ラノベブログDA王

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キング・オブ・サッカー・第一章・EP011

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女ってのは

「えっと、なになに?」
「デッドエンド・ボーイズ・サッカークラブの……」
「御剣 一馬……くん?」

 女子高生たちは、名詞に描かれた情報を可愛らしい声で読み上げる。

「かっこいい名前だね」
「でも、サッカークラブってコトはさ」
「このコ、トミンのコトをスカウトしに来たんじゃないの?」

「どうやらそうらしいぜ。会ってから、一言も喋ってないケドな」

 そう言えば名詞を渡して、質問に頷いただけだった。

「トミンも、家を継がないんならさ」
「サッカーのチームなんだし、入ればいいじゃん」
 相変わらず、ボクの知らない紅華さんの情報をくれる、女子高生たち。

 紅華さん、実家がお店なのかな?

「うっせえな。なんでオレが、コイツのチームに入らにゃならん」
「だってトミン、自分の高校のサッカー部に入れなかったんでしょ?」

「……んなッ!?」
 紅華さんの、それまでの余裕のある表情が一変する。

「お前ら、どうしてそれを!?」
 あ、どうやら図星みたい。

「いくら規律が緩めの、商業高校のサッカー部でもさあ」
「それだけ髪の毛、ピンク色に染めちゃヤバいよ」
「どうせサッカー部の先輩に、髪型を注意されたんでしょ?」

 なんかこの人たち、名探偵みたいに洞察力があるな。
でも、それが本当だとすると、ボクと同じだぁ!

「ホラ。一馬くんも、目を輝かせてるしィ」
「なんだとォ!!?」
 うわあ、もの凄い形相で睨んできた。

「テメーのチームになんざ、ゼッテー入らないからな!」
「それじゃ、サッカー辞めちゃうワケ?」
「トミン、上手いのにもったいないって」

「ギャーギャーとうるせえな。これだから、女ってのは」
 深いため息を付きながら、ボクに語り始める紅華さん。

「女ってのは、見栄っ張りで、我がままで、大して常識的でも無いクセに、常識ぶるモンだ」

 う~ん、言われてみればそんな気も……。
奈央も、いつもうるさいしなあ。

「なにそれ、トミン!」「ヒドくなーい?」
「だけどコイツも、納得してる感じだぜ。なあ、一馬」
 女子高生たちの切り裂くような視線が、ボクに移った。

 断じて同意するワケには行かない!
ボクは、激しく首を横に振った。

「無理すんなって。男ってのは、女をそういう生き物だと思って見てる。何なら周りにいる男どもに、聞いてみるんだな」
 紅華さんは席に置いてあった、カバンを担いで立ち上がる。

「オレは、サッカーなんてガキの遊びには、もう興味はねえんだ」
 バスは、住宅街の停留所で留まる。

「それに、寂れた美容院なんざ継ぐ気はねえよ……」
 紅華さんは、バスを降りて行った。

 あ……。

 扉は閉まり、バスは再び走り出す。
ボクは降り損ねてしまった。

「まったく、トミンのヤツ!」
「昔から捻くれてるよね、トミン」
 どうやら彼女たちは、紅華さんと長い付き合いらしい。

 女子高生たちのかしましい騒めきは、次のターミナル駅前の停留所で無くなる。
ボクは一人、バスの後部座席に取り残された。

 マ、マズいぞ。このバス、次で終点じゃないか?
見ると料金表には、1080円と表示されていた。
ボクは、倉崎さんに言われたコトを思い出す。

「いいか、一馬。お前にスカウトを任せるが、色んな場所に行くコトになるだろう。当然、それなりの交通費も発生する。悪いが、領収書を貰って来てくれ。じゃないと、経費で落ちん」

 そうだ。
領収書を貰えば、後で倉崎さんに払ってもらえるんだった。
足取りの軽くなったボクは、運転席へと向かう。

 りょ、りょりょ……!!?
けっきょく、領収書も貰わずそのまま降りる。

 財布の中身の減ったボクは、バスで三十分の道程を歩いて帰るコトにした。

 

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