ラノベブログDA王

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キング・オブ・サッカー・第ニ章・EP003

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ボランチ

「中々に、見応えのあるデュエルだな、一馬」
 隣で見ていた、倉崎さんが言った。

 河川敷で繰り広げられる、紅華さんと雪峰さんの一対一。
確かにボクの眼には、二人の争いは高度な駆け引きに見える。

 でも倉崎さんは、日本のトップリーグで中心選手として活躍してるんだ。
サングラスの向こうの眼には、どんな風に映ってるんだろう?

「今日が倉崎さんの前での、初練習だってのによ……」
 紅華さんが、またしてもドリブルを仕掛ける。
「お前に止められっ放しじゃ、シャレになんねえからな!」

 けれどもそのドリブルは、精度が落ちていた。

「やはりお前のドリブルは、無駄が多過ぎる」
 雪峰さんがボールと紅華さんの間に、身体を入れる。
「だから過剰に、体力を使うのだよ」

「クソッ……まだだ」
 体制を崩しながらも脚を伸ばし、ボールを弾こうとする紅華さん。

「お前にオレを抜く体力は、残ってはいまい」
 雪峰さんはそれを予測し、易々とボールをキープした。

「紅華はやはり、体力面の強化が当面の課題だな……」
 倉崎さんの声が、遠くから聞こえる。

 えええッ……!?
ボクの隣にはもう、誰も居なかった。

「なッ!」
「く、倉崎さん!?」
 倉崎さんは、雪峰さんの奪ったボールを、いとも簡単に奪取する。

「雪峰……お前は、ボールに対する執着心が、低過ぎる」
 倉崎さんは、ボールに右足を乗せながら言った。

「お言葉ですが、倉崎さん。今のは……」
「確かに一対一でのルールなら、反則だ」
 右足の柔らかなタッチで、背中側からボールを通す。

「だが実際のサッカーは、二人でするスポーツじゃない」
 得意のクライフターンで、簡単に雪峰さんを抜き去った。

「とくにボランチは、ボールを奪われれば決定的な失点に繋がるんだ」
「アナタに、言われるまでも無い……」
 必死に追いすがる、雪峰さん。

「日本サッカーの長年の弱点……それは、強引な中央突破をする相手を、ボランチのポジションで止められないコトだ」
 実際に、強引な突破を見せる倉崎さん。

「クソ……!」
 雪峰さんは、手を使った反則まがいの手段で、突破を阻止しようとする。

「いい判断だ……だが、甘い!」
 倉崎さんは体制を崩すコト無く、雪峰さんの手を振り解いた。
独走状態となり、シュート体制に入る。

 足の踏み込む位置が、ボールよりかなり前だ!
けれども倉崎さんは、強引にボールをねじ伏せる。
ボールへの、インパクト時間が長い!?

 弾丸のようなボールが、河川敷のキーパーも居ないゴールへと突き刺さる。
ボクの眼には一瞬、実際の試合会場のビジョンが見えた。

「雪峰 顕家……」
 ネットに突き刺さったままだったボールが、倉崎さんの足元へと転がる。
「お前には、我がデッドエンド・ボーイズのボランチを任せるつもりだ」

「ですが今のは、ボールを奪われ一失点……」
 雪峰さんも、制服の砂埃を払いながら立ち上がっていた。
「ボランチとしては、失格なハズですが?」

「確かに失格なままでは、困るな」
 倉崎さんは、ニカッと笑う。

「聡明なお前に言うのもなんだが、中央に位置するボランチは……」
「サイドでボールを奪われる場合に比べ、失点に直結するリスクが高くなる」
 倉崎さんの台詞を、雪峰さんが奪った。

「どうだ、ウチに来ないか?」
「ええ……喜んで、参加させていただきます」
 雪峰さんは、あっさりと了承する。

「そ、そうか」
 拍子抜けなのは、倉崎さんも同じみたいだ。

「誘っておいてなんだが、学業に専念するつもりじゃ無かったのか?」
「ええ、そのつもりでしたが……」
 倉崎さんに歩み寄る、雪峰さん。

「学業であれば、片手間で何とかなりますからね」
 天才優等生は、いとも簡単に言い切った。

 

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