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ある意味勇者の魔王征伐~第8章・19話

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王都の激闘2

 煤けた戦場の風が、雪影の頬を撫でる。

「いざ、参る」
 剣士の両腕には、鞘から解き放たれた二本の刀。
一振りは真っ白な刀身であり、もう一振りは漆黒だった。

「白夜丸よ、移ろえ!」
 剣士の右手の刀が、淡雪のごとくほんのりと光る。
……と同時に、雪影の身体か何体も現れた。

「分身か?」
「いや、時空に干渉しているのだ」
 それを見たネリーニャとルビーニャの前で、魔王の右腕が斬り落とされる。

「雪影さまの白夜丸は、移ろう刻の剣。時間の中を移動し、同時攻撃や回避を行うのです」
 リーフレアの言葉通り、反撃に出た魔王の吐く火球の前から、瞬時に消え去る雪影。

「なるホドな。今の我々では勝てないと、蒼き髪の小僧が言っていたが……」
「あながち、虚言でもないと言うコトか」
 悔しさを滲ませつつも、双子の元死霊の王は魔王の左手をも斬り落とす。

「あ、あの二人もスゴイです」
「そんなコトより、リーフレア。こっちも、強力魔法で行くよ!」
「ハ、ハイ。姉さま!」

 双子司祭はユニコーンを降り、魔法の詠唱を開始する。
一角獣は、幻のように消えて行った。

『グオオオオォォオォーーーーーーーン!!』
 腕を落とされた魔王は四枚の翼を広げ、雄叫びと共に空へと舞い上がる。

 すると、街に堕ちた右腕はライオンの姿となり、左腕は鷲となって空を舞った。
獅子の周りには、牛やイノシシなど獣の頭の魔物が集まり、鷲は鳥の魔物を率いて街を襲う。

「マ、マズイです、姉さま」
「このままじゃ、街が……」
 呪文に集中できないリーセシルと、リーフレア。

「ネリーニャ、ルビーニャ。お前たちは、魔物の相手をしろ。わたしは、魔王を屠る」

「フン、偉そうに命令するな」
「わたしたちは、お前の部下になった覚えは無い」
 雪影に反発すつ双子姉妹だったが、彼女たちの周りを魔物が囲む。

「雑魚とは言え、群れて数を頼みにされては厄介」
「仕方あるまい。死霊の王たる我らが力を、見せてやろう」
 ネリーニャとルビーニャは、剣をクロスさせた。

「リ・アニメーション!!」
 二人の声が重なる。

「ね、姉さま、あの魔法は!?」
「あのコたち、とんでもない魔法を……」
 驚く双子司祭の前で、王都の地面に転がった死者たちが動き出す。

「クッ、クッ、ク。自らが暮した王都を守れるのだ」
「我らが尖兵となって、奴らを攻撃せよ!」
 二人の指示で、死者たちは揺ら揺らとした足取りで行進を始めた。

 その中にはあらゆる年齢、性別、職業の住人が入り混じる。
鎧を纏った兵士や、彼らに倒された魔物の姿さえあった。

「何と言う、バチ当たりな……」
「でも今は、不満を言っている場合じゃない。この隙に、呪文を完成させるよ」

「我らも、魔物の親玉を仕留めよう」
「魔王は任せたぞ、雪影」
 二人は、瓦礫の上に立った剣士を見上げる。

「フッ、相分かった。心おきなく、魔王と対峙しようぞ」
 剣士は、再び魔王に向かって宙を舞った。

 死者の主たる双子は、獅子と鷲の魔物へと飛び掛かり、死者たちも魔物の軍勢に襲い掛かる。
生き残った住人たちは物陰に身を潜め、闘いの様子を見守った。

 同時刻、王都の外でもオレンジ色の軍装の軍団が、魔物の大軍に戦いを挑んでいた。

「これより、テンペストの陣を敷く。各隊、突撃を開始せよ!」
 司令官たるグラーク・ユハネスバーグの号令と共に、馬が駆け出し歩兵は隊列を組んで行軍する。

「先陣は、このニーケルス・ユハネスヤーブがいただいたぜ。オラ、どきな!」
 立派なもみ上げをした将軍が、巨大な大剣で魔物の群れを薙ぎ払う。

「オレの『ブロークン・メテオザッパー』は、全てを焼く尽くすぜ!」
 ニーケルスの一閃は、巨大な火球となって魔物の群れへと襲い掛かる。

『ギャアアアアーーーーッ!?』
 断末魔と共に、消し炭となって消え去る魔物たち。

 オレンジ色の軍団は、五倍の数の魔物の軍団の間を駆け抜けた。

 

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