーーーーーーーーオ!!」
 狼のように雄叫びを上げながら走る、黒浪さん。
一瞬で、突き当りの部室棟の前まで辿り着いていた。

 前へ   目次   次へ